重要伝統的建造物群保存地区として東西600メートル・南北310メートル約17.4ヘクタールに、伝統的建造物が約6割残り、我が国でも有数の歴史的市街地を形成している今井町。中世末期に一向宗の寺内町(じないちょう)として成立し、江戸時代は商業都市として発展しました。現在は歴史的な町並みを生かしたまちづくりがおこなわれています。歴史ある場所の近くにある「LUSHLIFEcoffee & dog」で今回取材をさせていただきました。
お話しを伺ったのは橿原青年会議所専務理事を担う花香知寿くんです。インタビュアーは近畿地区協議会ブランディング戦略委員会の岸本副委員長が務めました。
~JCに入会されたきっかけとJCの意義~
岸本 JCに入会されたきっかけと、今JCをしている意義をどこに感じられているかを教えてください。
花香 きっかけは以前、転職した時に知り合った人との出会いです。まちづくりやひとづくりなどは今後の転職などにも関わってくるので興味を持っていると話をしました。当時大阪で勤務していましたが橿原にも拠点があり、その知人がすでにJCI橿原に入会されていたので、一度こういう団体があるから来てみないかと誘われたのがきっかけです。
まちづくり事業の男女交流の場やJC主催の食事会などに行かせていただいて、メンバーと触れ合う事によりJCというものを知りました。
岸本 異業種交流とかはよく聞きますが、男女の交流の場だったのですか?
もう少し詳しく教えてください。
花香 近くに今井町というまちがあるのですが、レトロな着物を来て参加する街コンイベントだったんです。「サクラで来てよ」と言われて、ノリで参加しました。こういうイベントも開催しているんだという事を知ったのと、次に参加した異業種交流会(食事会)で経営者の方などに色々な話を聞きました。「橿原にこんな人達がいるんだ」ということをそこで知りました。それがひとつのきっかけです。この人達と一緒にいたら、20代後半から40歳まで楽しく過ごせるだろなと思ったのがきっかけでした。
岸本 最初はJCが主催している事業に参加してというところからだったんですね。もともとまちづくりやひとづくりに興味があってという事ですが、実際入られてそれは実感できていますか?入ってよかったですか?
花香 良かったと思います!質問にあった意義といいますか、仕事・家族・プライベート・JC活動と、橿原の他のメンバーさんも一緒だと思いますがONとOFFがきっちりしていて、やる時はやるという雰囲気なんですね。事業ギリギリまでゆったりしている時も正直あるんですけど、事業が始まる時になれば皆スイッチを切り替えて事業に集中します。それが終われば懇親会なども楽しんで、そういうところが自身の中のメリハリにもなっていいと思います。
岸本 確かにJCに入るとONとOFFの切り替えが上手なメンバーが多いですよね。ONとOFFでいうとプライベートと仕事とJCがありますが、JCでまちづくりをするというメンバーが多いと思うんですけど、ホームページなどを見せていただくとご実家の方でもまちの為にイベントをされたりや子育ての相談にのったり、そういった事をされてますよね。地域の為にどのようなことをされているかご紹介いただけますか。
~地域住民を巻き込んだ活動内容について~
花香 実家がお寺なんですが、大学生の時に各地方のお寺に行って子供会という学童保育のような活動をしていました。いつかそういう事もしたいなと思いながら社会人になったのですが、なかなかできなくて。自分のまちに戻るきっかけがありJCに入会して、改めていいまちだなと思ったんです。みなさん一度奈良から出られて大阪や京都など都市部に行ったりします。自身も仕事で2・3年離れた時があります。帰って来た時に自分のまちはいいなと思ったんですよ。なので、奈良を離れた人が戻って来たい、住み続けたくなるようなまちづくりをしたい、と思いました。子ども達が地元でお祭りに参加したとか、唐揚げを食べたとか、竹細工をしたとかを大人になって思い出した時に、郷土愛やあんなことを学んだなという教育につながることを考えて活動をしています。
岸本 そこが一番大きいですね。僕も地元にずっといるのですが、今思えばそんな大した行事じゃなかったと思うんですが、昔ここであんなことしたなとか思い出が郷土愛に繋がっていますね。地域衰退などでそういった行事が無くなってしまうのはさみしい事ですね。
花香 他には、別の団体ともコラボして、利用者数が少ない駅舎で音楽マルシェをさせていただきました。音楽マルシェと同時にお寺で縁日をして、まちの駄菓子屋さんにも参加していただいて、三拠点をスタンプラリーするイベントを行いました。徐々にスポットを広げていって、スタンプラリーの開催場所を増やしてまちの事を知ってもらえるようなイベントにしていきたいです。
~食とまちづくりに取り組まれている理由や想いについて~
ブログなどを拝見させていただくと奈良の「食」も取り上げられていますが、「食」に着目されているのは何か想いがありますか?
花香 子ども達の成長には食べて動くというのが一番大事なので、自身の活動を通して「いただきます」「ごちそうさま」など挨拶はもちろん、命をいただくという意味での過程も大切だと考えています。農家の方や食材を流通して運んでくる方、小売店の方などいろんな背景があります。それを子ども達に知ってもらうのは難しいんですけど、こうして食事ができるのは当たり前ではないということを知ってもらいたいです。当たり前ではない、有り難いから「ありがとう」ということを、食を通して知ってもらいたいです。奈良には、大和野菜など土地の名産を使用した飲食店が多くあります。そういった事も知ってもらえたら奈良のPRになるなと思っています。それと僕も食べるのが好きなので、自分が行ってる所なども紹介しています。
岸本 「食」というのが、子ども達への食育と橿原の食の魅力を発信するという、地域への想いからきていることが、お話しを聞いてよく理解できました。
~JCの学びをまちづくりに活かす~
岸本 JCでもまちづくり、プライベートでもまちづくりということになりますが、JCに入ったからこそ自身が行うまちづくりに活きてきた事ってありますか?
花香 大いにあります。学生時代もイベントとかをしていましたが、JCに入って議案構築を進める中で、タイムスケジュールや準備などもありますが、一番良かったのは背景や目的が大切だと学んだことです。楽しいイベントは多々ありますが、背景・目的が不十分だと単発のイベントで終わってしまうので、なぜそのイベントをするのか、どういうことにつながるのかを深く考えるようになりました。
岸本 背景・目的は委員長をした時は壁になる部分ですが、そこを学べる、「修練」できるのはJCの場しかないのかなと僕も思います。
~橿原というまちの魅力について~
岸本 さきほど食の話題でも、大和野菜など地元の野菜を使ったお店が多いと言われていたのですが、橿原の魅力を紹介してもらえますか。
花香 交通の便がいいと思います。大阪・京都・三重まで一時間圏内で行けます。大きな商業施設があるわけではないですが、良い意味での古い町並みと新しい町並みのコントラストがあるのも良いです。ちょうど良い子育て環境で、子育てする教育体制もしっかりとしていて、単純に住みやすいです。
岸本 いろんな所に行きやすく、昔ながらの町並みもあり閑静な住宅街もあって子育てもしやすい。子育て世代には非常にいいですね。
花香 なんもないやん!ってよく言われるんですよ。なんもないやんが橿原はよくて、橿原神宮とか少し離れたら熊野古道とか古い歴史スポットがあるのですが、そんなに観光地として目立ってないところが、僕のなかの橿原の魅力です。
岸本 ずっと住んでるからないように思ってしまうだけで、他から来てもらうと実はこんな所があるやん!って思ってもらえる所がたくさんあるのが地方だと思います。橿原神宮という人を引き付けるスポットがありますので、実際に足を運んでもらうと魅力が伝わりますよね。
花香 確かにそうですね。昨日お寺巡りされたと思うんですけど、奈良県民・橿原市民はあまりしないんですよね。県外の方からいろんな情報をもらって、住んでる人達が逆にめっちゃイイまちやんって実感させられることが多いです。
~今後の展開・ビジョンについて~
岸本 JCでもプライベートでもまちづくりをされていて、今後どう展開していきたいですか。ビジョンはありますか。
花香 まずはJCの活動の中で、立場・役職に関わらず一生懸命させていただいて学びを得ようと思います。青年会議所の活動を通して各行政の方とも関わりがありましたので、行政にも、地域住民の一人としてもう少し深く関わりたいです。
岸本 JCに入ると行政と関わる経験も出来るので、そこから自身に落とし込んで深く関わったり、違う方向からの関わり方なども学べますね。
花香 JCに入ってなかったら、市長や行政との関わりもなかったと思います。そのきっかけを活かすも殺すも自分次第ですし、先輩にも「もっと巻き込んだらいい」と助言をいただいているので、活かせる動きをしたいです。僕がこれまで生きてきて、地域に育てられたという想いが強いです。そんな中で、小さい頃にあったお寺でのイベントを思い出して地元に子育てで戻ってくるという話を聞いて、全員が戻ってくるわけではないですけど、少しでも故郷のことを思い出してもらうきっかけになればと思います。地域の人たちがお寺や神社などに目を向けてもらえたらと思いますし、今はそのきっかけ作りをしています。それが広がってお寺を中心としたまちづくり、または、まちづくりの中でお寺などが活かされるようなことになればいいなと思います。
岸本 まちづくりの視点として寺社仏閣が多いからまちづくりに活かしていこうという考え方、特に奈良は寺社仏閣が多いのでまさしく地域資源を活かしたまちづくりなのかなと思いますし、新たな視点なのかなと感じました。
花香 無理やり新しい事をするのではなくて、今あるモノを分析もしないで手を付けないのはもったいないと思っています。
岸本 まちづくりに力を入れていて、考えるだけではなく行動できているのが凄いなと思います。そこにJCに入って学ばれた事をうまく活かしている。まさしく輝く人財ですね。
花香 地域住民との関わり方の中で、こんな人がいるんだとか、そこでの出会いやご縁が僕の中では刺激になっています。奈良の県民性かもしれませんが、少し控えめなんですよね。僕のイメージですよ(笑)。その中でも、一発目に手を挙げて何かをするのがJCメンバーかなと思います。一歩外に出たら皆さん社長であるとか役職につかれている方が多いので、JCを離れたら自ら率先して動ける方だと思うんですね。
岸本 メンバーの中にそれだけ想いがあって行動もされている方がいるというのは、大きな刺激になると思います。もともと持っているまちへの想いも他のメンバーにも伝わっているのではないでしょうか。普段の活動を通して、周りのメンバーの方も「自分たちもしないと!」という気持ちになっているんだろうなと思いました。
花香 そう思ってくれていたらうれしいです。専務理事という立場なので連絡をたくさん送ったりするのですが、業務連絡的なところもあるので、普段の活動を通して関われた時には、そういう想いを持ってる人なんだという発信はしたいですね。
岸本 もともとまちづくりに興味があって、公私共にまちのために行動しているというのが本当にすごいと思いました。ずっと話を聞きながら、将来選挙に出馬でもされるのかなと思いました(笑)。
花香 ハハハハハ!出馬はちょっとね・・・。
単に他の人よりまちが好きなんだと思います!
~JCメンバーに向けて~
岸本 最後に、近畿地区のメンバーに向けてメッセージをお願いします。
花香 JCに入った目的だとか、やっている意義というのは人それぞれだと思うんですけど、友達作りで入ったなら友達作りをめっちゃしてほしいですし、まちづくりで入ったのなら、まちづくりへの視点を磨いてほしいです。自分がJCに入った目的に対して本気で取り組んでいって欲しいですね。僕も惰性になったり、めんどくさくなることもあるので、そういう時には入会した時の想いや直近の活動で良かった事を思い出して頑張っています。みなさんに伝えたいのは、「みんなでやっていきましょう!」という感じですかね(笑)。
みんなで一生懸命に近畿を盛り上げて、近畿にひとが来てくれて、僕の場合は奈良に橿原にひとが来てくれたらうれしいです!