西田 宏平「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現」

氏名 西田 宏平
所属企業・団体名 株式会社TOWING
所属企業・団体役職 代表取締役
推薦青年会議所・団体 Beyond Next Venture
活動カテゴリー ビジネス、経済、起業, 科学技術
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活動エリア及び活動内容

活動エリア: 愛知県名古屋市

活動内容: 名古屋大学発グリーン・アグリテックベンチャー企業を創業し、サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現に向けて活動しています。同社のメンバーとともに、土壌微生物の培養・スクリーニング技術をコアとして、みどりの食料システム戦略で策定されている農業分野のゼロエミッション化、化学肥料の使用量30%低減、化学農薬の使用量の低減といった課題解決に向け、「高機能バイオ炭」の開発、事業立上を実施しています。現在、日本を中心に、東南アジア、アメリカ、ブラジルを次点展開地域として、プロジェクトを展開しています。

活動内容写真

経歴 自己PR

1993年生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科修了後、㈱デンソーにて研究開発職に従事。同大学在籍時に農業や環境問題に興味を持ち、人工土壌技術に出会いTOWINGを創業。

TOWINGは名古屋大学発グリーン・アグリスタートアップで、温室効果ガス排出削減と、減化学肥料・有機転換を同時に実現する土壌改良資材である、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)※」を開発しました。
S-Booster2019などの受賞を経て、2020年11月に独立。2023年4月までに累計10億円の資金調達を実施し、TOWINGが掲げるミッション「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現する」に向けて尽力しています。
主な受賞・採択歴として、世界を変える30歳未満「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」に選出、JAアクセラレータ―第4期採択、三菱UFJ銀行が主催するビジネスコンテスト「第8回Rise Up Festa」最優秀賞などがある。※農研機構が開発した技術と、弊社独自のバイオ炭処理・微生物培養技術を融合して実現

VISION(この活動を通してどのような未来を実現したいか)

サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現したいと考えています。その中で、まずはみどりの食料システム戦略やEUのFarm to Fork戦略、米国の農業イノベーションアジェンダでも定義されている、①未利用バイオマスの処理、②化学肥料の枯渇・高騰、③温室効果ガスの排出削減 といった課題の解決に貢献したいと考えています。

課題①未利用バイオマスの処理
日本においては、農林水産分野にて約3,000万トンが廃棄・焼却処分されています。
(農水省「バイオマスをめぐる現状と課題」より抜粋)

課題②化学肥料の枯渇・高騰
化学肥料の窒素、リンについては、すでに地球上から枯渇の方向に向かっています。また、直近のウクライナ問題に端を発し、化学肥料そのものの価格高騰も発生しています。これらの問題から、化学肥料の使用量削減と共に有機肥料の一部または全部切り替えが重要な解決課題となります。(農水省「みどりの食料システム戦略(本文)」より抜粋)

課題③温室効果ガスの排出削減
国内の農業分野でのGHG排出量は国内5000万t-CO2、グローバルだと54億t-CO2の排出しています。2050年に向け、ゼロエミッション化が求められています。(農水省「みどりの食料システム戦略(本文)」より抜粋)

ACTION(ビジョンを実現するために今行っている具体的な活動)

植物残渣(もみ殻や剪定枝など)や家畜糞、食品加工残渣(コーヒー豆かす、茶殻)などを炭化したバイオ炭(多孔体)に、独自スクリーニングした土壌微生物を付加し、有機肥料で培養した「高機能バイオ炭」を開発しています。本来であれば廃棄・焼却される植物残渣、家畜の糞、食品加工残渣等の炭化物を原料として高機能バイオ炭を製造することにより、農地への炭素固定や吸収など、GHG削減効果も期待できます。GHG削減効果に基づくカーボンクレジット(排出権)発行にかかる代理申請、販売も行います。カーボンクレジットの収益の一部は、生産者が次回高機能バイオ炭を購入する際のディスカウントとして活用します。

IMPACT(あなたの行っている活動は社会にどのような影響を与えているか)

下記の3つのインパクトを与えることができます。

インパクト①:未利用バイオマスのアップサイクル
地域で処分に困るバイオマスをアップサイクルし、地域の農業に還元するためのモデルを実現します。これまでに100種類以上の未利用バイオマスを原料とした高機能バイオ炭のラボレベルでの製造実証を行っており、有用性を確認しています。

インパクト②:有機肥料利用効率の向上、化学肥料の減肥
これまでの一般的な土づくりは5年かけて土づくりした畑土は有機肥料の利用効率が日当たり5%程度であるのに対し、高機能バイオ炭を導入して1か月で土づくりすると有機肥料の利用効率が日当たり40%程度となることを確認しています。通常の作替え期間と同様の1か月で土づくりを完了できること、また、有機肥料の利用効率を従来手法よりも8倍以上向上できるため、100%有機転換はもちろん、化学肥料を3割削減し、その3割分を有機肥料で賄ったとしてもこれまでの慣行農法と同等レベルの肥料供給力を維持できます。これにより、化学肥料を減肥しながら有機肥料へのスイッチングを促すことができると考えています。

インパクト③:農地への炭素固定でGHG排出削減にも貢献
高機能バイオ炭を構成する炭化物の効果により、農地への炭素貯留を実現する。バイオ炭の原料となるバイオマス種別によって変動するが、10a当たりのGHG削減効果は約1t-CO2を見込んでいます。弊社Jクレジットの方法論AG004「バイオ炭の農地施用」のプログラム認定を取得済みであり、同方法論いて高機能バイオ炭による農地への炭素貯留効果が認められています。

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