【はじめに】

ここ数年におけるAI、5G、IoTなどのテクノロジーの進歩は、社会に様々な変化をもたらしています。その最中に発生した新型コロナウイルスの影響は、変化をさらに加速させ、短期間で私たちの生活や考え方をも大きく変容させました。今は、まさに歴史的な変革期の真只中だと言えます。しかし、時代が変わりゆく中であっても、不変なのは「人と人とのつながり」の大切さであります。私の考える関東地区協議会の「力」とはLOMやブロック協議会を超えた連携であり、組織が活性化することによってもたらされる地域の発展であります。このつながりが、地域を牽引するリーダーを作り、希望溢れる日本の未来を創造することになるのです。
関東地区協議会の活動エリアである首都圏は、1都7県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県及び山梨県)から構成され、約4,500万人が住み暮らす、日本最大の人口を有する圏域であります。集中と集積により生み出される首都圏全体の経済規模は約220兆円、日本全体のGDPの40%を生み出す原動力であり、国際社会においても稀有な存在感を放っています。首都圏内の各都県を見ていくと、人口や産業の構造変化によって経済格差が広がっている状況がありますが、地域間の連携を深めることによって、経済格差を解消し、首都圏全体の活力が生み出される可能性を有しています。
一方で、大規模災害時における首都圏の中枢機能維持は最優先に取り組むべき課題のひとつであります。巨大地震や大型台風などの近年頻発している災害に対して、最新テクノロジーを活用した防災と、広域ネットワークを活かした減災への取り組みが重要であります。経済においては、首都圏全体を活性化させていくために、東京を軸とした地域間の経済連携を今以上に進めていく必要があります。また、社会のグローバル化が進み、国際社会との連携はより重要性を増しております。一方で、領土問題、貿易摩擦など、国家間の緊張が高まっている状況もある中で日本人が国際社会において活躍し、問題解決していくためには、この日本という国の成り立ちを知り、どうなっていくべきかを見据えた、国家観の醸成が欠かせません。その上で、世界との交流によって国際感覚を磨き、国際社会で活躍する人材を育成していく必要があるでしょう。このような取り組みによって、広域的なネットワークと国際的な視野を持ったリーダーが生まれることで、関東地区協議会は日本の重要なインフルエンサーとなっていきます。
今、社会は大きな変革期を迎えていることは間違いありません。この状況において首都圏の課題解決を通じて、関東地区協議会から日本全体を再び成長させていかなければなりません。そのためにも、昨今の時代の変化に加え、新型コロナウイルスの影響によって急激にデジタル化している社会の中で、これらの課題に最新テクノロジーを活用することが求められています。県境を跨ぎ、実際に顔を合わせて議論を深めることで絆を作ってきた関東地区協議会にとって、「テクノロジーの活用と連携構築」はこれからの大きなテーマです。テクノロジーを活用することで、各ブロック協議会との連携を密にすることができ、より大きなネットワークを作る可能性が広がっていきます。一方で、実際に顔を合わせることよって生まれる絆にも変わらぬ価値があり、オフラインの交流によって新たな気づきと成長を生み出し、地域で活躍する人材が育成できると考えます。今後はオンラインとオフラインを両輪として運動を展開していくことで、LOMやブロック協議会が活性化し、地域を発展に導くことができます。関東地区協議会には、157のLOMが存在し、それぞれの地域において数々の素晴らしい運動を生み出しているメンバーがいます。このメンバーの結びつきをさらに強固なものにし、関東地区協議会のつながりを全国に広げていくことが、つながりの先にある「希望溢れる日本の未来」を青年の手で示すことになるのです。距離の壁を取り払った先にある新たな価値の創造のために挑戦を続け、首都圏から日本全体へ運動を広めていきます。

【最新テクノロジーがもたらす災害に強い首都圏】

首都直下型地震、大型台風、ウイルス感染症など、首都圏は年々災害リスクが高まっています。首都直下型地震は30年以内に70%の確率で発生すると言われており、23,000人もの死者が出ると予想され、経済被害は95兆円と試算されています。また、記憶に新しい2019年の台風15号・台風19号のような大型台風が来襲し、首都圏に甚大な被害を与えておりますが、今後、さらに頻度が増え、規模が大型化していく危険性が指摘されています。さらに新型コロナウイルスをはじめとする様々な感染症の脅威も叫ばれています。このような大規模災害に対する防災と減災の仕組みを構築し、首都機能の維持と災害による被害を最小限にとどめていくことは、首都圏が取り組み続けていくべき重要な課題であります。
AIやIoT、ロボティクス、ビッグデータなどの革新技術を社会に取り入れるSociety5.0社会が到来する中、防災・減災にも最新テクノロジーとICTを活用し、災害に強い首都圏を作っていくことが重要だと考えます。防災については、危険箇所のリアルタイムな状況把握ができる仕組みを作ることで、災害を未然に防ぐ地域づくりを目指します。また、今後の防災は道路インフラ整備にとどまらず、通信インフラ整備が重要であり、2021年に本格的に普及される第5世代移動通信システム(5G)を、防災に活用する動きが進んでおります。その中でも自治体が自らの5Gを構築可能な「ローカル5G」は、地域特性に合わせた防災対策を整える可能性を秘めております。そこで、首都圏内において地域行政とのネットワークを有する8ブロック協議会、157LOMが存在する関東地区協議会が、行政や企業と連携し、最新テクノロジーを活用した通信インフラの整備に取り組み、各地に広げていきます。5Gを災害時の重要なインフラとする一方で、平時には超高速、多数同時接続などの特性を活かし、観光やスポーツなどの地域資源をオンラインで体感できる仕組みを構築することによって、地域の競争力を高めて参ります。
また、災害発生時に迅速な支援を行うためには、広域的なネットワークを活用した情報収集システムの構築が重要だと考えます。利用者が多いSNSツールをベースにオンラインツールを組み合わせることで、各ブロック協議会と行政、都県社会福祉協議会と連携を図り、減災ネットワークを構築していきます。さらに2020年度に締結する東北地区協議会、東海地区協議会との災害支援協定を有効に活用し、首都圏を超えた広域性をもって、災害時における首都機能の維持という日本全体の課題に対し、さらに効果的な連携を進めて参ります。
今後の災害発生時の避難所に必要となる感染症対策において、マスクや消毒液だけでなく、人との距離を確保する仕切りやテントといった物資の支援が重要になってきます。関東地区協議会として、企業や団体と協力し、支援物資の調達ができるウェブサイトなどのプラットホームを用意し、「必要な人に必要な分」の支援が届くことにより、災害時に一人でも多くの命を救うことができる、防災・減災意識の高い地域を実現して参ります。今後激甚化が予想される災害に対して、テクノロジーを取り入れ、一人でも多くの命が救われる可能性を広げていくことで、災害に強い社会が創り出されていくのです。

【可能性に満ちた首都圏経済へ「東京圏拡大計画」】

首都圏経済についての大きな課題は、東京一極集中による東京圏と周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)との経済格差が生まれていることであります。この格差は、地域間の定住人口の流入出、デジタル化に代表される産業構造の変化、少子高齢化などの要因があり、問題解決のために地方創生をはじめとする様々な政策が打ち出されてきましたが、現実には東京と地方との格差はさらに広がっています。しかし、周辺4県には先端科学研究の拠点、空港や高速道路といった重要インフラ、悠久の文化を伝える有数の世界遺産、山々に囲まれた豊かな自然など多くの資源があり、これらを活用することで、発展の可能性を秘めております。さらに、テレワークやオンライン化などの新しい働き方によって、集中から分散へ流れが変わりつつあることも可能性を活かすチャンスです。
この状況において、関東地区協議会として、東京圏に集中している経済規模を首都圏全体に拡大する「東京圏拡大計画」を構想し、実行して参ります。この構想では、ICTやオンラインを積極的に利用し、東京圏と周辺4県との都県を跨いだ経済連携を作ります。そこに、AIやビッグデータなどの最新テクノロジーを活用した、企業間のコラボレーションによって、企業の新たなビジネスチャンスを生み出し、地域間の経済格差を是正していきます。そのために、この度、国が改正した国家戦略特別区域法いわゆる「スーパーシティ構想」をベースにして取り組みを進めていきます。これは、蓄積されたあらゆるデータの活用と、AIによる予測を組み合わせることによって、具体的な課題を明確化し、地域の課題解決するための新たなビジネスを創出する構想であります。
スーパーシティ構想のひとつの形は「ICTを活用した環境型都市」であると考えます。
首都圏の持つ資源を活用し、魅力ある地域が創出されることによって、活力に満ちた首都圏経済へのきっかけを作り出していきます。関東地区協議会版スーパーシティ構想として、関東地区協議会のつながりを活かし、今後スーパーシティへの取り組みを進めるモデル都市の選定と課題抽出をして参ります。さらに内閣府やスーパーシティ参画企業とのつながりを構築することで、スーパーシティ実現までの道筋を示していきます。スーパーシティ構想においては、異なるソフトウェアやサービスにおいてデータを相互利用が可能なAPI(Application Programming Interfece)の提供による技術連携をベースにおいており、様々な分野での強みを持つ企業間の連携を視野に入れています。まさに、あらゆる業種のメンバーが所属している関東地区協議会7000名が連携することで、企業間のコラボレーションを作り出せると考えます。スーパーシティ構想の実現により、東京圏の経済が首都圏全体に拡大する契機が生まれ、戦後の経済発展に勝るとも劣らない日本の経済発展がもたらされるのです。

【歴史から醸成される日本人としての国家観】

グローバル化が進み、国際社会との連携が深まる中、日本人としての国家観を持つことが、これからの日本を創る人材に求められております。近年は東アジアでの緊張が高まっており、中国や韓国との関係は重要度を増しております。また、新型コロナウイルスによって、世界各国の自国主義が顕在化し、新たな摩擦が生まれつつある中で、世界との関係を築いていくために、日本人としての誇りを持った国家観を確立することが必要です。そのためには若い世代に対して自国の歴史を学び、国の成り立ちや社会の仕組みを知ることで、国家観の醸成に向けて働きかけていく必要があります。そこで、以前より日本人としての誇りを学ぶ機会を作ってきた関東地区協議会のつながりを活かし、日本建国から現代に至る歴史を学ぶプログラムを実施して参ります。
日本人としての心を思い起こす日本の起源、日本の近代化を進めた明治維新などの、創始からの日本の歴史について学ぶことで、自らが何者であるかが明確になり、これからの日本の未来を創っていく人材となっていきます。特に、現代につながる日本近代史の最も大きな転換点である第二次世界大戦について学ぶことで、先人たちへの感謝の気持ちを感じ、日本人としての誇りを強く持つことができると考えます。関東地区協議会が以前より行っている硫黄島をはじめとする戦地を題材にした事業を活用し、歴史の転換点を学ぶ機会を作っていきます。さらに、オンライン勉強会やバーチャル体験などを用い、これまで以上に多くの若者に歴史を学ぶ機会を増やしていきます。
さらに戦後、日本人の国家観が日本の発展にどのように寄与したかを学ぶことで、未来を展望する足がかりとなり、未来の日本を描ける人材の育成につなげていきます。また、自国の領土についての見識を深め、領土問題などで認識の違いがある台湾や韓国と意見交換を通じて東アジア諸国との良好な関係を築いていくことが、今後の日本が国際社会との連携を取っていくためには重要になってきます。韓国とは歴史認識の違いによって関係が悪化していると言われておりますが、民間で連携できる青年会議所の強みを生かし、国家観を基にしたそれぞれの立場からディスカッションをする機会を作っていきます。また、今後重要となる中国とこれからの国際社会の在り方について対話をする機会を探って参ります。歴史を学ぶにこと加え、近隣諸国との対話を通じて、多くの明確な国家観を持った人材が生み出されることによって、世界の中で存在感を発揮する日本となっていくのです。

【国際感覚を持ち世界で活躍する人材となる】

首都圏には、約120万人、実に日本全体の外国人の約5割が集中し、さらに日本に在留する留学生の約6割が住み暮らしています。国内に拠点を持つ海外企業の5割が東京を中心とした首都圏に集中しています。海外からの訪日外国人は、過去10年で2,300万人増え、2019年には約3,200万人となり、日本企業の海外進出も右肩上がりに増加し、グローバル化が顕著でしたが、新型コロナウイルスの影響により訪日外国人が大きく減少したように状況が変わっております。不安定さが増している状況の中で、今後の国境を超えた感染症被害に対処するためには、国際社会が連携を強化していく必要があります。そのためにも、私たち青年会議所メンバー自らが、国際的な観点からものを考えられ、より広い考え方で物事を捉えられる国際感覚を持った人材となる必要があります。今後、国際感覚を育成するためには、国外のさまざまな文化や価値観を知り、体感することが重要だと考えます。
2021年はJCI Asia Pacific Area Conference(アジア太平洋開発会議)がJCI台湾・台中で開催予定となっています。台湾は新型コロナウイルスの封じ込めに世界中で最も成功した国の一つであり、デジタル技術によって感染症対策を進めております。今後の新型コロナウイルスとの共存(withコロナ)においてもどのような取り組みを進めていくかが注目される中、台湾における施策を学ぶことで、withコロナ時代の日本を展望する絶好の機会となります。JCI台湾には、関東地区協議会内のLOMと友好関係を結んでいるLOMが数多くあります。関東地区協議会として、JCI台湾と友好関係LOMとのつながりを活かし、交流を図るとともに新型コロナウイルス対策についても学ぶ機会を作って参ります。
人の移動が制限されるwithコロナにおいても、日本の経済成長のためには、国際経済との連携を図っていく必要があると考えます。2021年は、JCI World Congress(世界会議)が南アフリカ共和国・ヨハネスブルグで開催される予定になっております。アフリカは今後、アジアに次ぐ将来の巨大市場として期待されており、域内経済大国である南アフリカ共和国での交流は、自らの見識を広げ、国際感覚を身に着けるチャンスになります。関東地区協議会として、この機会を活用し、南アフリカ共和国の文化に触れ、産業について学んでいきます。関東地区協議会が世界とのネットワークを活かし、ビジネスに触れる機会を作っていくことで、国際感覚を持った人材が生まれ、日本は発展していくのです。

【各種大会の可能性を示す】

関東地区大会は、関東地区協議会としてメンバーとの連携構築の場であります。そして、関東地区協議会として作り上げた事業の成果によって、メンバーに新たな学びを与え、個人の成長につながります。この可能性があるからこそ、開催地に集い、同じ空間を共有する意味があると考えます。また、ひとつの目標に向かい、力を合わせて目標を達成する過程で生まれる団結は、出向者にとっても大きな意義があります。人が集うことで構築できる人と人のつながりを生み出す大きな機会として、開催地に集まり、顔を合わせる関東地区大会の構築を目指していきます。
2021年度は「関東地区大会水戸大会」の開催が予定されております。そして、開催同時期の7月から8月にかけては、首都圏が世界から注目される絶好の機会となる「東京2020オリンピック・パラリンピック」が開催される見込みです。オリンピックはテーマに「持続可能な社会の実現(SDGs)」を、また、パラリンピックは「スポーツを通じた共生社会の実現」を理念に掲げており、SDGsと共生社会の実現はまさに今後の社会課題の解決における大きなポイントであります。SDGsと共生社会の実現によって、すべての人が生き生きと活躍する社会につながる関東地区大会を構築して参ります。
そして、関東地区大会で強まった団結力をもとに、公益社団法人日本青年会議所第70回全国大会とちぎ宇都宮大会に向かって参ります。関東地区協議会は、2021年度の全国大会に向けて、公益社団法人宇都宮青年会議所とのつながりを連綿と紡いで参りました。数年前よりブランド構築事業やブランディング事業を行い、広域的な情報発信とLOM同士の連携からブロック同士の連携による「関東地区ブランド」を醸成してきました。第70回の記念大会となる全国大会の開催にあたり、全国から多くの仲間が関東地区内に集結します。開催地の栃木県や宇都宮市の魅力を体感していただくのはもちろん、関東地区協議会が点と点を結び、面と面に拡大させてきた「関東地区ブランド」を日本全体に発信し、関東地区協議会のつながりをさらに強固なものにして参ります。強い結びつきによってLOMがさらに輝きを増し、地域に希望を与えられる存在となっていきます。各種大会が持つあらゆる可能性を活かし、青年会議所における各種大会の新しい方向性を示すことで、今後の関東地区協議会が時代を切り拓く存在となっていくのです。

【結びに】

近年、日本には人口減少や少子高齢化、東京一極集中などの構造的な問題が山積し、不安や閉塞感に満ちています。私も「昔はよかった」と過去の話をする方々の言葉に影響され、危機感と焦りばかりが募っていました。そんなときに青年会議所に誘われ、2009年に青年会議所に入会し、多くの人との出会いと支えによって、今日まで多くの経験をさせていただきました。一つひとつの役職を経験することで見える景色がありました。「組織づくりの大切さ」や「挑戦することで得られる成長」、そしてともに活動することで築かれる「かけがえのない友情」。いずれもが青年会議所活動の中で、自ら率先して行動することで生まれた「人と人のつながり」により得ることができた、私の大切な宝物です。そして、私は未来には希望があることを知ることができました。今の日本は確かに楽観視できる状況ではありません。しかし、自ら考え抜き、英知を結集し、挑戦し続けることにより状況は変えられるはずです。挑戦の先には必ず困難も待ち受けていますが、私たちは過去にとらわれず、未来を恐れず、行動し続けます。青年会議所には多くの魅力があり、多くの可能性に満ちています。青年会議所が持つ強固な「人と人のつながり」は、地域を創るリーダーを作り、地域の課題解決を通じて日本全体を創っていきます。関東地区協議会は日本の礎として、このつながりを広げ、希望溢れる日本の創造に取り組みます。
今、社会は大きな変革期を迎えていることは間違いありません。この状況において、新たな取り組みを行っていき、関東地区協議会から、日本を再び成長させていきます。成長への大きな足掛かりは最新テクノロジーの活用であります。首都圏のみならず日本の課題となっている防災減災、経済拡大への大きな可能性を秘めるスーパーシティ構想をはじめ、あらゆる事業に最新テクノロジーを活用することで、成長への道筋を示していき、さらなる人と人のつながりを増やしていきます。
人と人のつながりは、閉塞感に満ちた社会に光を差し、今後の日本に希望を与える私たち青年会議所の原動力です。このつながりを157LOMに広げていくことで、メンバーがつながり、LOMが活性化し、地域が発展していくのです。そのために関東地区協議会は、挑戦を続け、首都圏から日本全体へ運動を広めていきます。