心の中に、未来にふさわしいビジョンを描け。
そして、自分が過去の末裔であるという迷信を忘れるのだ。
未来での生を思い巡らせば、工夫し、発明すべきものが限りなくある。
―フリードリヒ・ニーチェ-

 

日本が初めて議長国を務めたG20が、自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕されました。様々な方面に対する宣言がなされる中、人口問題についてこのような宣言がなされました。

「高齢化を含む人口動態の変化は全てのG20構成国に対して課題と機会をもたらし、こうした変化は財政、金融政策、金融セクター政策、労働市場政策及びその他の構造政策にわたる政策行動を必要とする」

日本の将来展望において、最も確実な未来とされているのは「人口減少」です。戦後日本では、人口の増加が経済の成長を牽引してきました。しかし、バブルの崩壊とほぼ同時に幕を開けた平成の時代、長い不況と低成長という経済的環境の結果、晩婚や未婚が加速し、少子化につながり、人口が減少へと転じました。

現実の数字で人口減少を見てみますと、2018年の出生数は92万1千人で、過去最少の数字を更新しました。2018年の死亡者数は136万9千人で前年より3万人近く増えました。つまり、2018年の一年間で日本の人口は44万8千人減少したのです。

このままいけば、2060年頃には人口は今の2/3になると内閣府は予測しています。そして、特にひどい落ち込み方をするのは、都市部よりも地方であると見られています。

人口の減少に合わせて、より厳しくなりつつある働き手不足は既に実感されている現実であり、今後市場の縮小と共に、日本の経済が縮小していくのではないかと不安を抱える経済人は少なくありません。

日本はこの先の未来をどのように描くべきなのでしょうか?

実は、日本と同じような人口構成であり、日本よりも先だって少子化が進んでいる国があります。

北欧デンマークは、60年代半ばごろから少子化現象が急速に進み、83年の合計特殊出生率はデンマーク史上最低の1.38まで落ち込みました。しかしその後は大変緩やかではありますが、出生率は年々徐々に回復し、2008年には1.89まで上昇し、2010年代も1.7前後を維持しています。

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デンマークはいかにして少子化から脱却できたのか、そこにこれからの日本が目指すべき姿があるとして多くの学者が分析をされておられます。

 

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デンマークにおける少子化脱却のきっかけは、60年代に製造・貿易業が活発化したことにありました。労働力不足に陥ったデンマークは、それを解消するために、女性の社会進出労働移民招聘政策を積極的に打ち出しました。女性の就業人口は、60年ごろに70万人でしたが、94年にはほぼ倍増し135万人にまで達しました。

これは、働き方改革を進め、4月に改正入管法を施行した、今の日本が進める政策と重なるところがあります。

女性の社会進出が進むと少子化がより深刻化する印象がありますが、デンマークの例は「女性の社会進出をより一層促進しようとしたことが、出生率上昇につながった」ということになります。つまり女性の自立を支援する施策が、結果的に子供を産み育て易い環境をつくり出したということです。

高福祉・高負担政策をとる社会福祉国家のデンマークは、国民の医療費は無料で、また国の女性の社会進出を支援する政策として、出産費用は無料で、扶養児童のいるすべての家庭に対し、扶養児童家族拠出金が国から支給されます。保育施設は朝7時から夕方5時まで開園しており、これらのサービスにかかる経費の約3分の2は、市町村および国が負担しています。また、企業も出産休暇、育児休暇が整っており、フルタイム労働時間の短縮や、有給休暇の延長出産休暇や育児休暇における経済的支援フレックスタイムの導入など、子育てしながら働ける環境が整備されています。

また、国民の意識も、日本と同じようにデンマークでも第二次世界大戦頃までは、「男は仕事、女は家庭を守る」という意識が強かったのですが、戦後女性の社会進出の必要性が増してくる中で、女性の意識が変化し、また男性にも意識改革が求められました。一時は男性の意識変化が伴わず、離婚率が急激に上昇し、出生率は低下しましたが、世の中の変化に伴い徐々に男性の意識も変化しました。女性が社会に出て自立することが社会の発展にとって必要であるとの認識が浸透し、男性の理解も深まり、子供を産み易い環境が生み出されたのです。

つまり、デンマークにおける出生率上昇の傾向は、国の特別な出産奨励政策の結果だけで生じたものではなく、国民生活を支える国・労働市場・家庭という三つの基盤が、「人的資源の最大限の活用」という考え方のもと、女性の社会進出を推し進め、そのための環境整備を行った結果、達成されたものなのです。

日本は今こそ、少子化人口減少の未来を、きょうとはちがうものにするために社会保障について考え、ジェンダー平等を進め、国の仕組みを変えなければならないのです。

 

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京都ブロック協議会では、今月4日公示、21日投開票で実施されます参議院議員選挙におきまして、京都府選挙区の立候補予定者による公開討論会を開催し、3日からネット上で配信をいたします。

※参議院議員選挙公開討論会

 日  時:7月3日(水)21:00~(ネット上にて動画配信)

   〇ニコニコ動画

http://live.nicovideo.jp/watch/lv320108126

   〇京都ブロック協議会公式チャンネル(Youtube)

https://www.youtube.com/channel/UCfk8ME1A34EOCq-T5quwfgg

 

また、2日には京都経済センターにて、国民討議会を開催いたします。

これは、子供の多い社会(多子社会)はどうやって実現すべきなのか、社会保障費はこれからどうあるべきなのかを府民の皆様と議論をし、皆様と共に描いた未来を、公開討論会を通して政治に反映頂こうという、全国47都道府県において統一で行われる事業です。

※国民討議会

  日  時:2019年7月2日(火)16:00~17:30
  開催場所:京都経済センター7階 京都商工会議所 会議室
        〒600-8009 京都府京都市下京区四条通室町東入ル函谷鉾町78番地

 

 私たちが今すべきこと

 それは、未来にふさわしいビジョンを描き

 新しい社会を発明することではないでしょうか?

 子供たちにつなぐ未来が

 より明るく、より豊かになるように。

 

 京都ブロック協議会 会長 木戸庸介