6月7日(月曜日)に、富山県黒部市の黒部市立石田小学校にて「道徳×アート」授業を実施しました。
私たち次世代教育推進委員会では、子供たちが元来持つ豊かな感性をさらに拡げ、他者との違いを受け入れ、理解する力を養うことを目的として、全国の小学5、6年生を対象に対話型アート鑑賞授業の提案並びに実施を推進しています。
9月末まで全国各地で授業を実施していき、得られた改善点やご意見をもとに内容をブラッシュアップして、文部科学省へ授業の指導案として提言することをゴールとしています。
そこで、当事業では、対話型アート鑑賞において最初に行われる同じ作品を参加者全員でじっくりと鑑賞し、参加者への3つの質問を、より道徳教育としての効果が高まるようカスタマイズしました。
《従来の質問》
➀絵の中で何が起こっているか?
➁どこからそのように思うのか?
➂もっと発見があったか?
《当事業での質問》
➀何が描かれていますか?
➁これから何が起こるのでしょうか?
➂この絵に題名をつけましょう
その他、「質問に対する自分の考えを言葉にして発信し、また他者の考えを否定せずに受け入れてから自分との違いに気づく。
さらに作品に対する見方を深めていくことで、観る力、表現する力、受け入れる力と養うことができる」との、この鑑賞法の特徴を活かすべく、授業の始めに、この授業のルールを
・自分と違う意見が出ても否定しない。
・他の人の意見を参考にしてみる。
と定めて、アンリ・ルソー作「眠るジプシー女」の鑑賞を始めました。
すると、➀の問いに対して、絵の真ん中の生き物を「ライオン」と言った生徒もいれば、中には「くま」「うし」「大きなネズミ」に見えたといった意見が出たり、「右上の月が笑っている」「寝ているのは男だ」等様々な意見が飛び交っていました。
また、➁の問いになると、「人がライオンに食べられてしまう。怖い絵だ」という意見が出たかと思ったら、「動物が寝ている人を守っている。優しい感じがする」「寝ている人の隣で一緒に眠る。そして朝になって一緒に旅に出る。」「寝ている人は死んだふりをしていて、ライオンが通り過ぎるのをじっと待っている」といった様々なストーリーが展開されていき、最後の問いでは、「月は見た!」「王を守るくま」「ライオンと人と砂漠の旅」といった素敵な題名を全員が考えてくれました。
その結果、授業の感想発表の時間では、「他の人のいろいろな意見が聞けて楽しかった。」「新しい絵の見方が知れて良かった。もっと他の絵でもやってみたい。」「絵が好きになりました。」等こちらが想定していた以上の感想をいただきました。先生方々からも、「普段あまり発言したがらない生徒が積極的に発言していたことが嬉しかった。」「子供たちの豊かな想像力を感じることが出来た。」といった喜びの声をいただくことができました。
このような当事業の現況、実施校 3校、参加生徒数 405名、実施予定校 5校となっております。
目標を達成し、より多くの子供たちへこの授業を届けるために、今後も最後まで全力で進んでいきます。
これまで自分が全く無縁だと思っていた、アートに関しての事業を企画したいと横山委員長からお話をもらったのが昨年の11月でした。
初めてのJCI日本出向であり、今年がラストイヤーということもあって、何か爪痕を残せるような事業をしたいと思いながらも、アートというテーマの自由度の高さゆえに中々方向性を定められず、何度も何度も打合せをしては議案を書き直し、たどり着いたのが、この「道徳×アート」授業の推進事業でした。
この事業には、この先の未来を生きていく子供たちのために、意義のあるものを創りたいという思いに賛同いただいたパートナーの方々、委員会メンバーの熱い想いが詰まっています。
一方で、学校の授業の貴重な1コマを使わせていただくため、失敗は許されないというプレッシャーから実施日前日はよく眠れなかったことを覚えています。
本当に想定しているように子供たちが授業を受けてくれるだろうか、楽しみつつ学んでもらえるだろうか、といった不安がありました。しかし実際に子供たちの前に立ち授業を始めると、そこには豊かな感性で生き生きと発言してくれる子供たちの姿がありました。その姿を見た時、この事業を企画して本当に良かったと思えた瞬間でした。
残すところあと半年を切りましたが、より多くの子供たちにこの授業を届けるために最後まで邁進していきます。
・次世代教育推進委員会
副委員長 飯村 誠司 君
・出向の動機
「在籍年数が3年での卒業だったため、最後に何か挑戦して卒業したいと思っていた時に、LOMの専務からお話をいただき決めました。」
・所属LOM
公益社団法人金沢青年会議所
URL https://www.kanazawa-jc.or.jp/