SkinNotesは、アトピー性皮膚炎や敏感肌の「かゆみ・掻破・睡眠悪化」といった生活課題に対し、緑茶染めインナーシャツ/手袋を中心とした、「着るだけでケアできる製品」を開発・販売しています。
インナーシャツは、オーガニックコットン100%、縫い目が少ない、タグはプリント式等の肌当たりに配慮した素材を採用し、染料には規格外茶葉や廃棄茶園の茶葉を活用することで、肌への配慮と環境負荷低減を両立しています。
また、本活動は、単なる製品開発に留まらず、当事者・家族の「孤立」や情報格差にも向き合う点が特徴です。
オンラインではX上で当事者・保護者が悩みや工夫を共有できる情報交換の場を運営し、ケアの知見や生活上の工夫が循環するコミュニティを形成しています。
オフラインでも交流イベントや体験会を継続的に実施し、親子同士が安心して話せる場をつくることで、育児・治療・ケアの負担を軽減するとともに、現場の“生の声”を収集しています。収集した声は、縫製・当たり・サイズ・匂い・色・洗濯耐久などの仕様改善に反映し、顧客との共創によってプロダクトを磨いてきました。
プロダクトの検証としては、モニター調査で30名中25名が「かゆみが軽減した」と回答しており、生活課題に対するアプローチとして一定の手応えを得ています。
エビデンス構築に向けては、奈良県立医科大学皮膚科との共同研究を計画し、研究計画書はほぼ完成しています。医師主導での検証設計(染色済み/未染色の比較等)を前提に、論文化を目指して準備を進めています。
そして、将来の供給拡大を見据え、工房小ロットから量産へ移行するための染色試験・工程設計・品質均一化(QC)にも着手しています。
これらの活動は以下のような外部評価・実績としても表れています。
・第3回ビジネスプランコンテストOBUCs(大阪信用金庫主催):理事長賞(グランプリ)受賞
・大学SDGs ACTION! AWARDS 2025(朝日新聞主催):全国グランプリ
・石破茂 前総理大臣の視察にてピッチ・車座対談
・大阪ヘルスケアビジネスコンテスト2025:優秀賞(準優勝)
・第12回 Japan Business Design & Action Award 2025-2026 in 近畿:ビジネス部門グランプリ
・NIKKEI THE PITCH SOCIAL 2025-2026:全国大会登壇
・メディア掲載・出演:朝日新聞/日本経済新聞/神戸新聞/日刊工業新聞/毎日放送/テレビ和歌山
・大阪・関西万博に12日間出展
今後も「当事者コミュニティで得た生の声」と「医師主導の検証」を両輪に、継続できるケアの社会実装を進めます。
私は神戸大学起業部の出身で、在学中から起業・経営に関する学びと実践を積み重ねてきました。あわせて私自身もアトピーの当事者であり、症状そのものだけでなく「続けられない」「説明しづらい」「周囲に理解されにくい」といった生活上の摩耗まで、患者目線で捉えながら事業を設計しています。
大学卒業後は、神戸新聞社が運営する共創施設「ANCHOR KOBE」にてサブマネージャーを務め、コミュニティ活性化、会員企業・スタートアップ間のビジネスマッチング、イベント企画運営などを担当してきました。多様な企業・行政・大学・個人が交差する場で、課題の言語化、関係者の利害調整、協業テーマの具体化、実行までを推進する力を磨いています。
この経験はSkinNotesに直結しています。具体的には、当事者・家族が安心して本音を共有できるコミュニティ運営、製品改善に繋げるヒアリング設計、研究・量産・販路を見据えた協業先の探索と提案、共創プロジェクトの立ち上げに活かしています。私は、当事者としてのリアリティと、共創を前に進める実務力の両方を強みに、患者と医療・産業の間に立って価値を翻訳し、SkinNotesの社会実装を加速させます。
私たちが実現したい未来は、アトピーの子どもや家族が、かゆみを我慢する日々や、掻いてしまう自分を責める時間から解放され、前向きに暮らせる社会です。
アトピーの困りごとは、皮膚症状だけでなく、睡眠、学業・仕事、外出、家族関係、自己肯定感といった生活全体に広がります。特に小学生は、薬や保湿を継続しづらかったり、親の目が届かない場所で掻いてしまったりと、「意思」だけでは解決できない構造的な課題を抱えています。
そして、治療において医療は不可欠ですが、医療だけでは埋まりにくい領域があります。汗や摩擦、乾燥、空調、睡眠不足など、生活の中で日々積み上がる悪化要因は、家庭内での工夫に依存しがちで、情報格差や孤立も生まれます。そこで私たちは、衣服という“毎日必ず触れる接点”から介入することで、ケアのハードルを下げ、生活の中で継続できる選択肢を標準化したいと考えています。
また、SkinNotesは「患者と医療の間に立ち、双方の言葉を翻訳する存在」になりたいと思っています。
患者の体感は重要ですが、そのままでは医療や社会に伝わりにくいことがあります。一方で、医師の意見も生活に配慮されておらず、患者に伝わらないことも多いです。
そのため、医師が重視する安全性・再現性・説明責任の観点を理解した上で、当事者の実感を検証可能な形に落とし込み、納得感のある形で社会実装していきます。
さらに、規格外茶葉や廃棄茶園の茶葉を活用し、環境負荷を下げながら地域資源を循環させることで、ヘルスケアとサステナビリティを両立した産業を育てます。
アトピーで困っている人は世界中に存在しているため、将来的には海外へ展開し、「着るケア」が当たり前に選べる未来をつくります。
SkinNotesは、描く未来の実現に向けて、以下の4つを同時並行で進めています。
①プロダクト改善 ②エビデンス構築 ③コミュニティ運営 ④量産化(供給体制)
まず、プロダクト改善では、当事者・保護者のヒアリングやアンケートを継続し、着用シーン・部位別に仕様を整理しています。具体的には、縫い目により刺激が出やすい部位の縫製、サイズ設計、タグの扱い、汗・乾燥時の不快感、匂い、色、洗濯耐久といった要素を分解し、試作→評価→改善を繰り返しています。単に「良かった/悪かった」ではなく、「いつ・どこで・何が起きたか」「リピートを阻害した要因は何か」まで深掘りし、仕様と運用に落としています。
次に、エビデンス構築では、奈良県立医科大学皮膚科との共同研究を進めています。研究計画書はほぼ完成しており、医師主導での比較設計や評価指標の整理を行い、論文化に向けた準備を進めています。また、皮膚科クリニック等の医療機関での導入検証や協力先の開拓を進め、日常環境下での再現性を高める設計に注力しています。
そして、コミュニティ運営では、当事者や家族が悩みや工夫を共有できる場をつくり、孤立しがちな育児・治療・ケアの負担を軽減しています。コミュニティは、単なる交流に留まらず、継続データや生の声を集約し、プロダクト改善と研究設計に反映する“共創基盤”として機能させています。
最後に、量産化については、工房小ロットから品質を揃えた供給へ移行するため、染色試験、工程設計、品質均一化、コスト構造の把握を進めており、特許化も見据えています。地域の染色・縫製事業者との連携を強化し、職人技を工業的手法へ変換することで、安定供給の基盤づくりに取り組んでいます。
SkinNotesの活動は、医療だけでは埋まりにくい「生活ケア」の領域に介入し、アトピー当事者と家族のQOL向上に寄与します。かゆみや掻破は、睡眠の質、学業・仕事の集中、外出のハードル、自己肯定感に直結し、家庭内の見守り負担も増大させます。そのため、日常に組み込みやすい“着るケア”を提供することで、継続しやすいセルフケアの選択肢を増やし、生活の安定につながる可能性を広げています。