はじめに
我々が⽣きる神奈川は、豊かで恵まれた地域です。政令指定都市を有し、県内総⽣産も毎年全国上位に⼊り、交通インフラは網の⽬の様に巡り、都⼼や各地へのアクセスは不便無く、丹沢⼭系や相模湾から潤沢な⾃然の恵みを享受し、歴史や⽂化を各地域で形成しつつ⼈々は豊かな環境で⽇々を営んでいます。しかし近年の社会状況を受け、今後我々を取り巻く環境はさらに急激に、そして⼤きく変わっていきます。IT化の加速度的普及によるDXの可能性拡⼤により、⼈が動く、ものを動かすという概念が多岐化するライフスタイルに合わせ変化をする事が想像できます。多くの情報と物質に満ちてゆく状態は、⼼の衰弱をもたらし、想像⼒の減退を進めてしまいます。さらに世界的感染症により加速した変化の分岐は、変えるものと守るものという選択を⼈類に突き付ける事になりました。⻘年世代として世代間や各団体、⾏政との繋がりを担い、⾃⼰研鑽を⾏う我々⻘年会議所の未来を描く運動は、現状に⽢んじる事なく未来を⾒据え、より豊かで明るい社会を地域と共に希求し、想像する事から始まります。組織の持つ特⾊である相補性を活かし、⼀⼈称では解決できない課題に取り組む⻘年会議所に対する地域や社会からの期待は我々の存在意義の⼀つです。そして⻘年会議所が⻘年会議所である為に神奈川ブロック協議会55年間の永き歴史の中、様々な時代背景の中で先達が遺して頂いた歴史が織りなす活動、運動は、我々現役⻘年会議所メンバーにとって何ものにも代え難い財産です。⽬まぐるしく社会変化の速度が上がる現在、さらに包摂性を求められる昨今の世界において、過去から学ぶ根拠と豊かな未来への想像⼒をもって何が最善かを議論し、地域を越えたネットワークの広さと強さで社会意識変⾰の⼀翼を担う責任が我々にはあります。過去からの経験と繋がり、そして個性を活かし、変化を⾃らの糧にする⼈が溢れ、今よりも未来が常に良きものになる。地域に対する責任感の連鎖が織りなす⻘年会議所の運動こそがその原資であります。不確実かつ正解のない社会と⽐喩をされる昨今の時代の中、我々は今を⽣きる⼈々が前向きで輝く未来を描くための推進⼒となります。
県内ネットワークが描き出す繋がりの価値
多様な⾵⼟に、多様な⼈財が所属する県内会員会議所それぞれが持つ価値観を如何に魅せていくべきか、それは神奈川ブロック協議会において重要な使命です。現状を把握し、その上で相互補完を⾏う協議会としてどのような活動が有⽤であり、どう在るべきかを⽰す必要があります。また、より個性を活かすマルチなステージを提供させていただくために、県内会員会議所が会員として所属する⽇本⻘年会議所また関東地区協議会の運動との連携は、円滑且つ効果的に⾏う調整をかける必要があります。神奈川ブロック協議会は厚い歴史を持つ⾮常に連携の深い組織です。この環境に⽢んじる事なく、連絡調整機関として県内会員会議所メンバーが今どのような状況で活動をしているのか、どのような夢を描いているのかを窓⼝となり共有させていただきます。また、単年度制を活かす為に、本年、そして過去の運動の取りまとめを⾏い、不連続の連続と称される運動を補完し未来へ繋げて参ります。さらに近年頻発する災害については、地域性を捉えつつ県内会員会議所の連携を図ります。CHARMかながわの運⽤の具体化をさせ、起きてからではなく起きる前に着⽬し、能動的かつ機動的活動が⾏えるよう進めて参ります。その検証をもって必要に応じた改定や⾒直しも検討しつつ共有を促進させて参ります。
次代との共育が描き出す明るい未来への可能性
次代を担う若者の政治への関⼼度を計る根拠として、投票率が顕著であり明確です。直近の国政選挙におけ る投票率は約50%、そのうち10代20代の平均投票率は約35%という数値が表れています。この結果か ら、端的に投票率の低い世代への政策が後回しになるということは容易に想像できます。そして、⾃分の⼀票 なんて、という諦めの⼼境が⽣まれる事も考えられます。若者の地域への帰属意識を⾼め、課題や問題を⾃分 事と捉えた主体的活動の場を提供できれば、より世代の声を社会に⼒強く発する事ができ、その活動の影響は 広く波及していく事になります。 「かながわハイスクール議会」では、主体性を育み、⾃らの想いと⾏動が未来を変えられるという体験や経 験を通し、政治参画の意義を伝えて参ります。そこで交わされる学⽣視点の⾃由な発想を得る事こそ我々が学 ぶ機会と捉え、県政の考えと学⽣の発想が交わるプロセスから、我々が地域での運動を⾏う根拠を⾒出しま す。さらに関係団体や関係者とも緊密な連携を図り、次代の担い⼿が未来へ希望を持つための機会を産学官⺠ とでスクラムを組み実⾏いたします。また、従前のような対⾯コミュニケーションから、ICTの運⽤が教育 現場でも主流となる中、即した運⽤を取り⼊れて参ります。⻘少年と⽬線を合わせ共に育まれる多くの経験と 機会は、明るい未来を描く事へと繋がり、誰もが誇りを持ち活躍できる持続性ある社会に繋がると信じていま す。
⻘年会議所の魅⼒が描き出す時代に適応できる⼈財の創出
1949年9⽉3⽇、⽇本⻘年会議所の前⾝となる東京⻘年商⼯会議所は「苦難を打開してゆくために採るべ き途は、国内経済の充実と国際経済との密接なる連携」と宣⾔しました。今こそこのマインドを運動の道しるべ として改めて着⽬をしたいと思います。70年余りの時代、その時代背景と共に⻘年会議所運動も変化を続けて います。社会状況の変化に適応する次代のリーダーを輩出してきた我々が、遺伝⼦として刻むべき⻘年会議所の 精神をメンバーと共有し、紡いでいく事が責務であります。 メンバーの育成と会員拡⼤は直結します。拡⼤運動への連携と、⼊会した後のメンバーに対し神奈川ブロック という「⼈の繋がりが魅せる機会」と「スケールメリットを活かしたJayceeとしての成⻑」を提供させて いただきます。⾃らを研鑽し⽣き⽅を誇り、その⼈がいる組織の魅⼒に惹かれ⼈が集うという、⼈に焦点を当て た会員増強の好循環モデルを県内会員会議所の皆様と共に描き出して参ります。また、リアルとバーチャルを⽤ い、JCマインドと社会経済状況を織り交ぜた経済⼈育成プログラムを⾏い、我々が県内会員会議所の伴⾛者と なります。変化に適応できる⼈財を創出し、⼈の成⻑を組織の成⻑に繋げる事で、⼈と地域の個性を活かした運 動の推進を後押しして参ります。
⼈と地域の魅⼒発信が描き出す開かれた神奈川の繋がり
今を⽣きる⼈々が⼿にする事ができる膨⼤な情報は、真実と脚⾊された虚構が交錯し、⽟⽯混交ともいうべき 状況にあります。本当に必要な情報や重要な数値を求められる今、公益を冠する⻘年会議所の協議会としてリテ ラシーを⾼め、正しい情報を受信、発信していかなければなりません。事実、近年では社会状況の変化に伴い神 奈川への移住者が増加傾向にあります。これは神奈川の魅⼒を改めて発信する稀に⾒るチャンスです。歴史、⽂ 化、地域性を背景とした魅⼒溢れる組織としての運動、その運動を構成する未来を切り拓くメンバーの⼈間⼒と 経験は、まさに神奈川県の魅⼒を表す価値そのものです。 県内会員会議所の情報、各地域の情報を発信する事は神奈川県というブランドの創造に繋がります。情報を受 信者⽬線に⽴ち発信し、⼈から⼈へ魅⼒が伝播する事は共感者を増やし、その共感の輪を拡げる共鳴者を増やす 事に繋がります。我々は地域と⼈を魅せる機会と、活動エリアを越えた組織やメンバー同⼠が繋がる機会を提供 し、その繋がりをSNS等継続的ツールの更なる運⽤⽅法を探求し発信いたします。併せてローカルエリアのネ ットワークはもとより、ワイドエリアのネットワーク媒体も⽤い⼀元管理にて発信・共有をする事で、神奈川県 と⻘年会議所の魅⼒を描いて参ります。
地域の魅⼒が描き出す持続可能な神奈川の未来
本年50回⽬の開催を予定している神奈川ブロック⼤会は、2020年世界的感染症拡⼤の影響で延期を余儀 なくされた平塚⻘年会議所主管にて開催いたします。世界的感染症という未曽有の事態を前提とし、それでも主 管として開催を望まれた強い意志を受け、神奈川ブロック協議会は⼈々が新たな時代への夢を想い描ける⼤会と して構築いたします。 50回⽬という節⽬の⼤会開催にあたり、これまで神奈川ブロック協議会に関わっていただいた皆様に、その 歴史を改めて⾒直す機会を提供して参ります。先達から受け継ぐ過去と、未来に繋ぐ運動を、中間地点となる現 在を⽣きる我々がその意志を⽰し、感じるだけではなく視認できる⽅法でメンバーはもとより参加者、関係者の 皆様と共有する機会を創ります。そしてSDGsを⽤い、本⼤会を変化が加速する現代において多様性を受容し、 包摂性を意識し、⾃らと地域にとって持続的未来を描く機会になる事を⽬指します。また、開催前後のプロセス にこそ⼀体感を⽣み出します。神奈川ブロック⼤会開催という「ストーリー」を⼤切に、開催の意義を内外に⽰ し、準備及び開催、その後の検証引き継ぎまでを⾏います。⾃らの⼿で描いた理想へ挑み、⾃らの⼿で切り拓く、 関わる全ての⼈々が当事者となる⼤会を開催いたします。 ここで想像しましょう、素晴らしい未来を。
強い組織運営が描き出す過去の轍と未来の姿
⼤きな何かを創る時、重要となる事は深く根付く基礎であり、揺らぐことのないしっかりとした基盤です。約 1,000名という多くのメンバーの調整機関である神奈川ブロック協議会こそ、その基盤の強靭さをもって付 託と信頼に応えていく必要があります。 我々は「会議所」である集合体ゆえに、重視する要素は会議運営にあります。そこで議論、決定される各事業 や運動は公益性、透明性を遵守し、決議がなされた事案については執⾏と検証の責任が⽣じます。従前の会議運 ⽤はもとより、時代に即した⼿法が様々⽣まれた近年の例を活かし、会議の円滑化と効率化を重視し適正財務、 コンプライアンス遵守を踏まえ会議運営を⾏って参ります。さらに連絡調整機関として、情報の共有を迅速、適 切に⾏う必要があります。⽇本⻘年会議所や関東地区協議会が提供される様々な貴重な機会を喪失する事の無い ように情報の共有を図り、また、県内会員会議所からの発信に関しても連携を⾏って参ります。過去から学び活 かす事ができるのも、輝く未来を描く事ができるのも強い基礎、基盤があってこそです。これまでもこれからも 頼られる神奈川ブロック協議会であるよう誇れる組織運営を⾏って参ります。
【結びに】
⻘年会議所は様々な「もの」や「こと」を得る機会を提供してくれます。そんな⻘年会議所の⼀員でいられる 40歳までという限られた時間は、カラフルでわくわくする未来を描くために⾃分のカラーパレットに経験とい う⾊を増やしてくれます。
私は2012年に⼊会をして以来、たくさんの⾊を先輩、仲間たちから⾒せてもらいました。時にはこれが何 になるのかと思った時間もありました。それも今となれば⾃分を創る⼤切な⼀⾊になりました。⻘年会議所に属 していなければ経験ができなかった時間は、かけがえのないキラキラと輝く⾊になりました。
七⾊の夢を⼿に⼊れるメンバーもいるかもしれません。その鮮やかな⾊たちは⾒るものを惹きつけ、⾃分以外 に幸せを提供できる⼈間になることでしょう。 新たな⾊に気付く瞬間もあるかもしれません。それはきっと⾃分が持っている⾊と、経験から新たに得た⾊が 必然的に混ざり合い、新しい可能性を創り出した瞬間なのです。
ここ近年、急激に変化する社会状況は、混沌と判然が交錯を続けています。その状態が前向きなものになるか、 別のものになってしまうかは⼀⼈ひとりの⼼の中にあります。その⼼を周りにいる⼈に伝え、挑み踏み出す機会 を皆で創って参りましょう。今よりもっと笑顔があふれる未来を想像し、⼈⽣という壮⼤なキャンバスに⾃分の ⾊で描き出していきましょう。
皆に平等に与えられた唯⼀のもの、それは時間です。
かけがえのない⼀年という時間を預かる2022年度神奈川ブロック協議会は、全⼒で皆に届く、皆の⾊で未 来を描く機会を提供して参ります。