公益社団法人日本青年会議所 北海道地区協議会
会長基本方針
2017年 会長 横田 貴之

地域の未来は人が創る

可能性に満ち溢れた北海道の創造

【はじめに】

自分が生まれ、育ち、住まう街を誇りに思えるかとの問いに自分は誇れるものはないと答えたのは、忘れもしない青年会議所における入会時の面接に質問されたときの自分の答えである。あれから11年の月日が流れ、当時を思い出す度に青年会議所で頂いた様々な機会が自己の成長への学びと気づきを与えて頂いたからこそ、今の自分があるということに感謝しかない。
「意識を変える」ことはそう簡単なものではない。しかし、「意識が変わる」ことは
自分が主体的に行動をしていくことで可能である。何せ、この自分が青年会議所で頂いた実体験である。いわば、誰かがやってくれるのではなく、何事にも主体的に取り組むことが重要であり、青年会議所が先駆けて行動していくことが使命なのである。
現在の北海道はさまざまな課題を抱えている、人口減少問題、拡がる地域間格差、そして、2040年には消滅可能性都市が北海道の約8割にもあたると統計が示されており、そんな先の見えない閉塞感のなか、可能性に満ち溢れた北海道を創り上げるため、責任世代である我々JAYCEEが、未来を見据え主体的に行動していくことが求められている。地域を照らす原動力となれるのは、我々しかいないのである。今こそ先駆けの精神で、可能性に満ち溢れた北海道を創造しようではないか。

【国家の根幹は教育である】

2015年に公職選挙法等の一部を改正する法律が成立した。改正法の成立に伴い、公職の選挙における選挙権を有する者の年齢が満18歳以上に引き下げられ、2016年通常選挙において満18歳以上の者が選挙権を有することとされた。本改正法により、未来の日本の在り方を決める政治について、より多くの世代の声を反映することが可能となったが、一方で、これまで以上に、国家・社会の形成者としての意識を醸成するとともに、自分自身が国の抱える課題を多面的・多角的に考え、自分なりの考えを作っていく力を育むことが重要となるのである。つまり、自国を誇れる国家観、他を慮る道徳心、そして国を支える主権者意識を兼ね備えた「全うな日本人」を育成することが真の主権者教育なのである。国家の根幹は教育であり、教育が衰退することが国家の衰退に繋がることを理解しなければいけない。
しかし、現在の日本の教育には、主権者としての自覚と責任を培う教育が圧倒的に欠けている。我が国の未来を担う子供たちに、国家・社会の形成者としての意識を育むためには、子供たちの発達段階に応じた社会範囲の構成員の一人として、現実にある課題や争点について自らの問題として主体的に考え、判断するといった学習活動や具体的な実践・体験活動を学校、家庭、地域において実施していくことが必要である。
真の主権者意識を醸成した「全うな日本人」の育成のための全ての根幹には教育があり、日本の教育再生を実行することで「全うな日本人」を育成していきたい。

【真の自立国家確立の為の憲法輿論】

我が国は第二次世界大戦終結(大東亜戦争敗戦)を機に日本国憲法は、1946年11月3日に公布し、1947年5月3日に施行され、2017年で節目の施行70周年を迎える。日本を統治下においた連合国軍総司令部(GHQ)は、占領目的達成のための手段のひとつとして、アメリカ人によって僅か1週間で作成された憲法が現行の日本国憲法である。そもそも憲法とは、国民の自由と権利そして大切な命を護るとともに、それに見合う義務と責任を明確にするために存在している。さらに、制定年度で見ると世界の成文憲法を保有している188カ国の中で、古い方から14番目となるが、日本より古い憲法を持つ国では一度は憲法改正を行っているのに対し、日本国憲法は一度も改正されていない。いわば、日本国憲法は世界最古の成文憲法であるといえる。現在の目まぐるしく変わる時代の情勢の環境下で、果たして国民の命を護ることができるのであろうか。
われわれは施行70年が経つ今こそ、国民の自由、権利、命を護るために、いまこそ、国民一人ひとりがこの国の未来を憂い憲法輿論が確立し、自らの手で改正することで、初めて真の自立国家日本を取り戻すことができるのである。

【誰もが夢を描ける経済再生】

経済とは、「世をおさめ、民をすくう」という「経世済民」に由来する言葉であり、まさに「世のため人のためが自分のため」ということである。しかし、現在の経済主義は株主資本主義というシステムによって、経済の本来の意味は大きく捻じ曲げられ、株主資本主義で最も重視されるのは、利益を徹底的に目指すことであり、そのために、社会的違法行為に手を染めてまでも、利益を追求する企業も現れている。そこには、「経世済民」の理念はおろか、「目に見えないモノ」を大切にする日本人の価値観、他を慮る道徳心、「三方善」とした日本の商慣行すら存在しない。そして、物質的な豊かさではなく、モノづくりから始まる物語づくりを通して、人々の生活の質を向上するクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の考え方を広く伝播し、誰もが夢を描ける北海道へと進化していく戦略を道民に示していきたい。ただし、経済再生を果たし、誰もが夢を描ける北海道を実現するためには絶対に必要な条件がある。それは、1998年以降約20年間続いているデフレーションからの脱却である。デフレは総需要の不足によって生じるため、脱却するためには購買意欲や投資意欲を高めていくことが大前提である。しかし、デフレ期には生産性が低下し、生産者の所得が低下していくため、個人消費や企業の設備投資も減少し、総需要が増々縮小した結果、需要と供給の隔たりであるデフレギャップがさらに拡大し続けるというデフレスパイラルに陥ってしまう。この悪循環から脱しない限り、自国の安全保障を維持することもままならず、グローバリズムの波に呑み込まれていってしまう。
我々は青年経済人として、これまでの経済政策に対する調査・研究をし、デフレ脱却への真の財政政策を北海道庁に提言すると同時に、個人消費と企業の設備投資に向けた積極的な喚起の運動を展開していかなくてはならない。

【地域の自立自活に向けた地域再興】

第2次安倍政権で掲げられた目玉政策の一つである「地方創生」、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力をあげることを目的とした政策である。加速度的に進む日本の人口減少は、日本の経済社会にとって大きな重荷であり、今後も続くと推計される東京圏への人口流入に起因する、地方から始まり都市部へと広がる人口減少の是正のため、各地域の人口動向や将来の人口推計(地方人口ビジョン)、産業の実態や、国の総合戦略などを踏まえた、地方自治体自らによる「地方版総合戦略」の策定と実施に対して、国が情報・人材・財政の各種支援を、地方の自立性、将来性、地域性、そして結果重視の原則に即して行い、地方における安定した雇用の創出や、地方への人口の流入、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、時代に合った地域をつくり、地域間の連携を推進することで、地域の活性化とその好循環の維持の実現を目指すとしている。ここでこそ我々青年会議所の出番である、日頃から地域に根ざした活動をしている我々が各地で策定されている「地方版総合戦略」を調査、研究し、我々のアイデアで実際に地域再興を実現していくロールモデル地域の創出に挑んでいきたい。また、北海道地区協議会として「JC版地域総合戦略」を打ち出し、PDCAサイクルを回すことで、各市町村との政策連携を深化させていきたい。

【ローカルアイデンティティの創造】

「かけがえのない」存在とは何だろうか。市場経済における「交換価値」基準では測れない「非交換的な価値」にもとづく「絶対的な存在」こそが、かけがえのなさを形づくるということだと思う。これまでの成長とは、市場における活発的な取引による付加価値の創造こそが、成長であるという意識が、すべてを凌駕してきた。しかし、これからの地域の成長には、市場の交換価値を大切にしながらも、むしろそれだけでは測れない非交換価値の存在を地域の希望とする価値観や基準の形成が重要になるのである。交換することのできない絶対的な存在として、「故郷」がある。生まれ育ち、多感な青春時代を謳歌し、また心のなかにある自身の原風景であり、かたちは人によって様々ではあるが、現在の自分自身をかたちづくる根幹もしくは土壌として、「故郷」の存在は絶対である。
地域とそこにかかわる人々にとっての「かけがえのなさ」こそが、アイデンティティの根幹であり、「かけがえのない」存在は、希望や成長を生み出す源泉であり、今こそ、その再認識と再構築が必要とされているのではないだろうか。
ただし、かけがえのない存在とは、「故郷」にとどまるものではない。その地域の固有文化、自然、伝統、歴史、祭事などもまた、ローカルアイデンティティとしてのかけがえのなさをかたちづくる重要な要素である。それらの要素は、どんなに地域が寂れたとしても、人々がそこにいる限り、必ずや存在しているものである。そしてコミュニティをコミュニティとたらしめているのは、その地域で共有されている、それらのかけがえのない存在があるからなのである。

【第66回北海道地区大会釧路大会の開催】

地域再生のために必要なのは、地域としてのイノベーションである。そんなイノベーションを起こすには、地域のなかにまだ眠っていて、まだ可能性に気づかれていない存在を探し出すことである。それは必ず地域のなかにある。大事なのは「ないもの探し」をしないことであり、むしろまだ気づいていないかけがえのない存在についての「あるもの探し」こそが、重要なのである。2016年に観光庁は、「日本再興戦略」に基づき、世界に通用する魅力ある観光地域づくりを行うことを目指して、日本の観光におけるトップランナーとしてふさわしい観光地域を、「観光立国ショーケース」として全国から3都市を選定し、北海道で唯一釧路市が選定された。そんな可能性に満ち溢れた釧路から、主管である一般社団法人釧路青年会議所と、主催である公益社団法人日本青年会議所北海道地区協議会とが渾然一体となって、1年間我々が行ってきた運動の成果と道のりを確認しあい、これからも連綿とつながって行く我々の運動と魂を、次世代へとつないでいくことが北海道JCとしての強みをさらに増していくと確信している。

【エリアの旨趣】

北海道地区協議会には48会員会議所が存在し、この広い北海道、そこには未だ経験したことのない文化や風習があり、LOMが持つ独自性があり、エリアにも特徴がある。しかし、各地会員会議所の現状としては会員数の減少問題、LOMの会員数の半分以上が入会3年未満というLOMが急増し、指導する立場の者の絶対的経験不足も顕著に表れている。各エリア長はブロック会長と連携し各LOMへ積極的に訪問し、互いに課題共有をし、エリアとLOMが一体となり課題解決へ向けた連携をしていきたい。
また、LOMと北海道地区協議会の連携と運動に対し意見の集約をするために、活溌に議論されるエリア会議を運営し、事業への理解と連携を深めたい。そして、青年会議所の未来を牽引していくアカデミー研修塾生を育成し、各地域に必要不可欠とされる組織としての確固たる地位を継続させていきたい。LOMの規模に関わらず、それぞれの良さをさらに発揮していこうではないか。

【JCの価値を高める広報】

JCは何をしている団体か理解していないと言われたことがある。自分たちは地域のために時間もお金も使い真剣に運動をしているのにそのようなことを言われ、衝撃を受けた。今一度、JC運動に対して立ち止まる機会を頂き、「見ればわかる世界」から「見てもらう世界」に変革していかなければいけない。そのためには我々の運動が道民の共感を集め、より実行力を増していくには、JCの価値を多角的に高めていく必要がある。
SNSが一般化し、ICTの進化によりクラウドファンディングなどのシステムが活用されている今、たった一人で発信した情報が多くの国民の共感を集め、結果的に社会の仕組みを変えることも可能となってきた。JCの価値を意識した情報が発信されていくことで青年会議所のネームバリューが上がり、それと同時に我々の運動に共感し、JCの価値を理解してくれた道民が増加することで、青年会議所運動の広がりや説得力が増大し、自分の子供やその地域の青年を青年会議所に入会させようとする地域住民が増えていくのではないだろうか。また、我々が地域の未来のために挑み続ける姿勢を示していくことがJCの本分であると強く信じ、運動を多くの道民に発信し、次世代に残すべき北海道を創りあげていきたい。

【結びに】

山本有三著作の「路傍の石」にこのようなフレーズがある。
たった一人しかいない自分を、
たった一度しかない人生を、
本当に生かさなかったら、
人間生まれてきたかいがないじゃないか。

その一瞬に己の存在価値を賭け、
共に地域の未来を描いていこう。