公益社団法人日本青年会議所
東北地区宮城ブロック協議会
2023年度会長 渡辺 俊
われわれは
新たな価値を創造する旗手として
尊い結の精神を呼び覚まし
かつてない未来を切り拓くことを誓う
【はじめに】
最近、夢を語っていますか?
我々はいつの日からかマネージングのプロとして検証可能な事業を選択するようになってはいないか。先達が「新日本の再建は、我々青年の仕事である」と志を立てていたにも関わらず、どこかホワイトカラーな、綺麗に収まる団体になってはいないか。自問自答する中で残念ながら当てはまること、思い当たることがあります。閉塞感漂う時代だからこそ、我々は新たな価値を創造する旗手として、しっかりと地に足をつけ、力強く歩んでいくことが必要であり、地域から世界を変えていく組織の所以であると考えます。
しかしながら現実は残酷であり、幾度となく目の前に困難が立ちはだかります。新型コロナウイルス発症からの世界的パンデミックにより、人とのつながり、経済のつながりの大切さを痛感し、私たちの日常は一変しました。そして2022年、ロシアによるウクライナ侵攻という信じ難い光景を目の当たりにし、否応にも恒久的世界平和の尊さに胸を締め付けられました。近年の国内災害の多発、そして地球全体での気温上昇と目を覆いたくなる問題が山積しています。しかし戦後焼け野原に志を立てた青年がいたように、現実を受け入れ、今何をすべきか、真のリーダーの何たるかを学び、行動することが我々青年の責務と改めて強く感じています。
また、新しい生活様式とデジタル化がどんなに進んでもリアルの交流に勝るものはないとこの3年で学びました。時代に流されるのではなく、時代を活用することで最大限の効果を発揮できると私は信じています。国外に目を向ければ、世界を語る前に自国の歴史を理解すべきと言われる通り、夢も語るだけではなく地に足を付け歴史を振り返り学ぶことで現実へ近づいていくものと考えます。カーボンニュートラルにおいても地球が存続していくため、明るい豊かな社会を子供たちに残すために私たち中小企業が自分事として捉えていくことが必要です。そして、これらの牽引役が青年会議所であると考えます。各LOMとの連携を図り、共にアクションフレームワークを繰り返す中で、新しい価値観を社会へ発信することが我々にはできる。我々青年が夢を掲げていかなくて、次代を担う子供たちは明るい豊かな社会を夢見ることができますでしょうか。
地域を想い、地域の実情に目を向けながら、11LOMのそれぞれが抱く情熱を和而不同で共有することで、相互の信頼と尊敬を育み、誰もが夢語り合い、手を取り歩む宮城の実現ができると私は信じています。
【宮城ブロック協議会としての在り方】
ブロック協議会はJCI日本の組織であり、即ち各LOMの負担金によって存在を維持することができています。この前提がすべてであり、LOM支援のために存在していると考えます。トップダウンではなく、向かい合うのでもなく、いつでも県内各LOMの同志として、メンバーであるあなたの同志として、隣り合い、地域の夢実現に向けた学びと行動に対する支援を行います。多岐にわたる支援内容の中で、個別に、時に県内各LOMの力を集結して共に解決していきます。また、大切なLOMの人財をお預かりする立場であるからこそ、出向者に対し県域での運動構築と、LOMにおいて即戦力として活躍できるよう、成長と発展の機会を提供し続けることが必要です。
一番身近なJCI日本として宮城ブロック協議会は共に行動することを宣言します。
【未来を担う人財育成】
先行きの見えない時代だからこそ、夢語り実行するリーダーとして時代を切り拓いていく力が必要です。会員減少や在籍年数の短期化が危惧される中で地域にインパクトを生みだすリーダーを輩出し続けるために、JCに所属している理由と使命を自身で明確化し、明るい豊かな社会実現に向けた目的と、そのための行動指針であるMISSIONとVISIONを理解することで運動の本質を身につけたJAYCEEとしての礎をつくります。
そして、JCのリーダーに必要な要素として公のために心から奉仕ができるようになることが求められます。単年度制だからこそ学びと気づき多きブロックアカデミーを開催し、アクションフレームワークに沿ったアウトプットの機会を創出することで、地域と共に課題を解決していく力を習得し、自分だけではなく人や社会のために奉仕できるリーダーを育成します。
【手を取り歩む組織に向けて】
会員拡大するには拡大運動自体が重要な位置づけである中で、2019年から2022年までの3年間で県内6割のLOMが会員減少しています。近年の会員数減少の要因はJCにおける理念の浸透がなされていないことが挙げられます。新型コロナウイルス感染症によりLOMが置かれている環境が変わり、運営自体にも支障が出ている状況では、単に拡大を促すのではなく、各LOMの抱える課題を共有し解決に向けて実情に合わせた個別の支援を行うとともに、JCの理念を理解する機会をブロック協議会が提供していくことで、各LOMが目的意識を持った拡大運動をできる環境を整えます。
そして、会員減少により力を発揮しきれていないLOMもある中だからこそ、ブロック協議会最大の使命である支援の真価が問われています。各LOMが地域に対しより良い変化を生み出し続けるためには、ブロック協議会が組織力向上に寄与し、発展と成長の機会を継続的に創出していく必要があります。以上の内容をブロック協議会で共有することにより、ブロック全体で共助の連携体制を構築し、LOMが躍動するための新たな支援モデルを構築します。
【魅力ある宮城の実現に向けて】
子を産み育てやすい安心安全な地域なくして、地域発展は成し得ません。子を産み育てやすい地域、社会になるべく子育て世代当事者である私たちが地域と自治体とともにベビーファースト運動推進のみならず、運動を検証し昇華することで県内各地へ地域で子を育み、見守る体制を整えます。また、子供たちを取り巻く環境も少子化や家庭環境の変化、コロナ禍による交流の制限により社会性を育む機会が減少しています。人々が助け合う社会を実現していくために、地域の未来を担う子供たちにスポーツの力を通じ、協力しあう必要性を伝えることで、他者を思いやる心を育むとともに、挑戦心を持ち将来の夢を描く機会をつくる必要があります。
そして近年、自然災害を中心とした災害が全国各地で増加傾向にあり宮城県においても様々な災害が発生しています。東日本大震災を経験した我々だからこそ、防災先進県宮城として誰もが安心して生活できる地域の実現に向け、県民の防災減災についての意識向上と災害時における迅速な支援体制を構築していく必要があります。各分野から働きかけることで、県民と共にあたりまえである日々の幸せに寄与します。
【新たなロールモデルを生み出すブロック大会】
第53回宮城ブロック大会は白石市・蔵王町・七ヶ宿町を活動エリアとするJCI白石主管のもと開催されます。蔵王山麓を眺望する美しい自然と名所旧跡が点在する一方で、県内LOM活動圏域の人口が最も少ないこの地での開催は、大きな意味を成す大会となります。
大会の目的は開催することではありません。地域の発展に向けて主管LOMとブロック協議会が英知を呼び覚まし、開催を通して地域のまだ見ぬ魅力を掘り起こし示す中で、参加者へストーリーとしての大会を届けるとともに、地域との継続的な関係の足掛かりとすることで、地域経済の新たな好循環を創出します。
JCI白石とブロック協議会各委員会が横断的な連携を図り、最大限の運動を発揮することで、主管益・主催者益・地域益・参加者益に社会益を加えた5つの益を実現しLOM規模の大小を問わず開催できる大会の新たなロールモデルを示し、持続可能なブロック大会の礎とします。
【的確な運営と新たな可能性】
宮城ブロック協議会は県内11LOMの約500名から構成され、出向者と負担金によって支えられています。凡事徹底は勿論のこと、確実且つ透明性のある予算執行、会議設営と各LOMの模範となる協議会であることが求められます。
そして、会議に重きを置くJCだからこそ、コロナ禍においてもWEB開催を行い、歩みを止めることなく新しい会議の在り方を模索してきました。本年は11LOMで「みやぎJC」であるためにも人と人とのつながりを感じられるよう、実地開催を基本とします。これまでのスマート会議を昇華し、効率的に行う部分と泥臭くいかなくてはならない部分とを棲み分け、新たな会議運営を行うとともに各LOMに開かれた協議会となるべく組織運営に取り組んでまいります。
【結びに】
路行かざれば至らず、事為さざれば為らず。私の故郷、民本主義を唱えた吉野作造の言葉です。
何事も当てはまりますが、特に青年会議所においては実行力が求められていると考えます。なぜ求められていると考えるのか、地域を想うとき「橋を架ける者」※の詩が浮かびます。内容はことわざの「前人樹を植えて後人涼を得」と同じものです。私たちはまだ見ぬ誰かのために運動を起こします。運動を起こせる権利が青年会議所にはあります。
我々が橋を作り、樹を植えていく前人になりましょう。
結の精神のもと、誰もが夢語り合い、手を取り歩む魅力ある宮城の実現に向かって。