公益社団法人日本青年会議所
東北地区宮城ブロック協議会
2026年度会長 高橋 正樹
【はじめに】
1949年、戦後間もない我が国で「新日本の再建は我々青年の仕事である」という強い覚悟のもと「明るい豊かな社会の実現」を目指し、英知と勇気と情熱を持った若者たちによって東京青年商工会議所が設立され、日本の青年会議所運動が始まり、互いに向上し合い、社会貢献しようという理念のもと各地に青年会議所が誕生し、現在では日本全国各地域に青年会議所が設けられました。これまで長きにわたり尽力いただいた諸先輩方の活躍があるからこそ、私たちは今日まで青年会議所活動ができることに感謝しなければなりません。今一度原点を振り返り、宮城ブロック協議会・県内11LOMの躍進につながる運動を展開してまいります。
昨今の社会情勢は異常気象により多発する自然災害、物価上昇、人口減少・少子高齢化に伴い社会保障費が増加し、公共支援の縮小が懸念されるなど社会問題は多様化しており、当たり前の日常を維持していくことが困難な方々が増加しています。だからこそ自身の住まう地域をより良くしたいという熱い想いを持った青年世代一人ひとりが率先して地域活性化のために行動していかなければなりません。そのために自身が住まう地域の課題を調査・分析し、目的を明確に示していくこと、そして目的を達成するために知恵を結集し、行動に移すことが大切であると感じております。私たちの取り巻く環境において様々な課題が山積している現状であるからこそ、まずは自身が住まう地域に誇りを持ち、そして他人事ではなく自分事として捉え、目の前の困難から逃げずに立ち向かう強い意志を持って、自身から率先して11LOMメンバーのために行動してまいります。
【宮城ブロック協議会としての存在の在り方】
宮城ブロック協議会は、公益社団法人日本青年会議所の東北地区に属する最もLOMに近い出向先であり、日本本会が取り組む運動を県内各地に拡げる役割を担っています。協議会として各LOMの意見を総合調整し、LOMが抱えている課題にあった組織運営の支援を実施すること、LOMの垣根を越えて支え合い助け合う協議会を実現するために、メンバー一人ひとりに寄り添い、各LOMのフォローアップに徹します。また例会・各種大会をはじめとした事業を検証し、LOMの需要に見合った本会の運動を推進すること、そしてLOMの実情に見合った支援方法を調査・分析し、LOMの規模を問わず活動エリアの実情に沿った会員拡大運動をはじめとした組織力強化につながる機会の提供を行います。
LOMに一番近い出向先であるからこそ、まずは我々ブロック協議会からメンバーに寄り添い、自分事として各LOMが抱えている課題解決に向けて共に取り組むこと、そして出向を通じてかけがえのない仲間と出会い、一人ひとりが飛躍となる機会を提供し、1年間宮城県内 11LOMと共に支え合い助け合いながら運動を展開してまいります。
【未来を担うJAYCEEの育成】
「青年会議所は最後の学び舎だよ」、入会して間もない当時の私に諸先輩方が言ってくださった言葉です。40歳までという貴重で限られた時間の中でいかに多くの経験・挑戦・失敗をできるかできないか、それにより今後の人生は大きく変わることは明確であり、青年会議所には多くの人との出会い、多くの学びを得ることができる機会、そして自身が変わることができるきっかけがあります。そのスタートラインがブロックアカデミーであると私は確信しております。
宮城ブロック協議会ではこれまで各LOMの入会3年未満のメンバーの人財育成に尽力してまいりました。2026年度も引き続き日本本会の育成プログラムの推進をはじめ、アカデミー生一人ひとりの個性を活かした人財育成に取り組んでまいります。今年度のブロックアカデミーでは入会3年未満のメンバーの「フォローアップ」に徹し、ブロック協議会として青年会議所の理念をはじめ、事業を構築するために必要な知識を取得すること、そしてJAYCEEとして成長につながる学びを提供することでアカデミー生一人ひとりに「土台と基本」を身につけていただき、将来的にLOMの第一線で活躍できる人財育成を行ってまいります。
一生の仲間に出会えることができました、かけがえのない経験を得ることができました。1年間振り返った時、アカデミー生にそう感じていただくために未来を担うJAYCEEの育成に向けたブロックアカデミー事業を構築してまいります。
【FCP(family Continuity plan)の導入に向けた運動の構築】
2011年3月11日14時46分、誰もが一生忘れることがない東日本大震災発生から本年で15年目を迎えます。当時沿岸部においては津波による甚大な被害が発生し、私自身も変わり果てたまちの姿を目の前にした時は現実を受け入れることができなかったことを今でも覚えております。そしてあの時誰もが直ちに行ったこと、それはご家族の安否確認ではなかったでしょうか。いつどうなるか分からない被災地の中でご家族と再会できた時、改めて家族の大切さを再認識したきっかけでもありました。東日本大震災の中心的な被災地である宮城県として震災の記憶や教訓を決して風化させないこと、そして防災意識や災害時の対策の重要性を再認識する機会が必要であります。
現在の日本は世界でも有数の自然災害多発国であり、近年では令和6年1月1日に発生しました能登半島地震による大津波により、住宅倒壊・火災・道路寸断・ライフライン途絶など甚大な被害が生じたこと、令和7年2月23日に発生しました大船渡市林野火災におきましては約 2,900ヘクタールに及ぶ火災発生をはじめ、私たちの日常において自然災害はいつどこで発生するのか分からない現状であることから、自然災害から身を守るうえで家庭をはじめとする行政・民間・県民と共に防災意識の向上が必要不可欠であります。そのような現状だからこそ、まずは被災した際は平常時とは異なる精神状態となった場合であっても、メンバーの家族をはじめとした行政・民間・県民といつどこでも安否確認が取れる連携体制を整えるために、SNSをはじめとしたネットワーク構築において的確な情報発信を行うためにツール普及の支援を行うこと、そして自然災害時において的確な情報共有並びに被害状況に応じた判断力を身につけること、さらに宮城県内の社会福祉協議会をはじめとする災害支援に取り組んでいる諸団体とパートナーシップを構築することが重要であります。
自然災害は危険な存在であることを一人ひとりが認識すること、いつどこで何が起きてもすぐに対応できるための準備を事前に行うことが必須であること、そして自身が大切にしている人、愛する地域を自然災害から守るという強い意志をもつことが重要です。宮城ブロック協議会として自然災害に備えるために、支援ネットワークの連携と一人ひとりの機動力を活かした防災減災に強い宮城を実現してまいります。
【日常から始めるカーボンニュートラルの推進】
現在の日本では温室効果ガス排出の約15%は家庭から生じており、私たちの何気ない行動や選択が次世代の生活環境に左右されることから、日常の工夫と積み重ねが削減の鍵となり、地球温暖化に伴い我々の生活に今どのような影響が出ているのかを一人ひとりが認識する機会が必要であります。
宮城ブロック協議会では次世代に安心・安全で豊かな地域を引き継いでもらうために、日本本会と密に連携し、私たちの日常の生活からできるカーボンニュートラル推進事業を推進してまいります。一人ひとりの小さな行動の積み重ねから社会全体の変化につなげ、脱炭素社会の実現のために、まずは我々が住まう地域から温室効果ガス削減と地域資源の活用を展開してまいります。
【一歩前に踏み出す 国際の機会に触れる】
青年会議所には「自己成長の機会」、「社会貢献の機会」、「国際の機会」、「ビジネスの機会」の4つの機会があります。その中でも海外の方々と交流を深めることができる「国際の機会」は我々にとっては大きな機会であります。国や地域を超えて人々が出会い、文化・知識・技術・価値観などを共有し合うことで、相互理解や協力関係を深め、自身にとって新たなつながりをつかむきっかけとなり、さらに国際経験を持つことにより、他地域の支援や機会に関わるネットワークの整備や国際機会を明確にし、誰もが等しく国際の機会に挑戦できる体制の構築を図ってまいります。
また近年の日本においては、コロナ禍後の2023年以降から外国人観光客の増加に伴い、我々の住まう日本の食文化・伝統文化・観光は外国人にとって非常に関心深いものになっております。本年の宮城ブロック協議会ではASPAC及び世界会議のジャパンナイトにて、県内11LOMと共に国際の機会を活用するために、JCIアジア太平洋エリア会議(ASPAC)、世界会議にて食や文化を体験できるブースを設えることで、多くの来場者に宮城の魅力を広く世界に発信してまいります。
「まずは自身の目で見て、自身から行動して経験する、そして自身からつながりをつかむこと。」
国際の機会を通じて一歩前に踏み出してみましょう。
【第56回宮城ブロック大会in石巻】
これまで長きに渡り諸先輩方が築き上げた宮城ブロック大会は本年で56回目を迎えます。2026年度は歴史と豊かな自然、文化が深く交差する魅力あふれるまちを活動エリアとする一般社団法人石巻青年会議所主管のもと開催いたします。開催地であります石巻市、東松島市、女川町は宮城県北東部に位置し、北上川の河口部に広がる平野とリアス式海岸が特徴で、漁業や歴史遺産、マンガ文化、東日本大震災からの復興事業等、地域に密着した貢献と多彩な魅力があり、地域の人たちの人情にも触れられるエリアです。また、明治以降、漁業の町として金華山沖の漁場を背景にカツオ、サバ、イワシなど豊富な魚資源が水揚げされ、現在も漁業の町として全国的にも知られております。宮城ブロック協議会の最大の運動発信の場であるブロック大会は開催地の特有を活かしながら運動を構築し、県民とともに地域の新たな可能性に気づく絶好の機会であります。本年度のブロック大会は2つの方向性を基軸にして運動を構築してまいります。
1つ目は行政・民間・県民とのパートナーシップの向上です。まずは我々青年会議所から開催地域において人口減少をはじめとする課題の調査・分析するとともに、その地域に住まう方々の産業・観光を通じて、現在抱えている課題を明確にし、共に地域経済の向上を図ること、そして若い世代を巻き込み、共に開催地域の交流人口の拡大に向けて大会構築を実施し、地域に住まう方々とのパートナーシップを強固なものとし、地域活性化につなげる大会を構築することで、開催地の新たな可能性を見出すきっかけとなる機会の提供を実施します。2つ目は主催者と主管LOMの連携構築です。私自身これまで青年会議所活動を通じて様々な大会運営を経験させていただきました。主催者の立場となり大会運営をさせていただいたこと、大会の主管LOM理事長として主催者と共に大会運営を経験させていただいたこと、その時の状況において様々な立ち位置がありました。しかし主催者と主管LOMに共通して言えること、それは共に開催地の発展のために大会を成功に導くことです。共に協働し合い、大会構築を実施することで開催地の継続的な発展につなげてまいります。
そして大会の5つの益であります主催益・主管益・地域益・参加者益・社会益を実現する大会運営を地域に住まう方々と共に実施することで、開催地域の新たな可能性を見出し、県内地域に我々の運動を広く伝播してまいります。
【模範となる組織運営】
我々のすべての運動は会議から生まれます。青年会議所は会議を何よりも重んじている団体であり、ブロック協議会として県内11LOMの模範となるべき会議運営が求められています。効率的かつ有意義に会議を進めるために、まずは解決すべき課題を明確にすること、上程期限の厳守並びに資料の情報共有を行うための事前準備を行うこと、そして会議中におきましては進行手順の徹底を行い、会議の時間配分を考慮し、開始・終了時間を厳守すること、さらに会議後のフォローアップを行うことが大切であります。より質が高く、活発な意見や質問を交わせるためには、まずは準備段階をはじめとする些細なことからの積み重ねを大切にすることで、実りある会議が生まれます。
我々宮城ブロック協議会は会員会議所会議をはじめとする諸会議にて厳格な会議運営、そして公益社団法人として、コンプライアンスの厳守と各LOMからの付加金で活動できる組織でありますので、適正な財政管理のもと運営を行い、会議運営の模範を示してまいります。
【効果的に発信する広報】
我々の運動を広く周知し、県民の方々に理解を得るためにはより参加していただきたい対象者を明確にし、効果的な情報発信が必須であり、誰に何をどのように伝えるのかという広報戦略の手順から考え、私たちの運動を的確に発信し、活動の周知や運動の推進につなげる必要があります。
また県民に我々の存在や活動を理解していただくために、広報活動に携わる団体、組織とのパートナーシップの向上並びに東北地区協議会と県内11LOMと連携し、より受け手を意識した広報活動を行い、興味や共感を引き出すこと、そして地域社会の発展につなげるためにブロック協議会並びに県内11LOMの運動をより効果的に発信することで、認知度の向上やブランディングにつなげる広報活動を実施してまいります。
【結びに】
青年会議所には多くの出会いと成長の機会があります。私自身この青年会議所活動を通じてこれまで所属LOMメンバー・諸先輩方をはじめ、出向先で県内・県外の多くの仲間に出会えたこと、そして事業運営を通じて多くの貴重な経験を得ることができました。その中でこれまでの活動で私自身が得ることができたこと、それは共に活動を行ってきた仲間というかけがえのない存在、失敗を恐れずに挑戦した人しかチャンスはないということ、そして自身の所属LOM・会社・家族をはじめ多くの皆様の支えがあるからこそ我々は青年会議所活動ができることに感謝しなければなりません。
誰かがやってくれるだろう、何とかなるだろう、そんなことしか考えていなかった私が前向きに自ら行動するきっかけを与えくれた、そんな私を変えてくれたのが青年会議所でありました。様々な課題を抱える現代社会でありますが、まずは我々青年が率先して行動しなければ何も変わりません。これから新たに未来を担う次世代につなげるために、まずは共に一歩前へ踏み出してみましょう、そして失敗を恐れないで共に挑戦していきましょう。
真の心で挑戦しよう幸せな宮城の実現に向けて
11LOM共に支え合い助け合う宮城へ