圓井 仁志

氏名 圓井 仁志
所属企業・団体名 圓井繊維機械株式会社
所属企業・団体役職 新規事業部長
推薦青年会議所 一般社団法人大阪青年会議所
活動カテゴリー ビジネス、経済、起業, 科学技術
SNS・HP 【SNS】
Facebook(個人アカウント):(https://www.facebook.com/hitoshi.marui)
Instagram(個人アカウント):(https://www.instagram.com/hitoshi_01)
Linkedin(個人アカウント):(https://www.linkedin.com/in/hitoshi-marui-5213232a9/)

【HP】
圓井繊維機械株式会社(https://www.marusans.com/)

【記事等】
日経クロストレンド様(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01038/00002/)
ナレッジキャピタル様(https://kc-i.jp/activity/salon-event-report/thursday-salon/20250130/)
TIME WELL MEDIA様(https://timewell.jp/timewell-media/contents/CO2)

活動エリア及び活動内容

弊社は大阪市内にある繊維工業の会社です。繊維加工機械・繊維製品・繊維素材の製造と、研究開発に従事しております。活動地域は、日本国内・アジア・欧州が多く、各企業様や大学等研究機関様への商品の販売と、共同研究開発等を行っております。繊維業界では、アパレル産業が一般視されますが、弊社では人工血管等のメディカル分野、スペースデブリ(宇宙ごみ)回収装置に使用される資材を開発する等の航空宇宙分野、自動車分野、エネルギー分野等、多種多様な業界の方々と連携し、弊社の培ってきた繊維技術のノウハウを用いて新規製品を開発するなどの業務を行うことが多くあります。特に最近では、世の中になかった繊維素材(糸)の開発業務に注力しており、私が主担当を務めております。

活動内容写真

経歴 自己PR

【経歴】
2009年 同志社香里高等学校卒(ラグビー部主将)
2013年 同志社大学政策学部政策学科卒(スポーツ法政策専攻、・体育会ラグビー部所属)
2015年 佛教大学歴史学部歴史学科通信教育課程修了
2016年以降 中高学校教員、ラグビーコーチ業、飲食業経営、清掃業経営、造園土木業経営、造園土木業社員、工務店業経営、現職(圓井繊維機械株式会社)
2023年 国家プロジェクト:経済産業省イノベーター育成事業「始動 Next Innovator 2023」年間最優秀賞受賞(受賞事業名:空気からつくる糸)
     経済産業省・JETRO「J-StarX シリコンバレー派遣事業」選抜

【自己PR】
私は、中学校時代は大変燻った学生生活を送っておりましたが、当時ラグビー部顧問だった恩師に救われ、その後の勉学や部活動に励むことができました。おかげで、部活動では大阪府選抜代表として全国優勝を果たし、高校も希望の進路に進むことができました。その実体験から、「恩師のように人の人生に役立てる人間になりたい。」と強く志したと共に、「私のような恵まれた出会いがあるのが、人々にとって偶然であってはいけない。」という思いに駆られ、「社会全体の教育に影響を与えたい」という願いを抱き、15歳当時から学校教員になることを決意しました。そして、大卒後は中学・高等学校で教諭を務め、順風満帆な社会人生活を送っておりました。しかし、学内で先輩教員からの一方的なパワハラを受けてしまい、精神を患い、ストレスが原因で内臓等の身体にも影響を来すようになったため、最終的にはドクターストップで夢を絶たれた経験があります。
その後、数ヶ月の入退院を経て社会復帰しましたが、特に力を込められる職には就けず、いくつかの事業を立ち上げましたが、最終的には全て閉業する決意をしました。次第に、「教育へ影響をもたらせるためには、事業家として大成することが必要である。」と考え、兼ねてから興味のあった工務店業を立ち上げました。しかし、そこでもビジネスの学びが足りず、元請け業者に多額の金銭を持ち逃げされ、大きな損失を受けると共に、同時期に雇用していた従業員からの横領等にも遭遇し、再び閉業に追い込まれました。未熟さゆえに家庭も守り切ることができず、娘がおりましたが、離婚するに至ってしまいました。そんな中、全く承継するつもりが無かった家業である現職を手伝うこととなり、現職に就任するに至りました。当初現職に就く気概が無かった理由は、業界の衰退と、弊社の経営不振が目に見えて分かっていたからです。弊社は非常に厳しい状況でした。
しかしながら、成り行きで入社した家業を立て直すべく、ビジネスを一から学んでいる最中、メンターの1人から以下の言葉を頂戴しました。
「不正解を正解に変えるのが事業家の仕事だ。」
私は、この言葉はビジネスだけではなく、人生そのものに置き換えて解釈しています。それまで考えが未熟であった私には、人生の大半が不本意なものであるように映っておりました。しかし現在では、その全てを正解に変えることこそが、事業家として生きる私の仕事であると捉えています。
それ以降は意欲的に事業と向き合うようになり、2023年度には自身の事業プランが国家プロジェクトにてご評価いただき、国費で渡米させていただくことにも繋がりました。大阪万博への出展やメディアへの露出も叶い始め、少しずつではありますが、それまでの家業では至れなかった場所や、出会えなかった人々にも恵まれるようになって参りました。まだまだ家業は安定しているわけではなく、また私の夢の達成にも遠い道のりでございますが、今後も家業の再編と、社会・教育への貢献が成せる事業家になれるよう、精進を重ねて参りたく存じます。

VISION(この活動を通してどのような未来を実現したいか)

私が担当しております業務は、新しい繊維素材の開発です。それはPOM繊維と言い、これまでの繊維素材(ポリエステルやナイロン等)とは異なる製造工程で作られます。上記のような既存の繊維素材は、そのほとんどが石油由来で製造されるため、大量の温室効果ガスを発生させる問題がありました。それら石油由来の繊維素材は、業界での使用率が7割を超えており、世界中で大量に消費されております。それに伴って排出される温室効果ガスの量(繊維業界全体が排出する数量)は、国際航空業界と国際海運業界の出す温室効果ガスの量を足しても足りないとまで言われており、国連機関からは「繊維産業は石油化学工業を除いて世界で1番の汚染産業である」とまで揶揄されています。繊維業界の中で、サスティナブル性に長け、さらに実用に至る強度や物性を保有する繊維素材(糸)の開発は世界的な急務事項であると言えます。一方で、弊社の製造する繊維素材は、石炭燃焼時に排出されるコークス炉ガスから成分を抽出して製造されます。コークス炉ガスには大量の一酸化炭素やメタンが含まれており、それらは二酸化炭素以上に温室効果があると言われています。弊社の製造するPOM繊維は、それらのような汚染物質を再利用して生産されるため、現時点でも非常にサスティナブル性が高いものであると自負しております。さらに将来的には、二酸化炭素由来でも製造できる技術が見込まれており、更に画期的なカーボンニュートラルを実現できるものであると示唆されています。私は、本製品を、アパレル業界やインテリア・魚網・ロープ・コンクリート補強資材、自動車資材等、繊維が大量に使用される様々な市場へ導入し、汚染産業と指摘される繊維業界を救う一役を担いたいと願っております。また、現状日本の繊維産業は著しく低迷しておりますが、その中からグローバルに通用する素材を提供することにより、今一度日本の繊維業界は世界に伍することを証明するとともに、国内の業界の再編に寄与したいと考えております。さらには、弊社のような零細規模の製造業からイノベーションをリードすることにより、他業界の中小・零細製造業従事者への再興手段の一例として参考いただける役目を果たしたいと考えております。本製品以外においても、弊社は様々な大企業様や大学様・スタートアップ企業様との連携から、数々の新規商材を生み出して参りました。特に経験上、近年成長著しいスタートアップ企業様との連携は、我々中小製造業にとって新規事業創出の一役を大いに担うものであると確信しております。私はこのような、中小製造業とスタートアップ企業との連携こそが未来の日本における中小製造業再興戦略になると考えております。まずは社業を躍進させることで経験と実績を積み、将来的に「日本における新しい産業のあり方」を提唱できる人材になること、またそれらビジネス社会で得た経験を教育界に活かし、人類の自己実現と多様性の尊重を促すことができる人物になることが、私のビジョンです。

ACTION(ビジョンを実現するために今行っている具体的な活動)

私のビジョンである「日本における新しい産業のあり方」を提唱できる人材になること、またビジネスでの経験を教育に還元できる人物になることを達成するために、まずは目の前の社業において、グローバルに通用するイノベーションを果たすことが必要であると考えております。そのためには、第一に自身が担当する「新しいサスティナブル繊維事業」・「スタートアップ連携事業」を推進することに注力しております。「新しいサスティナブル繊維事業」においては、現段階で製品が充分に社会実装できるフェーズに達したため、まずは国内の各企業様へ対する営業活動・広報活動に注力しております。また、本事業はグローバル規模の展開を目標としているため、ファイナンスマネジメントの観点より弊社からカーブアウト起業し、スタートアップ企業として新たな新会社を設立、その後はエクイティ獲得を目指して事業を運営する予定です。後者の「スタートアップ連携事業」に関しては、数社のスタートアップ企業様の持つビジネスの商材を製造する現場の提供や、実証実験を弊社で担っております。中には既にグローバルに多くの顧客を獲得されている企業様もおられ、弊社としては彼らの成長を技術面から後押しすることに尽力しております。加えて、弊社以外の中小企業様とスタートアップ企業様の連携を促す組織の結成や、学生様へのアントレプレナーシップ教育の提供など、社外での活動も積極的に行っております。

IMPACT(あなたの行っている活動は社会にどのような影響を与えているか)

現在、世界の中で石炭燃焼時に排出される汚染物質(コークス炉ガス)から繊維素材を製造している企業は、弊社と、連携している中国企業のみであると自負しております。これは、繊維産業において熱望されてきた「サスティナブル且つ社会実装するに値する充分な強度や物性を保有する繊維素材」の開発において、ほとんど例を見ない繊維素材の実現であると考えます。これまで、繊維素材のサスティナブル性を追い求めた企業は数多くありましたが、量産技術や価格設定、素材としての強度・物性を充分に確保できない等の面で、社会実装されるケースは多く見られませんでした。弊社の取り扱うPOM繊維はそれらを克服し、ビジネス化の可能性を大いに秘めたものとして注目して頂いております。これが実現すれば、繊維業界全体が抱える環境汚染問題を是正し、地球環境保全に向けた一役を担えるのではないかと考えております。また、コークス炉ガスの再利用法については、これまで主に鉄鋼・石炭業界が中心に莫大な費用を投資して行われてきました。それらの多くは、コークス炉ガスを利用したメタノール等の原料製造や、エネルギー資源生産への応用が目的とされてきましたが、繊維素材への変換を果たしたものはいなかったのではないかと考えます。その側面から、鉄鋼・石炭業界等のコークス炉ガス再利用研究の分野や、その他の「廃棄物再利用研究」の分野へ対しての影響も果たすことができるのではないかと考えております。加えて、弊社のような零細規模の企業からグローバルに通用する商材を提供することが叶えば、日本社会全体への、経済的・心理的貢献が果たせるのではないかと考えております。