会議を重ねすぎると

いつの時代も最悪の策が採られる。

最悪の策とはほとんど常に

最も臆病な策である。

ナポレオン・ボナパルト

 

青年会議所で得られる自己成長・社会貢献・仲間との絆の3つの価値のうち、
地域の課題解決に繋がる価値を創造していくことが今後何より重要と先月記載しました。
しかし、運動の価値を高めるのに、組織として抱えている課題があります。

それは、「発信力の弱さ」です。
昔と比べて情報発信ツールも、受信端末も、情報量も格段に増えているという社会情勢によらずとも、
青年会議所は昔から発信力の弱さを課題として抱えていました。

それは一体なぜなのでしょうか?
青年会議所が得意とするのは、論理的な思考です。
計画書も、議論も、組織の運営の細部に至るまでも、
「〇〇するために〇〇する」「〇〇すれば〇〇になる」というロジックを積み上げます。
その結果、論理力はこの組織で何度も訓練され、伸ばすことができます。
それに対し、伸ばすものでなく、磨くものである「感性」は、とても苦手です。

感性が苦手な理由は2つ挙げられます。

1つに、会議などの事業構築のプロセスがあります。
尖った感性のアイディアも、会議で議論をすればするほど、
安全で無難なモノにしようという集団の意識が作用し、角が削られます。
また、どこまでいっても感性的な素材は好みに左右されるものであり、
全員の好みの範囲に収まるモノが、すなわち発信力の強い素材とは限りません。
これでは、尖った情報発信に限らず、挑戦的な事業や活動ですら、
会議を経て無難なものになってしまいます。
これでは「挑戦する」人財は全く育ちません。

青年会議所のこの不得意分野を克服し、挑戦する土壌をつくり出すには一体どうすればいいでしょうか?
大企業を例にとりますと、情報発信は広報担当者の裁量で決めることができます。
専門的に広報の知識を積み重ねた担当者に権限が委譲され、
その結果、効果的で尖った内容の情報をスピーディーに発信することができるのです。

青年会議所もそれに倣い、専門的に広報の知識を積み重ねた担当者を設置し、
全ての事業の情報発信に対し、財務審査のように広報審査を行い別ルートで決裁するなど、
組織の仕組みとして、論理的な議論の対象から外す必要があるのではないでしょうか。
まず、年間で「情報の何を大切にするのか」という情報発信のプライオリティを決め、
広報担当者はそのコンセプトに基づき、与えられた裁量で決裁するのです。
これにより、論理的な議論によってセンスの角が削られることは減ることでしょう。
また、感性が苦手なもう1つの理由に、物事の見方があります。
事業計画書は、主催者が生み出したい目的や効果に向かって作成されますが、
その結果、主催者が伝えたいことばかりを書き連ねる発信内容になり、
受信者側がどう受け取るかを考える視点が抜けていることが数多く発生します。

このままでは私たちの運動はいつまでたっても地域の人々に届かず、
どんなにいい事業をしても、運動として拡がりません。

一体どうすればいいでしょうか?

それは、情報の受け手の視点をもって、言葉や写真などのビジュアルを選択することです。
先日、共感価値創造委員会のオープン委員会で船井総研の小川純平氏にセミナーを開催頂き、
共感を集める広報について学ばせて頂きました。

受け手に響かせるためには、10の視点で言葉を考えるそうです。
(出典:井出聡「売れるキャッチコピーと買わせるキャッチコピー」)

 ① ターゲットを明確にする
 Ex.毎日コンビニ弁当のあなたでも10分でできる簡単料理
 ② 好奇心を煽る
 Ex.一日好きなだけ食べても痩せるダイエット法
 ③ 不安感を煽る
 Ex.この本を読まなければ年間50万円損します
 ④ 具体的な数字を使う
 Ex.たった3ヶ月聞くだけで話せる英会話
 ⑤ 常識や思い込みを不定する
 Ex.糖質を減らせば必ず痩せるというのは間違いです
 ⑥ メリットではなくベネフィットを示す
 Ex.これで痩せて綺麗になって結婚相手が見つかります
 ⑦ 権威性を借りる
 Ex.東大生の99%が読んでいる勉強本
 ⑧ 想像力を掻き立てる
 Ex.滴る肉汁があなたの口の中をいっぱいにします
 ⑨ 簡易性が伝わる
 Ex.足に挟んで寝るだけ 1ヶ月で3kg痩せます
 ⑩ 期間や数量を限定する
 Ex.100名様限定24時間以内なら10%引き

本年度京都ブロック協議会では共感を集める情報発信を心掛けて参りました。
共感を集めるために、上記の10の視点に似た「8×4の法則 共感分析シート」を使い、
情報分析のもと、情報を尖らせて発信いたしました。
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まだまだ、インパクトは不足していますが、
私たちはこれからも「情報発信の拡がりは運動発信の効果に比例する」との意識をもって、
仕組みを積み上げていかなければなりません。

本年度、5月に開催しました京都ブロック大会式典において
映像を用いた会長挨拶をさせて頂きました。

これも全て、受け手の視点を軸として、内容を構築しています。
常識には無かった動画に合わせた挨拶を行い、
未来に起こるプラスのことを話し好奇心を刺激し、
マイナスのことを具体的な数字を使って発信し不安感を煽り、
自己成長や会員増というメリットではなく、
組織が地域の中でどのような存在であれるのかというベネフィットを結論として、構築をいたしました。

挨拶の内容は、受け手の心理を想像しながら、より伝わるようにと考えましたが、
示したかったのはそれだけではなく、失敗しかねないという状況に、
トップが率先して挑戦するという姿勢です。

上の役職の者が安全な場所にいて、挑戦しろと言うようでは
いつまで経っても、挑戦する土壌はできません。
何より人は、壁に挑戦している姿にこそ、一番心を動かされるものです。

青年会議所は、失敗ができる場所だと言われます。
しかし、現実はどうでしょう?

失敗したくないからと、臆病な策を選んでいませんか?

昨年の事業に少しスパイスを加えた程度の焼き直しだけで、こなしていませか?

上役が委員長や委員メンバーに、挑戦する姿を見せられていますか?

青年会議所は、言葉を大切にする組織です。
挨拶に限らず、スローガンや所信方針、議案書や、
上程台の答弁など私たちの思いは全て言葉によって、運動として広がっていきます。

その言葉は、どの立場に立ったどんな視点で、誰に何を伝えていますか?

どんな挑戦をして言葉を伝えていますか?

挑戦する姿勢で、受け手に響く言葉で
私たちの運動を広く発信していきましょう。

人の心に影響を与えられる青年会議所であるために。

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ある冬の終わりの寒い日、ニューヨークの地下鉄の出口でひとりの目の見えないおじいさんが
地面に座って前に缶を置いて、支援を求めておられました。
前には「私は見ることができません。」と書いた紙を置いて。
そこを通りかかった、有名なコピーライターがそれを見て、紙に書かれた言葉に一文書き足しました。
そうすると、どんどん支援のお金が集まるようになったそうです。
その言葉とは。
「もうすぐ春が来ます」
「私は見ることができません。」

京都ブロック協議会 会長 木戸 庸介