過去の受賞者のその後 株式会社Capybara 山﨑恵さん

2019年に開催された第3回価値デザインコンテストで、見事内閣総理大臣賞を受賞された株式会社Capybara 代表取締役 山﨑恵(やまざき けい)さんにお話を伺いました!

 

株式会社Capybara 
東京都新宿区下宮比町2-28-815
代表取締役 山﨑 恵
https://www.capybara.co.jp/

お仕事内容を教えてください!

ママ職®というサービスを展開しています。
子供と一緒にいながら仕事ができたら。育児と仕事が共存できたら。そんな思いを叶えるための仕組みです。
クラウドソーシングで、企業の事務作業、経理、秘書業務などを請け負っています。
ママということはハンデではなく武器になる。ママたちが子供を抱えながら仕事を生き生きとできる世の中にすること。それは人生をかけてやるだけのプロジェクトなのではないか。そう思っています。『ママだからこそ!』それがママ職®の理念です。

Capybara(カピバラ)という社名、かわいらしくてとても素敵ですよね。

一緒に立ち上げた仲間が、「ママと子供達に関わる仕事だし、動物の名前とかいいんじゃない?」って言ったんです。いろいろ調べてみるうちに、カピバラって集団で子育てをする習性があることを知ったんです。
Capybaraが目指すのは、まさに、みんなで子育てする世界観をつくること。
それでこの社名に決めました。

 

起業されたときは専業主婦だったとのことですが、起業のきっかけは?

大学を20歳のときに中退して、個人事業主として5年やってたんです。その後引き抜きにあって研修会社でがっつり働いて、出産を機に退職しました。3歳までは自分の手で育てたいと思って専業主婦になったんですけど、どうやらパワーが有り余ってたんですよね。(笑)
在宅で秘書業務をしたことがきっかけで、こういう働き方をしたい人が他にもいるかもしれないと思ったんです。

子育てしながら会社も育ててこられたモチベーションは?

ママ職®に登録するときの登録理由に「こんなのずっと探してました!」というものがとても多いんです。
世の中の人に求められてると感じるので、それがモチベーションですね。
危機はたくさんありましたけど、やめようと思ったことは一度もないです。

働きたい側の気持ちもうまく拾っているし、社会的にも有能な女性のスキルの損失を防いでいますよね。ママ達に仕事をまわしていく上で気をつけていることはありますか?

バランスですね。
女性は仕事と家庭、両方うまくいってないとだめなんです。
実は当初、このバランスを取れずに失敗していて。とても大きな仕事を取って、それを10人くらいでやろうとしたんですが、ヘビーすぎて半分くらい脱落してしまって。

 

仕事内容がハードすぎたんですか?

ハードすぎて無理ってなった人もいれば、旦那さんからNGが出た人もいます。
ママ職®は、仕事も家庭も両方ののぞみを叶えるために作ったものなので、どちらかだけじゃ意味がないんですよね。
ただ、仕事のクオリティは担保しなきゃいけないし、当然Capybaraのビジネスとしても成立させなきゃいけない。
そこをうまく仕組み化して両立させるのが事務局の腕の見せ所です。

 

勝手にもっとふわふわした感じをイメージしてたんですが、思った以上にストイックでした!

そこはやっぱり、仕事なので!(笑)
ふわふわしてるだけじゃ成立しないですよね。

 

そういうところが、クライアントへの信頼と安心に繋がっているんでしょうね。
私はまだ子供がいないんですが、正直、働きながら子育てする想像がつかないんです。

想像を絶しますよ。(笑)
子供にあれしてあげたい、マリア様みたいな母になりたい、まずはそんな理想を捨てるところからです(笑)
寝れない、食べれない、お風呂もゆっくり入れない、トイレもゆっくり行けない。そんな基本欲求がままならない状況が1、2年続くとほんとに厳しいですよね。
だから個人的には、やっぱり仕事をしている方が、切り離される時間があっていいと思ってます。

 

子供が家にいてもテレワークってできるものですか?

1〜3歳だと1日2〜3時間くらいで、自分のペースでできる仕事をやっているママが多いですね。
子供の昼寝中や寝てからとか、本人が子育てとのバランスをとってやっています。
小学校ママだったら、もう少し時間は増えていくことが多いですね。

 

働き方を選べるというのも魅力ですね。

そうですね!
どんな働き方でもいいのがママ職®です。事務局も含めてみんなママなので、お互いの状況も分かるし、フォローしてもらいやすい環境というのも魅力だと思います。

 

今後のママ職®の展開は?

1つ目は、地方創生をよりやっていきたいと考えています。過疎化している地方は移住者を増やそうとしますが、そこで出てくるのは「移住しても仕事がない」という問題。そこで、テレワークのスキルや仕組みを移住希望者や島の人に提供して、さらに仕事も作り出すスキーム作りを、行政と組んでやっています。
女性も、男性も、若手も、みんな、「本当の豊かな暮らし」を望みはじめている中、これからの100年時代の生き方のツールの一つとして、私ができることがまずそれからかなと思ってます。
これに関してはママだけに限定する気はないです。

2つ目は、まだまだこれからですが海外展開も視野にいれています。
日本のママ達が、海外の仕事をテレワークでやる、というような仕組みを仕掛けていきたいです。

価値デザインコンテストにエントリーされる方に一言お願いします。

人に伝えるために事業についてプレゼン資料を作ること自体に意味があると思います。受賞するとさらに副次効果があるので、ぜひ受賞目指してほしいです!

価値デザインコンテストで内閣総理大臣賞を受賞して、何か大きな変化はありましたか。

たとえば名刺に「内閣総理大臣賞受賞」とか書くと、初めてのアポイントメントや、行政に話をしにいくときや、人から紹介をされるときに、ステージアップした感じはありますね。自分自身が変わったというより周りの見方が変わったというか。
講演依頼(ライフワークバランス、テレワーク、SDGs、女性活躍など)が増えましたし、選ばれやすくなってきたかもしれません。

あと、「ママが内閣総理大臣賞とった!」って子供が喜んでくれました。
卒園式で将来の夢は「内閣総理大臣」って言ってました(笑)

 

お子さんも挑戦しているママの姿、嬉しいでしょうね。

自ら楽しんでいるその姿を子供に見せたいとは思ってます。
それは自分の子供に限らずですね。
子供達には自分らしく育ってほしいと思いますが、今、「型にはめた教育」の「型」がもっと狭くなっていると感じます。
学校を変える というよりは サードプレイスとか、別の時間で、子供達がより自分らしく生きられる場所を作りたいですね。

 

まさに「カピバラ」の子育てですね。

そうですね、実現したいのは、みんなで子育てをする世界観。
これからはAIやIoT、今自分が使っていないツールがどんどんでてきます。
子供達はメタバースにもひたる世代になります。
「このツールを使って何ができるか?」ということが大切になりますが、何をつくりたいか聞いても「何を作りたいかわからない」子が多いんです。
でも本来は絶対にあったはずで、その「これやりたい」という気持ちを引き出していきたいですね。そういうことを楽しめる大人が増えればそういう社会になってくると思っています。


▲ みかん農家さんで。

それから、電子系に触れることが増えるからこそ、自然や生き物に触れる機会を増やしていきたい。
実はみかん農家さんに、「好きにしていいよ!」と言われている山があるんです。
それを今、みんなで開墾してます。
自然体験を提供したいのではなく、「こんな素材があるから、こうしてみよう」と自ら試行錯誤してみる ということができるようになってほしい。
社会にそういうものを作っていきたいです。

こういう大人がいると、子供達が大人になるのが楽しみになりますね。
子供だけでなく、窮屈さを感じている大人も。

「こうあるべき」をつぶしていかないと、と思っています。いろんな形があっていいし、いろんな生き方があっていい。そして、それは変わっていっていい。
今までは、期限を決めて目標を定める「べき」だと思ってたから考えてましたけど、それもしなくなりました。自分が作りたい世界観に対して、動くときは動いていれば、またその先の世界が勝手に広がっていく気がするんです。10年後なにをするかというよりは、そういう生き方に変わってきました。

 

 

よりしなやかに進化し続けておられるんですね。「こうあるべき」でガチガチに固められるよりも、「こうありたい」をベースにした生き方は、これからの世の中に必要なものだと感じます。
今日は本当にありがとうございました!