【~一歩の目標、一歩の価値~】

いつかは目標に通じる歩みを一歩、一歩と運んでいくのでは足りない。
その一歩一歩が目標であり、一歩そのものが価値あるものでなければならない。
(ドイツの詩人ゲーテ)

Someday it than the history leading to the goal will carry a one step not enough.
To every step there of he goal,it must be something of value has step itself.
-Johann Wolfgang von Goethe-

青年会議所が現在抱えている未来への危機は、決して会員減少だけではありません。
組織を支える役職を担う人材が減っていることは、会員減少と同じくらい組織の持続性を脅かす大きな課題であります。
次年度以降も在籍する現役メンバーの中には、役を引き受けるかどうか、受けたけど本当にできるのかどうかと、今まさに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

特に役員において、労力や時間の負担が大きすぎるこの組織は生産性を高めて、誰もが挑戦できる組織へと今変革を起こさないと、10年後には誰も役を受けなくなり、今と同じ形で存続できるLOMは僅かになるだろうという強い危機感があります。

組織の存亡を脅かすこの役員希望者の減少は、10年前にもなかったわけではありません。
しかし顕著になってきているのは、会員減少が背景にあるというだけではないと思います。
役を忌避する人の多くの理由は、仕事や家庭の都合によりその余裕がない、というのが最も多い理由であろうかと思います。これはそのまま新入会員獲得の最大の障壁でもあります。
だからこそ、捨てるべきを捨て、生まれ変わらないといけないというだけでなく、青年会議所が持つ、「役を受けること」の価値を高めていく必要もあります。

ここで、JCで役を受けることについて、考えてみます。
大切な仲間に役をお願いするとき、その役を受けるかどうか考えるとき、その決断を左右している要素は何でしょうか?

1つ目に、「自己成長」があります。成長できるから受けてほしいとお願いし、成長したいから受けよう、という人です。

2つ目に、「地域のために」です。自分たちがつくる運動で地域を変えたいという志高い動機です。

3つ目に、「人との繋がり」です。昔から大切にされてきた義理人情とも言える、「あの人のために」という、動機です。

4つ目に、「責任感」です。もう入会して年数も経ったからという順番的な義務感、他に役員を受ける人がいないからという消去法による自己犠牲など、消極的な動機です。

実はこの1~3の修練、奉仕、友情の3つの動機よりも、4つ目の動機で役を受ける人が多くなっているというのが、昔と変わっている現状ではないかと考えています?
その背景として、当然ながら会員減少はあるとしても、それ以外の要因はいったい何なのでしょうか?

【その1〜自己成長〜】
1つ目の「自己成長」について。
青年会議所は、そのJCIミッションにあるように、青年会議所の使命は「より良い変化をもたらす力を与える機会の提供」なので、成長の機会を得るために役を受けるということは組織として正しい動機であると思います。
しかし、当然ながら「成長」に正解はありません。
JCを頑張ればこんな人になれます、というモデルがありませんし、これをクリアすればこんな人になれるというカリキュラムも存在しません。(プログラムはありますが)
加えて、成長して役を受けている人は必ず誰もが憧れる人というわけでもありませんし、そもそも憧れる人は、人によって違います。
どこまでいっても、今の自分と明日のなりたい自分の間を埋めることが成長というだけなのです。そしてどんな役を受けている人であっても全員が未完成なのです。

また、今の世の中には、気づきと成長を与えてくれる講演やセミナーは山ほどあります。
それらと比べて、青年会議所の成長は、とても時間と労力がかかるのです。
「役を受ければ成長できるから」という動機付けは、他にも効率よく成長できる機会が社会には溢れているから、という理由で、優位性が見えにくくなってきているのです。

しかし、私は青年会議所がもっとも優れた自己成長を与えてくれる場所だと自信を持って言えます。その理由は、座学や即席のコミュニケーションを通じたセミナーと違い、何年もの時間の中で人間関係を作り、その中で「自分」という人格を創っていく、唯一自分に合ったリーダーシップを見い出せる場所がJCであると考えています。

それにしても、自己成長が得られるから役員を受けよ、という動機付けをする説明としては不十分であり、最も説得力のある要素は、役員をしている会員や先輩の誰もが、「あんな人になりたい」と憧れられる人であることです。憧れられる人になることが役員スタッフにおいて絶対の使命であります。そしてその使命があるからこそ、未完成であることを忘れず、成長を意識しなければならないのです。

【その2〜地域のために〜】
2つ目の「地域のために」について。
今、私たちの活動はどれだけ地域の価値創造に直接結びついているでしょうか?実感できているでしょうか?
どこのLOMにも多かれ少なかれ、するべき事業があり、あるべき委員会があります。そのフォーマットを軸として、例年組織をつくっているというのが現状ではないでしょうか?
しかし、今本当に地域に必要なことは何なのか?を、どれだけ深く議論できていますか?
人口減少やAIによって生まれる社会環境の変化が地域に生み出す課題を、どれほど正確に見抜けているでしょうか?
運動の価値は、運動の対象となる地域の実情をどれだけ掴めているかに比例しています。

だからこそ、本年度はブロックアカデミー事業として、RESASを使った現状分析をし、課題解決策をアウトプットするソーシャルデザイナー育成事業を開催しています。
(9月28日ソーシャルデザイナー審査会@舞鶴)
JCの運動がより、地域の課題解決に繋がっていると会員に実感させることが、青年会議所に対する誇りを醸成するために今最も必要なことなのです。

【その3〜人との繋がり〜】
3つ目の「人との繋がり」について。
青年会議所を動かしている最も大きな力の源泉は、「誰かのために」という思いにあると思っています。この「人との繋がり」が強い組織ほど、健全で活発な組織になれると考えています。
人との繋がりが深くなる絶対的要素をJCは備えています。それは、「共通体験」です。
同じ役職や委員会に属すことで、強烈な共通体験を通して、人は絆を深めることができます。
本年は、委員会の枠を超えて、同じブロック出向者同士、共通体験をつくろうと、3回のブロック交流会を開催し、役職ではなく、個人と個人の交流を行ってきました。
(8月25日 第3回ブロック交流会@京丹後)

今、どれだけJCのメンバーと、JC以外の関係性をつくれているでしょうか?
役の上下による関係性を重んじる前に、人と人との繋がりを築けているでしょうか?
役には責任と権限がついてきます。それにより言動が変わることもあるでしょう。
しかし、自身が役にあぐらをかいてないか、そう思われる言動をとっていないか、自省しているでしょうか?
人として互いを知って、共感や敬意や信頼が生まれてこそ、組織は生きてくるものです。
その上で、上役を敬い、自身のもとに集うメンバーを思い遣らなければなりません。
そうして初めて、「あの人のためなら」という動機が組織に行きわたるのです。

平均在籍年数4年という短い時間で
人との繋がりもそれほど深くも広くも築けていない中で
活動が成長にも地域貢献にもつながっていないと感じさせている組織において
修練という大義のもと、お金や時間、労力を遣いすぎる役員を受けたくないのは
至極当たり前のことなのかもしれません。

だからこそ、今の時代背景とこれからの世代の価値観に合わせた
組織に変革しなければなりません。

今はちょうど青年会議所を担う世代が大きく変わる時代です。
組織の中核がX世代(1960~80年代初頭に生まれた世代)だった時代から、
Y世代(1980年~95年頃に生まれた世代)に移り変わりつつあります。

2000年代に成人を迎えることから「ミレニアル世代」とも呼ばれるこのY世代の特徴は、生まれた時からスマホやPCが身近にあるデジタルネイティブであることです。
その結果、個人の多様性を受け入れ、個人主義でありながらも人とのつながりを大切にし、いいモノが欲しいという欲求よりも、いいコトを体験したいという欲求のほうが大きいというのがその特徴とされています。そのことから、社会問題に強い関心を持ち、ボランティアや寄付に積極的に参加する傾向にあるとも言われています。

この一般論を仮説とするならば、ミレニアル世代に必要とされる組織とは何なのかが透けて見えてきます。
自分たちが費やす時間の一分一秒が、行動の一歩一歩が社会のどのような価値と結びついているのかが明確で、労力を社会の価値に変換できていると実感できる組織体、さらには人とのつながりを深め、個人を尊重し、理想とする姿に成長させてくれる組織。
それこそがこれからのJCのあるべき姿なのではないだろうかと考えることができます。

これからの青年会議所は
非効率な過程こそが修練であるという大義名分ではなく
一歩一歩が、個人の意見が尊重された自己成長と、
社会の課題解決につながる価値創造、
仲間との役の関係性を超えた絆を深めるという
成果に確実に結びついていると誰もが実感できる組織にならなければなりません。

組織に対するロイヤルティ(誇り)を高めるために。
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