型破りな人財が導く 結の精神溢れる東北の実現

会長意見書

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公益社団法人日本青年会議所 東北地区協議会

会長意見書

渡部 洋平

(所属:一般社団法人泉青年会議所)

 

「全人類の光明は、われわれ青年会議所の純粋な正義感と、目的完遂の確固たる実行力にうらづけられて初めてその輝きを見出し得る。」この一文から日本青年会議所設立趣意書は始まる。戦後の荒廃の中から祖国再建の使命感を抱いた青年が立ち上がり、弛まぬ努力により今日の日本を創り上げてくれた。この時代に生きる我々は、先達が残してくれた素晴らしい故郷を、未来を生きる人々へより良い形で遺していくために青年の運動を決して止めてはならない。

 

【はじめに】

世界には、134の国と地域に121の国家青年会議所、4,763の会員会議所、そして約160,000人の同志が存在している。日本国内に目を向けると、695の青年会議所、そこに約35,000名の同志が存在している。先輩諸兄まで考えればその数は計り知れない。1915年にアメリカで始まった青年の運動が100年超の時間を経て築き上げられたものであり、これこそがJCの最大のスケールメリットである。一人ひとりの力は決して大きくないかもしれないが、世界の、全国の同志が一丸となることができれば世界を、日本を変えることができる。LOMに一番近い日本JCはブロック協議会であり、日本JCの運動の推進はブロック協議会とLOMとの連携により全国各地に展開される。では、地区協議会とはなんだろうか。地区協議会は日本JCの提唱する運動や事業を展開していくだけではなく、理事会において議決権を有し、地区内のLOMの声に耳を傾け、本会へ届ける役割をもつ。また、LOMやブロック協議会としては難しいであろう県域を跨ぐ課題や防災、減災対策など、広域に対しての取り組みを行う。県の枠組みを越えて東北を一体と考え、広域に連携を図り、一丸となることで、地域活性化への可能性が広がる。東北地区協議会はこの可能性を少しでも現実に近づけるように邁進する。

 

 

【「輝く東北」の実現に向かって】

東北地区協議会は2010年に、東北に住み暮らすすべての人々、その中でも特に子供たちの夢と希望に溢れるという意味である「輝く東北」の実現に向かって、東北地区協議会の道標として「2010年代東北JC運動指針」を策定した。東北のグランドデザインとして、①住民が一体となって作り上げる豊かな東北。②連携・協働によって世界に踏み出す東北。③人と自然の支えによって安心して暮らせる東北の3つを掲げている。また、2010年代東北JCビジョンとして、私たち東北JAYCEEが、子供たちの夢と希望溢れる東北を創るために、「2010年代東北JC運動」の理念のもと、「輝く東北」へ向けての実践を行い、JCが地域の「結」となって市民変革運動を興し、「輝く東北」を実現するとしている。その後、2012年に追加版として策定された「自立した新東北再建ビジョン」は、東北人としてのアイデンティティである「結」の精神をバッググラウンドとし、如何なる国難にも負けないつよい地域の再生を目指し、「東北コミュニティー」を創造するとある。さらには2013年に「東北JC宣言」が策定され、2016年にこれまで行ってきた東北地区協議会の運動や事業を検証し、「躍進する東北」を策定している。時代の変化を的確に捉え、その時代に求められているものを策定した東北の道標であるが、根底に存在するのは「東北は一つ」という想いである。東北77LOMが東北に暮らす人々のアイデンティティである「結」の精神をもってそれぞれの地域の特性を生かしながら同じ方向性をもち、「輝く東北」の実現を目指す。我々東北77LOMがこの道標を意識して事業に取り組むことができれば、決して不可能なことではない

 

【組織や地域を牽引する「型破り」なリーダーの育成】

近年、多くのLOMが会員の減少に悩み、会員の平均在籍年数が5年を切る時代として、運営に苦労している。多様な価値観という見方もできるが、守るべき大切なものがしっかりと継承されない可能性が危惧される。それぞれのLOMにおいて受け継がれてきた文化や伝統はもちろん大切であるが、JCとして基本を学ばずに独自の進化を遂げていることも多いのではないだろうか。先輩諸兄は「型破り」な青年経済人として常識に捉われず大胆な発想をもって地域を牽引してきた。我々も先輩諸兄を見習い、組織や地域の先頭に立って「誰のために、何のために」と常に問答しながら「明るい豊かな社会」の実現に向けて運動を展開しているが、ともすると事業がただのイベントになっていて自ら疲弊を招いていることも少なくない。一所懸命やったという自己満足にならず、持続可能な地域社会の発展に寄与するために基本に立ち返る必要がある。「型破り」とは大胆なことができるように聞こえて格好よく思えるかもしれないが、はじめに「型」という基本を習得していなければ破れないものである。東北地区協議会としては、この「型」となる部分を今一度見直して頂く機会を創出する。JCの存在意義や事業の構築、組織マネジメントなど、組織を牽引するリーダーに必要なもの。そしてこれらの「型」を習得した後には、これから生まれようとする取り組みや今ある様々な事例など、JCの枠に限らず地域を発展させるために必要なもの。この経験を契機として、己を律し行動するリーダーとして、それぞれの個性を存分に発揮し、地域により良い変化を生み出して頂きたい。「人生において最も大切なのは経験である。」自らが学ぶ姿勢をもち、積極果敢に挑戦することで得たものは、人から与えられなんとなく行ったものに比べれば遥かに違う。青年として、リーダーとして、前のめりに経験を重ねて欲しい。そのために、日本JCはもちろん、東北地区協議会をどんどん利用して欲しい。東北地区協議会としてLOMでは経験できない絶好の機会を創出する。

 

【地方創生へ】

東北地方は、少子化や高齢化についての問題や首都圏への流出による人口減少などが他の地方よりも進んでいる傾向にある。2015年に東北の総人口が900万人を割り込んだ。市場の縮小や人手不足という点から見て、地域経済の低下につながる恐れがある。我々は地域活性の基盤である交流人口の拡大や定住人口の回復を目指し、その方法を探る。近年では、有効求人倍率の高まりや完全失業率の低下が進んでいるにもかかわらず、若者が進学先や就職先を求めて首都圏に転出する傾向にある。これは首都圏が地方に比べ実質賃金の高さや多様な就職先など労働環境が良く思われていることに起因するのではないか。すなわち企業の成長が地方を活性化する重要課題の一つなのである。2016年8月には働き方改革が経済対策の一つとして閣議決定された。働き方改革について、前向きに捉え上手に取り組むことができれば、生産性の向上につながり、雇用の創出につながっていく。我々は青年経済人として、地域経済発展を目指し、自らの事業を成長させるために働き方改革についても積極的に取り組んでいく。また、東北地方には有形無形にかかわらず個性的な自然や食、脈々と受け継がれてきた文化や歴史などの地域資源がある。さらに近年では人々の価値観がモノ消費からコト消費へと変化してきている。モノは実に世に多く存在し、買い揃えることで満たされるが、さらに生活を充実させるために、精神的な豊かさを生活に求める人が増えているのである。ここにまさに地域活性へのカギがあるのではないだろうか。二つと同じものが無いものはどこの地域にも確実に存在するはずである。便利さを追求することができる都会ではなく、そこに行かなければ体感することのできないものが地方には必ずある。人々が住み暮らす日常のどこにでも新たな価値を生み出す可能性が秘められている。また、それらを単体で捉えるのではなく、組み合わせることやスケールメリットをもって考えれば、大きなうねりを興せるはずである。我々はそれぞれの県域だけではなく、「東北は一つ」を合言葉に東北地方を活性化させる。

 

【防災、減災の意識と知識】

2011年、東日本大震災という決して忘れることのできない災害に見舞われ、多くの方の生命が失われ、多くのものを失った。しかし、そのような極限の状況においても日本人の精神性は失われることなく、略奪や暴動などは起こさず冷静に行動し、礼儀正しく人に接しお互いを助け合い、各国から称賛された。改めて、東北人としてのアイデンティティである「結」の精神が今を生きる人々にも根付いていることに気付くことができた。日本JCが2010年代運動指針に示している「共助」とも言えるのではないだろうか。我々はその「結」の精神を大切にしながらもそれに頼るのではなく、東日本大震災の教訓として、これまで防災、減災に関する意識の高揚を図ってきた。東日本大震災以降も豪雨災害をはじめ様々な自然災害に見舞われることが多い日本において、自分の身は自分で守らなくてはならない、自分たちの住み暮らす地域は自分たちで守らなくてはならないという意識は勿論であるが、どのようにしたら自分の身や家族などの周りの人を守れるのかという防災、減災に関する知識の蓄えも忘れてはならない。また、東北地区協議会では「日常における危機管理の啓発と災害発生時等における相互支援の円滑化を推進する」目的で2007年に「TADSネット」を立ち上げた。東日本大震災の時に日本JCが中心となって全国のJCと連携を図り、早期に支援体制を確立したように、有事の際には我々が地域のリーダーとしてスケールメリットを活かしていくことが必要である。しかし「TADSネット」は本来の目的や活用方法など、まだまだ周知が徹底されていないと考える。災害支援ネットワーク体制の整備として「TADSネット」を効果的に使用できるようにさらなる研究を進めていく。

 

【東北青年フォーラム】

1953年の第1回大会から2018年で66回を数える東北青年フォーラムは、公益社団法人三沢青年会議所を主管LOMとして開催する。当初は東北地区内の会員交流という趣旨から始まった大会であるが、時代が変わるにつれて東北地区協議会の運動やその成果を発信する最大の機会と捉えて大会が開催されてきた。今大会においても「結」の精神をもって、主催主管で緊密に連携や調整を図り、東北地区内の会員が一堂に会する場を創出するとともに、それぞれの地域において持続可能な発展を目指し一人ひとりにできることを見出す機会とするべく、大会を全力で構築する。米軍基地を有することで多くの外国人が居住しており、交流が盛んな国際色溢れた街、三沢の地で行われる大会を楽しみにして頂きたい。また、日本JCが第1回全国会員大会を開催するにあたり、第4代会頭服部禮次郎先輩が次のように述べられている。「全国会員大会は全国のJC並びに全会員が自由に討論でき、お互いのコミュニケーションの円滑化を図るべき場である。全国会員大会は単なる物見遊山でもなければ酒宴でもない。いわんやそれをダシにして羽目を外したりするためのものではない。主催者側は遠来の人を遇する法をよく研究し、人と人との接し方を検討し、参会者は地域の旧習にある程度の寛容を示しつつその改善を示唆し、ともに助けて(1)人の迷惑にならず、人のためになる集会(会場の出入り集散等すべて外部の人から見てもなるほどJCの人たちは違うなあという印象を持たれるような集会)。(2)参会したあとで参加者一同の胸の中に心の成長を感じるような集まり。(3)参会したあと長くその土地の人によき感銘を与えるような集まりを持ちたい。」主管を務める三沢JCが1963年の創立以来、地域において永きに亘り実績を重ね信頼を積み上げてきた歴史の1ページに、「長くその土地の人によき感銘を与えるような集まり」として東北青年フォーラムが刻まれるように、大会を全力で創り上げる。

 

【積極的な事業、運動の発信を】

我々は東北地区において地区協議会やブロック協議会、LOMでそれぞれに運動や事業を展開している。その中には、先輩諸兄より何年も受け継がれているものもあれば、時代に必要とされ新たに興されたものもある。それぞれの地域において詳細に分析をされ、実施されてきたものは素晴らしいものであるが、さらに広がりを見せるためには、その発信方法にも気を配っていく必要がある。もしかするとその運動や事業が他の地域にとって有効なものである可能性を秘めているかもしれないが、その地域にしか知られずに終わっているものもあるかもしれない。地域やそこに住み暮らす人々に良い影響を与え、それがその地域にとどまらず大きな成果を生む可能性を信じ、積極的に運動や事業を発信しよう。それには、今あるホームページやブログ、さらにはSNSなどのソーシャルメディアを最大限に活用することは勿論であるが、運動の広がりをイメージすることが大切である。地域にとって何が必要であるのかを調査分析し、目的を定め、どのような方法を取ることが一番効果を生むのかを考えるだけでなく、得られた成果をどのように表せばそこからさらに運動が広がりを見せるのかを広報の視点をもって追求していく。

 

【LOMへの支援】

地域を輝かせることができるのはそこに存在するLOMである。日本JC、地区協議会、ブロック協議会は、LOMが行う事業や運動が最大限に効果を発揮するために様々な支援を行っていく。とりわけ地区協議会は公益社団法人格を有する日本JCの一組織として、健全な財政基盤と法令を順守した組織運営を徹底していくとともに、その大切さを伝えていく。目に見えやすい事業の規模や内容ばかりでなく、目に見えづらい会計の透明性や法令を遵守する組織運営が、高い信頼につながることは間違いない。東北地区77LOMの見本となり、LOMが相談しやすい体制を取り、JCが公益性の高い団体であることを示していく。

 

【むすびに】

人間生まれてから死ぬまで80年を越える時代になった。しかし、長く生きること以上に大切なのは、この世の中でどれだけ価値のあることを成したかではないだろうか。自分だけが良ければいいのだろうか。組織や地域が成長を遂げる起点となり、未来を生きる人々が幸せに暮らすことにつながるのであれば、それほど幸せなことはないのではないか。しかし、JCだけでそれが成しえるものでは決してない。40歳までの限られた時間の中で、全人類の光明として純粋な正義感と揺るぎない信念を携えてJC運動を展開し、社会貢献につとめながらも自らの事業を成長させ、勇気を奮い立たせてくれる家族との時間を大切にする。どれか一つを選んで注力するのではなく、常識に捉われず積極果敢にすべてに取り組んで行こうではないか。余裕は決して無いかもしれないが、充足感がさらに成長へと導いてくれるはずである。JCは卒業してからこそ真価が問われると言われる。40歳を超えてから迎える新しいスタートまで大胆にやり抜こう。

 

今を生きる君へ

私たちの国日本は、とても素敵な国になりました。

「まち」は活気にあふれ、「ひと」は元気に満ちています。

日本には資源がない・・・そんなことはありません。

 

 

この国には「ひと」という素晴らしい資源があったのです。

自らには厳しく、相手にはやさしさが溢れる、そんな「ひと」です。

「ひと」が生み出す様々な可能性が、今日という日を明るく照らしています。

国民一人ひとりが幸せについて考え、話し合い、行動を起こしています。

自分一人で生きているのではなく、社会に生かされているのだと感じています。

君たちが汗を流し、行動したからこそ素敵な今があるのです。

だから、自分を信じ挑み続けてください。

2020年の私より

 

日本JCの2010年代運動指針はこの手紙から始まる。一人ひとりが自らの手で切り開こうとする確かな行動が良循環を生み、必ずや地域の未来は変わっていく。今を生きる責任世代として、未来を生きる人々のために、青年としての英知と勇気と情熱をもって困難に立ち向かい、確かな一歩を踏み出そう。

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