あけましておめでとうございます。
新年のご挨拶を申し上げます。

本年度、公益社団法人日本青年会議所九州地区鹿児島ブロック協議会は基本理念「輝く個が和を紡ぐ夢と希望溢れる鹿児島の実現」に向け、スローガン「郷土に愛を ともに歩もう」と掲げ、一年間運動を展開してまいります。

自分は何のためにいるのか、なぜこの場所にいるのか、なぜ今の時代を生きているのか。自らの存在意義は何なのか。誰かにここにいなさい、ここで生きていきなさい、と誰かに生かされているのではないか、と感じることがあります。もちろん自分自身で判断し、選択してきたと信じています。人生は線のようになっており、自分の線の上を歩むと、誰かの線と交差し、その誰かと出会うのではないか。その線は直線ではなく、曲線だったり、折れ線だったり、長さも人それぞれ。その線が他の誰かと交わるとき、人はその人自身のみで構成されているわけではなく、その人がこれまで出会ったすべての人との関わりや、見聞きしたもの、感じたもので構成されているのではないかと感じることがあります。だからこそ、人には誰しも生まれてくる意味があり、誰しもかけがえのない人生を歩むうえで、果たさなければならない使命があると感じています。使命とは「命を使う」と書きます。自分の存在意義を考える時、限りある人生の中で自らの命を使って行うべきことは何であるのかを、自分を鏡に映すように、もう一人の自分と向き合い自問自答を重ねます。「使命」とは、自己の利益を考える「自利」の精神のみではなく、他者のことにも想いを馳せる「利他」の精神を併せ持つ考えの中にあります。「自利」と「利他」の精神こそが、青年会議所(JC=Junior Chamber)が過去より連綿と紡いできた、信条にあるTraining「個人の修練」Service「社会への奉仕」Friendship「世界との友情」から自然と培われるものです。

1949年、戦争の傷跡が街にも人々の心にも深く残る中、国の復興、再建は他の誰でもなく自分たちが担っていくのだという使命感に突き動かされJC運動が始まりました。人と自然が調和し国や地域を越えた結びつきで世界は成り立ち、人と人が出会い、つながりあって社会となっています。2020年より始まった、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界の、そして地域の分断を加速させました。社会的にも経済的にも私たちの生活スタイルにも甚大な影響を与え、私生活はもちろんのこと、青年会議所活動もまた同様に影響を受け活動縮小や自粛を余儀なくされました。この困難や課題から決して目を背けることなく勇敢に立ち向い、失敗を恐れず挑戦し、時代の変革者としての責任を果たすために一人ひとりが率先して明るい豊かな社会の実現を描いて行動しなければなりません。

私には2人の子供がいます。子供たちの未来を見据えたとき、未来に向かい今を生きる青年である私たちには、何ができるのかを考え、子供たちが大きな夢を描き続ける社会を築くために、青年会議所だからこそできることを考えなければなりません。私たちのまちの未来は明るいでしょうか。これから継続的に成長していく地域と言い切れるでしょうか。彼らの世代が、青年になる頃の約15年後のこの地域は、この国はどうなっているのか。はたして私たちにしっかりと想像することができるのでしょうか。また、その未来像を本気で描こうと考えている大人はどれだけいるのでしょうか。総人口に対する有権者の比率は8割を超え、子供たちが少ないまちでもあります。子供たちは声をあげられているでしょうか。その声は大人たちに届いているでしょうか。私たちは未来を常に見据えて物事に対峙し、行動を起こしていかなければなりません。地域の未来は地域の人々の思いが詰まった結果となるはずです。私たちの住み暮らすまちには選択肢が無数に存在しているわけではありません。私たちの故郷の明るい未来に向かって、何ができるのでしょうか。何もしないと何も変わりません。私たち青年世代は世代間のインターミディアリー(主体的仲介者)としての役割も果たす必要があると感じます。そのためには、三世代という考え方を持ち運動を構築していく必要があります。いつの時代も、何かが始まる、できあがるのは一人の想いが誰かに伝わり、共感してもらい、活動の輪を拡げていくことで成功してきました。もちろん、この世にある資源に限りがあるように、このまちにあるマンパワーにも限りがあります。そのためには、ある特定の人々だけが熱心に活動するというものでは足りません。地方公共団体や企業、商店街、町内会、学校、その他の組織など地域には、多種多様な分野で活躍する方々、様々な個性、強みを持つ方々がまちには存在しています。これらを最大限に活用するために、まず、一人でも多くの方がまちづくり運動に参加できる体制を構築し、多様な意見に触れ合える場が必要です。

地域の未来に向かって何か行動を起こそうとすると、マイナスの要素ばかりが目につき、足を踏み出すのが怖くなる時があります。「できっこない」と行動を起こすことさえ躊躇うこともあります。しかし、私たちは大人です。自分たちの、そして地域の子供たちにとって「ヒーロー」でありたいと思います。「できっこない」と諦めるのではなく、行動を起こしてこそ「成功」があるのです。成功の反対は「何もしないこと」であり、前向きに挑戦した結果の失敗はすべて成功へのステップになるのです。生きていくということは良いことばかりではなく、痛くて辛くて泣きたいこともたくさんあります。そんな時に誰よりも早く立ち上がり走っていける「ヒーロー」が一人ではなく、地域に増えれば、地域の未来はどんどん明るくなっていくのです。「政動社変」、政治が動かせば社会は変わる、という言葉がありますが、国全体で考えれば確かにそうだと思います。地域に置き換えて考えれば、「行動地変」、行政を動かせられれば明確に地域は変わっていくのです。

日本人のアイデンティティの中に連綿と受け継がれているもの、それが「和」の心です。和の心とは、個人を重視するのではなく、集団で行動することの中で秩序や規律、礼儀を重んじる精神を持つ心を言います。日本人は、古来より日本特有の協調性を重んじ、集団の中で目に見えない相手の心を読み取り、相手に想いを馳せることで波長を合わせ、争うことなく物事を円滑に進め調和を図ってきました。そのような「和」の心を持った日本人の行動は、2011年の東日本大震災時や、2016年熊本地震時のような有事の時に全世界から大きく評価され、日本人が持つこのアイデンティティに改めて気づかされた人も多かったのではないでしょうか。時にこの協調性が個性を失わせ、ビジネスの世界においては日本の国際競争力を弱めていると揶揄されることもありますが、個性というものは協調性が失わせているものではありません。何故なら人間は生まれながらに個性があり、長所短所がある中でお互いにその個性を認め合った上で、相手の意見を尊重し相互に理解しようとしているからです。都市部ではない地方だからこそ人と人とのつながりを強く感じることが多くあり、地域ぐるみでつながれている一体感を大切にしていきたいと考えています。私は、この「和」の心が満ち溢れた人材が地域を創造することで、今世界で起こっている多くの紛争はなくなると考えます。この国に生を享けたのならば、日本人のアイデンティティである「和」の心という長所を最大限に生かし、私たちの愛する地域を、より良い形に変えていこうではありませんか。「和」の心を持つことこそが、青年会議所の理念である「明るい豊かな社会の実現」「恒久的世界平和」につながるのです。

郷土に愛を ともに歩もう ではありませんか。

本年一年間宜しくお願い致します。

公益社団法人 日本青年会議所 九州地区 鹿児島ブロック協議会 2023年度会長 中村壯