LOM財産共有

LOM活性化の鍵は褒賞事業にあり!

東北地区内において、JCI日本の褒賞事業に積極的に参画されているLOMの皆様から伺ったお話を、全3回にわたりご紹介いたします。

 

第2回はAWARDS JAPAN 2020において、「KAKEHASHI(日本・台湾の架け橋とならん)」をエントリーし最優秀LOM長期型地域社会プログラムの最終選考にノミネートされた、岩手ブロックの(一社)盛岡青年会議所(以下、JCI盛岡)2019年度理事長伊藤淳之介君(2020-2021 JCI APDC開発担当役員)と2020年度理事長宮野祐樹君(2021年度東北地区協議会情報共有担当副会長)にお話を伺いました。

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取材ご協力:(一社)盛岡青年会議所 伊藤淳之介君(2019年度理事長)

宮野祐樹君(2020年度理事長)

 

――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、AWARDS JAPAN 2020においてノミネートされました「KAKEHASHI(日本・台湾の架け橋とならん)」の概要や実施するに至った背景を教えていただけませんでしょうか。

 

伊藤君:事業を行うに至った背景からお話させていただきますと、JCI盛岡は台湾の羅東国際青年商會(以下、JCI羅東)と姉妹JCを締結して2018年でちょうど50周年でありました。締結以降、毎年こちらから訪台するか、もしくは訪日されることで交流を図っておりましたが、50周年を機に共同で実施する事業を行いたいという話が上がりました。デジタルツールの進歩もあり、お互いにコミュニケーションも取りやすくなったため、共同事業を行う環境が整うとともに機運も高まったことから、JCI羅東とともにお互いの次世代の子供たちのために機会を提供する事業を行うことになりました。その年、JCI盛岡のスローガンとして「明日に一粒の種を蒔こう」というものを掲げておりましたので、それを基にすると大人同士の事業よりも、次世代の子供たちを対象にした事業を展開することが最適であると考え、中学生の皆さんに国際の機会を提供するということを根幹に事業構築を行いました。JCI盛岡は盛岡広域圏の3市5町を活動エリアとしているのですが、2018年に実施した際は活動エリアの各市町から最低1人ずつ選出しJCI羅東に派遣させていただき、台湾の文化や生活を体験してもらうことで国際の機会を提供いたしました。その逆で、2019年は羅東の子供たちに盛岡へお越しいただき、日本の伝統工芸や生活を体験していただきました。ホームステイではなくホテルに滞在するホームビジットという形式でしたが、実際に参加していただいている子どもたちのご家庭やメンバーの自宅で食事やパーティーを行いながらの交流も図りました。

 

――国際化が進む中で、次世代の子供たちに国際交流を肌で感じていただく大変素晴らしい事業だと思います。そのうえで、この事業を昨年度の褒賞事業にエントリーしようと思ったきっかけや経緯があれば教えていただきたいのですが。

伊藤君:一番の原因は宮野君が当時の褒賞事業担当の委員会に出向していたのが大きいのではないでしょうか(笑)。半分冗談でそれ以外は結構本気なのですが、褒賞事業に関する情報がLOMに詳しく入ってきていたので、LOMの士気も自然と高まっていきました。ただ、もともとJCI盛岡は2012年のASPACにおいて組織間協同賞でアワードをいただいておりました。そこから、褒賞事業に関しての機運が高まっており、エントリー出来る事業があったら積極的に行おうという環境が構築されていたのではないかと感じます。ですので、毎年欠かさずという訳ではありませんが、地方都市のLOMとしては比較的高い頻度で褒賞事業に関わってきたのではないかと思います。今回エントリーしたこの事業はJCI羅東との記念の事業でしたが、そもそも姉妹締結して50年という長い時間欠かさず交流をしてきたことが源にあったと思います。この姉妹交流があった結果、岩手県の花巻空港と台湾の桃園空港の間でチャーター便がでたこともあり、岩手県の皆様の民間外交にも貢献させていただいたということで、別部門でしたが前年の2019年もエントリーし最終選考にノミネートされました。JCでいう「国際の機会」や「次世代に向けて」という話にはまりやすい事業だったということもあると思いますし、そもそもエントリーをする気持ちでいたので、褒賞事業を意識しながら事業も構築してきたと思います。

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――かなり褒賞事業に対して高い意識をお持ちになりながら様々な事業の構築をされていることが窺えたのですが、褒賞事業へ参画する上で大変だったお話などがあれば教えていただけませんか。

伊藤君:やはりSDGsのことやActive Citizen Frameworkをしっかりと理解することだと思います。こちらを理解しないと、いくら良い事業であったとしてもエントリーまで届きません。先ほども申し上げましたが、JCI盛岡の場合は宮野君が当時出向しており、理解できていたため落とし込むことができましたし、私もアワードのジャッジメントやアドバイザーの経験があったものですから、ブラッシュアップをかけることができました。しかし、これは今後の懸念事項なのですが、私たち2人や周りで一緒に造りあげてきたメンバーが抜けたときに、継続的にエントリーできる力をLOMに残せているのかということが非常に不安です。褒賞事業へのエントリーに対するイズムというものは分かってくれていると思うのですが、実際にエントリーに落とし込むときには、正直申し上げて結構ハードルが高いと思いますので苦労するのではないかと思います。

宮野君:本当にJCI missionやJCI visionというものが事業に落とし込まれているかまで問われます。基本的には理事長所信をもとに事業を行うのですが、missionやvisionそしてActive Citizen Frameworkの考え方に沿っているのかということを検証しなければならないので、エントリーするには一度事業を全て分解して、JCIや日本の褒賞の仕組みに再構築する必要があるので、慣れているかその経験がないと苦労するのではないかと思います。

 

――なるほど。宮野君のような経験者がいたからこそ、何とか乗り切れたという感じでしょうか。

 

伊藤君:はい。エントリーからノミネートまで繋がったということの貢献は大きかったと私は思います。

宮野君:そのような言葉をいただいて大変恐縮です。しかし、やはり本来JCIが何を求めているのか、何を目指しているのかというところに関しては、今後のためにもメンバーに対する教育をしっかり行い、みんなで理解する必要があるのではないかと考えます。

伊藤君:本当にそう思います。少し話が脱線してしまうかもしれませんが、JCIではコロナの収束後の人々の心のケアや難しくなってしまった職種の方々をサポートする「JCI RISE」という運動を昨年から始めているのですが、おそらく多くのメンバーがあまり意識していないのではないでしょうか。実際に行動指針なども出ているのですが、なかなか手にとって見る機会はないですよね。

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――お恥ずかしい話で私は無知でありましたし、私のLOMでも意識はしてなかったと思います。

 

伊藤君:JCI盛岡も全然意識できていないと思います。エントリーは議案書ベースではないので、JCIや日本という枠に当てはめる時に再構築の必要があるのです。ここは、おそらく皆様エントリーするという気持ちになったときに愕然とするポイントというか壁と感じているかもしれません。

宮野君:エントリーする人が褒賞関係の書類と対峙したときに、「こんなことが大事だったのか」と初めて気付き、勉強しているのではないでしょうか。

伊藤君:エントリーの上で、もう一つ大事だと思う点があります。事業構築の上で絶対に考えておかなければならない点なのですが、それは検証方法です。その検証方法がどれだけ定量的に数値化したデータを提示できるかということが、特に問われているのではないかと考えます。よく具体的な検証方法として「アンケート」とあると思うのですが、例として「どれほどの社会的インパクトがあったのか」とすると、それを具体的に数値化できるものを用意しなければなりません。これは後付けできないものですので、しっかりと事業構築の段階で考えて用意しておかなければ、いざエントリーしようとして書類を見たときに愕然とするのではないかと思います。正直、実際はそのような事を意識せずに多くの方が必死になってやっていると思います。でも間違いなく言えることは、思考訓練としてはすごくいいと思いますし、JCIの事業がいかに社会実験的な要素があるのか、エントリーの取り組みをすることで一気に深く認識するようになると思います。そこにはヒントがたくさんありますので、経験された方はおそらくLOMの委員長をする前にエントリーに携わっておけば良かったと思っているのではないでしょうか。

 

――お話を伺って褒賞事業に関わって様々な学びを得られていることが窺えましたが、参画した後に得られた気づきで最も大事だったと思うことを一つ教えていただけませんでしょうか。

伊藤君:なかなか難しい質問ですね。得られたことというよりはやって良かったなと思うことなのですが、それはJCI盛岡の現在地、置かれている状況が分かるということでしょうか。エントリーした事業の質もそうですし、足りなかったことなど世界や日本の他のLOMとの相対的な比較が出来ることは、組織として間違いなくプラスに働いていると思います。

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――エントリーから評価をしてもらうことで、客観的に自分たちの立ち位置が分かると言うことですね。

 

伊藤君:そうですね。多少言い方が悪いかもしれませんが、JCって9割方が自己満足ではないかと思います。これは悪い話ではなくて、自分たちが満足できること、凄いと思うことを実行に移せるということが凄みだと思うので、それはそれで良いと思います。ですが、実際にそれが他人から見たときにどのように映り、どれほどの社会的インパクトを与えているのかということは、ある一定の期間やタイミングで知ることが必要なのではないかと思います。褒賞事業に関してはそのような機能があると思いますので、定期的に参画していくということは、自動車で言う車検と同じように大事で必要なものではないかと思います。受賞できてもできなくても、例えば今回のようにノミネート止まりだったとしても、一定の評価をいただいていると思います。またノミネートまで届かなかった場合も、悪い事業でなかったにしても何が足りなかったのか振り返る機会になるはずです。

 

 

――なるほど。今回は残念ながらあと一歩と言うところで受賞には届きませんでしたが、ノミネートという結果についてどのように感じられましたか。

 

伊藤君:エントリー担当者の熱量が足りなかったのだと思いました。(笑)それは冗談ですが、実際に自分たちも最善は尽くせたと思うので、素直に受賞されたLOMの事業が凄かったのだと思います。そのようなLOMがあるということは、私たちは素直に喜ぶべきことだと思いますし、しっかりと社会に対してインパクトを残しているLOMがあるということは、「青年会議所もまだまだ終わってないな」と感じました。悔しさが無いと言ったら嘘ですが、実際に携わったメンバーの頭には、JCというものがより明確になったと思いますし、そのことが今後もしっかりとLOMに残っていくのであれば、今回受賞できた、できなかったということよりも遙かに意義のあることだったのではないかと考えます。欲を言えば、もし受賞できていたならば、新入会員など歴の浅いメンバーに対して、JCI盛岡という組織が、外からも評価される凄い事業をやっているという意識付けもできたかもしれないので、そういう意味では受賞したかったということも本音かもしれません。

 

――事業に関して少しお伺いしたいのですが、この事業に携われた方々に事業後変化が見られたことなどあれば教えていただけませんか。

 

伊藤君:私の主観が少し入るかもしれませんが、本当に目に見える形で変化があったと思います。当時参加された子供たちはもう高校生になっているのですが、部活動や学校の社会貢献活動など、国際ということに関わらず、かなり活躍されているというお話を耳にしております。先日、参加された子供の親御さんとお話しする機会があったのですが、事業後、様々なことに対して取り組む意欲が、目に見えて変わったというお話を頂戴いたしました。数値では表わしにくい部分ですが、間違いなくpositive changeのきっかけになったのだろうと自負しております。

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――参加者がpositive changeできているという結果が大変素晴らしいと思います。もしかすると、このような事業に参加するという時点で子供たちにある程度の素質があったのかもしれませんし、そのような話が聞こえてくるのは嬉しいですよね。

 

伊藤君:そうですね。今回この事業を実施する人選をする際に学校や教育委員会にお願いしていたことは、経済的な理由や家庭環境の問題でこのような事業に参加するチャンスが小さい子供たちを推薦して欲しいということでした。生徒会長や成績優秀な子だけではなく、全ての子供たちに平等な機会を創出したいということが、当時の理事長と委員長にあった強い想いでした。これは根拠のないことですが、そういう意味で参加された子供たちは素直な子が多く、良くも悪くも事業の影響を受けやすい子供たちだったのかもしれません。でも、ご質問の通りそのような話が聞こえてくるということは、本当にやりがいがありますし嬉しく感じます。

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上段左:宮野祐樹君(JCI盛岡2020年度理事長・東北地区協議会 情報共有担当副会長)

下段中:伊藤淳之介君(JCI盛岡2019年度理事長・2020-2021 JCI APDC開発担当役員)

上段右:熊谷英敏(東北地区協議会 LOM財産共有委員会委員長)

 

 

 

――最後になるのですが、本日のお話の中でも褒賞事業のエントリーにはそのために様々な落とし込みが必要であると伺いました。もしかすると、そのことに障壁を感じられてエントリーを敬遠されるLOMもあるかもしれないのですが、アドバイスがあれば教えてください。

 

伊藤君:まずは一度門をたたいてみること、それは褒賞事業のエントリーフォーマットを開いていただくということだと思います。大したことに聞こえないかもしれませんが、それをやるのとやらないのでは大きな差があると思います。開くまではよく分からないものと戦っているから苦しいのであって、開いてみれば具体的に何を問われているのかが知ることが出来ると思いますので、まずは知ろうとする意識や取り組みが大事だと思います。褒賞事業は絶対に参画した方が良い事業だと思います。特に、「最近LOMの力が弱くなっているな」と感じるLOMこそ絶対に参画すべきです。「JC活動って何なの」「この事業って自己満足じゃないの」と思っている若手のメンバーが半分とか3分の1で構成されているLOMは、そのような状況に陥っている可能性があると思いますので、褒賞事業を利用しない価値はないと思います。

 

宮野君:そもそも、在籍年数が長いけど燻っているメンバーがいたとしても、「認めてもらいたい」「価値あるものでありたい」という欲は絶対に持っているはずです。LOMの事業を実施してみて成功だったり失敗だったりあると思いますが、それがある一定の評価を与えられたときに次の目標が無かったら、また元に戻ってしまうかもしれません。そういった意味で褒賞事業というのは、次のステップや目標にもなると思いますし、仮に受賞できたとしてもそれはゴールではなく、JCとして事業を続けていくのであれば、ずっと求め続けるべき道なのであろうと思いますので、参画することは大変意義のあることだと思います。

 

 

取材・原稿:熊谷 英敏(東北地区協議会 LOM財産共有委員会委員長)