独自の超音波技術を用いた花の保存技術「ミスティックフラワー」を開発し、ロスフラワーを新たな価値を持つプロダクトへと再生する事業を展開しています。本技術は、花の色・形・質感を生花に近い状態で長期間維持することを可能にし、従来のドライフラワーやプリザーブドフラワーとは異なる新しい市場を創出しています。現在は、ミニブーケやインテリア製品、空間装飾、アート作品などの商品開発・販売を行い、百貨店やイベントへの出店を通じて実績を積み重ねています。また、企業や行政と連携した展示・装飾プロジェクトにも参画し、花の新たな活用方法を提案しています。ワークショップ事業にも力を入れており、直近のイベントでは約200名が参加するなど、多くの方に体験を通じて花の価値を伝えています。さらに、超音波技術を応用した新素材「HANASUMI(花炭)」の開発も進めており、観賞用途にとどまらない機能性素材としての可能性を広げています。これらの取り組みはメディアからも注目されており、テレビ東京WBSでの取材をはじめ、行政・地域連携の事例としても取り上げられています。2024年には神奈川技術開発大賞「未来創出賞」を受賞し。現在、技術の国際特許(PCT)出願に向けた準備を進めており、今後は国内外への展開を見据えた事業拡大を計画しています。これらの取り組みにより、花の廃棄問題の解決と新たな文化価値の創出を同時に推進しています。
株式会社ミスティックフラワーの田中梨瑚です。
私は、「美しいものが、当たり前に捨てられていく」という現実に違和感を持ったことから、この挑戦を始めました。2025年3月まで大学院にて、ペロブスカイト太陽電池の封止技術を研究していました。そこで扱っていたのは、「壊れやすいものを、いかに長く安定させるか」という技術です。あるとき、その技術はエネルギーだけでなく、“命あるもの”にも応用できるのではないかと考えました。花は、美しい瞬間のために存在し、その後は役目を終えたように廃棄されていきます。私は、その時間の流れそのものを変えることで、廃棄される前提の構造自体を変えられるのではないかと考えました。医用工学と材料工学で培った技術を植物に応用し、「花の内部状態を保つ」ことに成功。時間とともに失われるはずだった姿や色を、そのまま留める技術として「ミスティックフラワー」を開発しました。この技術をもとに大学院在学中に起業し、現在は特許出願を進めています。私が目指しているのは、単なる保存ではありません。廃棄されるはずだった花を、再び社会の中で生き続ける存在へと変えていくことです。花を「使い切るもの」から「巡り続けるもの」へと転換し、ロスフラワーという課題そのものを減らしていく。私は、時間に流されて消えていくものを減らしながら、環境と美しさが両立する新しい循環の形を社会に実装していきます。
「花が捨てられない社会」を実現します。現在、花は“美しいけれどすぐに枯れるもの”として扱われ、多くが価値を持つ前に廃棄されています。私はこの前提を覆し、「花は残すことができるもの」へと価値を転換したいと考えています。ミスティックフラワーの技術を通じて、花は一瞬の装飾ではなく、人の記憶や感情を長く宿す存在へと変わります。贈り物や記念の花が時間とともに失われるのではなく、その瞬間を留め続ける文化を創ります。さらに、廃棄される花を循環させる仕組みを社会に実装することで、ロスフラワーという概念そのものをなくし、環境負荷を低減すると同時に、新たな産業と文化を生み出します。花が「消費されるもの」から「残り続ける価値」へと進化することで、環境と感性が共存する持続可能な社会を実現します。
私たちは、「花が廃棄される前提」を変えるために、技術開発から社会実装までを一貫して行っています。まず、独自の超音波技術を用いた保存技術「ミスティックフラワー」の研究開発を進め、品質の安定化と量産体制の構築に取り組んでいます。現在は国際特許(PCT)出願に向けた準備を進めています。同時に、ロスフラワーを活用したプロダクトの開発・販売を行い、百貨店やイベントでの出店を通じて市場への展開を進めています。また、企業や行政と連携し、空間装飾や展示、ワークショップの企画・運営を行うことで、花の新しい活用方法を社会に提示しています。さらに、生産者・流通・販売をつなぐ仕組みづくりにも着手し、廃棄される花を回収し再利用する流れを構築しています。これらの取り組みを通じて、花が廃棄されるまでの流れそのものに介入し、新たな選択肢を社会に実装しています。
本活動によって、「花はやがて捨てられるもの」という認識に変化が生まれています。花はこれまで、短期間で消費される存在として扱われてきましたが、時間を超えて残すことができるという選択肢が広がることで、人と花との関係性そのものが変わり始めています。記念日や贈答においても、「その場限りのもの」ではなく、「時間とともに残り続けるもの」として花を捉える動きが生まれています。また、廃棄されるはずだった花が再び使われることで、環境への負荷を減らすだけでなく、「使い切る」という前提から「残す・循環させる」という新しい感覚が社会に浸透し始めています。本取り組みは、単なる環境対策にとどまらず、「消えていくことが前提だったものの在り方」を見直すきっかけを生み出しています。