1 はじめに
私は、1986年5月に、現在は合併して山鹿市の一部となっておりますが、鹿央町という小さい町に生まれました。家族や近しい親戚に自営業を営む人は少なく、幼少期は、漠然と将来は公務員になるのではと考えておりました。そんな私が、何を思ったのか弁護士を志し、2018年は玉名の地にて自身で事業所を持つことを選びました。
そして、開業して1か月後には玉名青年会議所に入会しておりました。入会の動機は、自身の仕事を行うにあたって地元の知り合いを増やす必要があると考えたからです。この動機はいわば自分のためというものでた。このように、当初は、仕事につながればと思って入ったこの団体でしたが、実際に入ってみると、目先の損得を考えることなく、真剣に地域課題をはじめとする多くの課題に向き合い、その課題を解決するための目的や手法を考え、明るい豊かな社会を実現するために日々活動できることや、その活動を共にやっていく仲間に出会えたことに感謝するようになりました。現在、青年会議所に限らず団体、会議体は多数存在しており、残念ながら青年会議所もその一つと捉えられがちです。しかしながら、青年会議所は社会の課題を解決することで明るい豊かな社会を実現する唯一無二の存在です。そのような団体であるからこそ、青年会議所はこれからも真に必要とされる団体であり続ける必要があります。
2 私と熊本ブロック協議会との関わり
私は、熊本ブロック協議会には、2019年、2022年、2023年、2024年に出向しております。その中でも特に関わりが強かったのは2023年と2024年となります。また、2025年は理事長としてこれまでとは異なる角度からのかかわりを持つこととなりました。
⑴ 2023年(ブロック大会実行委員会副実行委員長)
2023年は、玉名青年会議所が主管としてブロック大会を行った年となります。この年、私はブロック大会実行委員会の副実行委員長として出向しました。ブロック協議会の役員ではありませんでしたが、多くのことを学ばせていただいた1年でした。メイン事業、総務広報、大懇親会及びエクスカーションについて各部会長を取りまとめる役回りを行うとともに、特にメイン事業についてメイン事業の部会長と二人三脚で構築を行ったことは今でもいい思い出です。LOM事業としては味わうことが難しい規模感での事業の実施は、その構築段階から実施に至るまですべてが新鮮でやることは数多くありましたが、いずれも能動的に行えたと考えております。
そして、この年にブロック大会の構築から実施を通じて、玉名青年会議所の会員ともより親密になった実感もあります。ただ、会員会議所会議を直接的に経験したわけではなかったこともあり、ブロック大会に求められる4益について、真の意味で理解していたわけではなかったことを翌年思い知ることとなりました。
⑵ 2024年(大会運営グループ担当副会長)
私個人としては、2023年にブロック大会については十分にコミットしたこともあり、やり切ったと考えておりましたので、2024年に副会長にて熊本ブロック協議会に出向することが決まっても、ブロック大会に関わるグループ以外のグループを希望しておりました。
結果的には、経験を買われたのか大会運営グループの担当副会長となりましたが、当初は思いがさほど乗っていなかったように思えます。加えて、今となって思うのは、そもそも私自身副会長という役職を十分に理解できていませんでした。前年が会員会議所会議の場を経験することなく、事業構築を最前線で行っていたこともあり、当初はどうしても視野が狭く、主管益に目が向いてしまいがちでした。これは、実行委員会にも熊本ブロック協議会に対しても迷惑をかけたという自覚があります。
とはいえ、その当時の井上会長のご助言もあり、ブロック大会における4益(この年は5益でしたが)についてやっと理解することができたと考えております。そのような中、ブロック大会はブロック協議会の運動の最大の発信の場といわれる通り、その構築も改めて大変ではありましたが非常に有意義な時間を過ごすことができました。
2024年のブロック大会は主管を水俣青年会議所が行いました。前年の玉名青年会議所に比べると人員も限られており規模を縮小することも考えられましたが、むしろ前年より規模も大きく、内容も深いもの実施していただきました。紆余曲折はございましたが、最終的には水俣地域に限られない熊本県全体としての課題を選定し、その課題を深堀するとともに、それを解決するための一つの手法を提供し、その提供に至るまでも多くの仕掛けを準備しました。この年のブロック大会やブロック協議会の役員として役回りを通じて熊本県内の会員とのご縁をいただきました。
⑶ 2025年(理事長)
2025年は、まだ始まって4か月目ですが、理事長として会員会議所会議に出席し、熊本ブロック協議会が計画する事業に対して意見をできる立場をいただきました。これまで出向者として構築側として携わってきましたが、また異なる角度から熊本ブロック協議会に携わることとなりました。私自身ブロック役員も経験しておりますので、各委員長が必死に事業計画を構築していることは理解できます。とはいえ、理事長は自身のLOMを代表して出席して議決権を行使する立場にあるため、まずは自身のLOMの会員にとって必要なことなのかという観点で会員会議所会議に臨むこととなります。これは役員時代も含めて言葉では理解しておりましたが、実感したのは今年が初めてといえます。この感覚というのは、ブロック協議会の会長をする場合、必ず必要になるものと考えます。
⑷ ブロック協議会への出向を通じて、志を同じくする同志らに出会い、自身の青年会議所への熱意が高まりました。また、理事長としてブロック協議会に携わることで、ブロック協議会として必要な感覚をより自覚できました。
3 ブロック協議会としての在り方
ブロック協議会は日本青年会議所の一端を担いながら、最もLOMに近い協議会となります。LOMに最も近いという立ち位置はLOMに最も寄り添うとともにLOMにとって必要とされなければなりません。私自身、これまで熊本ブロック協議会に出向する中で、熊本ブロックはこれまでそのような協議会としての在り方を全うしてきたように思えます。であるからこそ、これからもそうあり続ける必要があります。
4 2026年度の熊本ブロック協議会について
⑴ 会員の拡大と人財育成について近年、青年会議所は会員の減少が全国的な問題となっております。熊本県内においても会員拡大が成功しているLOMとそうではないLOMとが存在するのが現状です。会員の減少は、事業や例会の縮小につながるとともに、組織の運営そのものを難しくしてしまいます。そして、最終的にはLOMの存続にかかわる問題となります。青年会議所が地域にとってそして会員にとって、より必要とされる団体となることで会員の減少を防ぐ必要があります。そして、より多くの会員を迎え入れて、明るい豊かな社会に繋げていく必要があります。
そのためには、まず現在在籍する会員に、より青年会議所の必要性を自覚していただく必要があります。個々の会員が、青年会議所を必要とすれば、それぞれが自分の言葉で拡大を行うようになります。そして、熊本ブロック協議会としては、LOMに最も近い協議会であることを最大限に使って、LOMに所属する会員に青年会議所に在籍する意義や青年会議所に所属することで得られる価値をLOMと共に伝えていく必要があります。そして、出向を通じて大きく成長できることも伝え、実践していくことも肝要です。私自身、熊本ブロック協議会に育てていただいたという自覚はありますし、恩も感じております。
会員の拡大と人財の育成は両輪であると考えられます。片方だけうまくいくということは考え難く、人財が成長したことで成長した人財がそれぞれ拡大担当者として活動し、その拡大によって入会した会員を成長させることでその会員にとって青年会議所を必要としてもらい、退会を防ぐとともに、次の拡大につなげていくことが理想といえます
⑵ 防災について
熊本県は2016年には熊本地震を2020年には人吉の豪雨災害を経験しており、防災に対する意識は強い地域であると考えられます。しかしながら、大規模災害から時間が経過することで、防災の意識が徐々にではありますが薄れてくることはやむを得ないものです。よって、熊本ブロック協議会としては、引き続き防災のために、会員や地域住民の意識醸成を図り続ける必要があり、これには終わりはないと考えられます。
加えて、熊本ブロック協議会はこれまで、災害に備えるために、社会福祉協議会との災害協定の締結等、発災時に備えるための仕組み作りにも注力してまいりました。LOMに最も近い総合調整機関として県内各LOM間の調整はもとより、日本青年会議所、九州地区協議会や場合によっては他のブロック協議会、青年会議所以外の団体との調整と熊本ブロック協議会としての役割は非常に大きいものというほかありません。この点も引き続き各団体との関係強化やよりよい仕組み作りを推し進めていきます。
⑶ 熊本ブロック大会について
本年は、ひとよし球磨の地にて58回目のブロック大会が開催されることとなっております。熊本ブロック協議会は、熊本地震の際も、新型コロナウイルスが蔓延していた時期でも試行錯誤を繰り返しながら、一度も途切れることなく、ブロック大会を開催してまいりました。これはこの大会が熊本ブロック協議会として本当に必要であると考えられてきたからにほかなりません。この先人たちの想いを次代に紡いでいく必要があります。
私自身、これまでの経験からブロック大会には人一倍思い入れがあります。先述の通り、ブロック大会はブロック協議会の運動の最大の発信の場です。そして、ブロック大会はその昔、会員大会と呼ばれていたとお聞きしております。であるからこそ、主催者益、参加者益、主管益、地域益の4益はいずれも重要であることに異論はございませが、特に参加者益への配慮が行き届き、熊本ブロック協議会内の会員にとっての学びになる大会を行う必要があります。それが、結果として熊本ブロック協議会をLOMにとって必要であると感じてもらうことに繋がりますし、ブロック協議会の運動の最大の発信の場たらしめることに繋がると確信しております
⑷ 必要とされるために
熊本ブロック協議会は、熊本県内の課題に対して一石を投じるとともに、県内各LOMから必要とされ続ける必要があります。そのためには、常に必要とされるための努力を続けていかなければなりません。例えば、2025年の熊本ブロック協議会は永田会長のもと、新たにビジネス推進委員会を設置しました。これは時代や地域のニーズを適切に把握することから導かれたものであると思料します。
熊本ブロック協議会としては、これまで記載した各項目に限らず、常にアップデートを続けていき、必要とされ続ける運動を展開していかなければなりません。
5 むすびに
青年会議所は、私自身がそうであったように多くの方は「自分のため」に入会します。ですが、「自分のため」に入会した人が、活動や運動を通じて自然と「他人のため」「社会のため」という意識が身につくように、所属の目的が変わっていく不思議な団体です。そして、この目的が変遷する過程を通じて、目先の関係にとらわれない真の人間関係を構築できる団体でもあります。このような唯一無二の団体が、今後も必要とされ続けるために、熊本ブロック協議会としてできることは多く存在します。青年会議所が今後も地域や会員から必要とされ続けるためにも、熊本ブロック協議会としましては、LOMを支援しながら、多くの成長の機会を提供できる協議会として在り続けます。