高付加価値化事例④
<取り組みを開始の経緯>
今回の事例は、家づくりを主な事業として行っている会社となります。
こちらの会社は、以前は典型的な建築企業でした。しかしながら、2012年から会社運営の軸に「社会課題の解決」を据えて「全ての皆様に感謝の心で愛情と想いやりのある人・物創り」という理念を打ち出し、低価格注文住宅のブランドを立ち上げました。当時、売り上げの低迷に直面しており、下請けからの脱却を目指し、自社独自のプロジェクトとして、ひとり親世帯や高齢者、外国人など、住宅購入を諦めている層に向けた低価格住宅を売り出しました。
[具体的な取り組み]
①低価格住宅は、多くの外国人に大きなインパクトを与えました。働きに行った先の外国で「自分の城」を持つのは、経済的な成功の分かりやすい指標です。故国の家族の評価も上がります。しかしすべての希望者が家を買えるわけではありません。永住者資格の取得や、住宅ローン審査に通ることなど、いくつもの困難があります。
これらのハードルを乗り越え、2014年に最初の外国人顧客の住宅が建ちました。それから現在までに、約120棟の住宅を在留外国人に販売してきました。条件が整わず、今は購入できない方でも、『これをクリアすれば日本で家を買うことができる』と明確な目標ができたことで、さらにがんばる人が出てきました。
②外国人向けの営業所の開設、ポルトガル語の看板の設置、ブラジル人の営業パートナーとの契約、自社で通訳を雇用していることなど、様々な手法で外国人にアプローチをかけています。また、外国籍を持つ人が生活することを条件に、定住外国人がまとまって暮らせる区画を整備し、災害時でも孤立しない環境を作るなどの取り組みも行っています。ただ住宅を提供するだけではなく、社会課題を解決するという理念があるからこそ高付加価値の事業に成長していった事例といえます。