2022年度 会長所信
会長 斉藤 和治
【はじめに】
「明るい豊かな社会の実現」そう言われてどのような社会を想像するだろうか。
私は誰もが笑顔と活気に溢れていて、誰もが夢を描き、愛や希望に満ち溢れている。
そのような社会こそが「明るい豊かな社会」なのだと想像する。
私たちの故郷である福島は、東日本大震災、東日本台風災害などの甚大な災害に見舞われながらも、そのたびに手を取り合い、復旧・復興のために力を合わせて、まさしく「明るい豊かな社会の実現」に向かって誰もが行動を起こし、生まれ変わった新しい福島が創造されようとしていた。
そんな矢先、人類にとって戦後最大の脅威となったコロナウイルスショックにより世界規模の社会的危機が引き起こった2020年。福島県においても経済活動の停滞や外出自粛による個人消費の落ち込み、あらゆる行事ごとの中止など、今もなお続く深刻なダメージを与え、社会からは笑顔も活気も夢も希望も奪われてしまうほどの大きな影響を与えてしまった。
しかし、少し考えてほしい。そのような社会情勢でもなぜ、私たちは日々の中で「JC」という選択肢を入れているのだろうか。誰かの笑顔のために何かをするのが「JC」ならば、その「誰か」とはいったい誰なのか。私が思うその「誰か」とは、家族をはじめ、自分を支えてくれている人たちである。地域をより良くする、その先にあるのはその「誰か」の笑顔であり、JCで学んだことを自らの仕事に活かす、その先にあるのも「誰か」の笑顔ではないだろうか。そうであるならば、そのための「JC」であり、そのための仕事であり、そのための自分自身でなければならない。
全ては「誰か」のため。そしてそれを実現していく過程に、社会への貢献と明るい豊かな社会の実現があるはずである。だからこそ、私自身の人生の使命とは「家族と身の回りの人たちに笑顔が溢れる豊かな人生を提供するとともに、社会へ貢献し続けること」である。
想いをカタチにするということは、自らが強く想い描くことを現実としていくことであり、それは組織としても同じく、組織が想い描くことを明確にし、組織に所属するメンバー一人ひとりがその想いを強く信じ行動すればそれは現実となり得る。
私たち一人ひとりの想いがカタチになった時、愛と希望に満ち溢れた新しい福島を創造することができると私は信じている。
【原点回帰、時代に即した組織改革とJC運動へ】
私の考える理想的な組織とは、まずは一人ひとりが当事者意識を持って、変わりゆくまちの課題を解決するために行動する事で他者を巻き込み、結果的に組織の成長につながっていく、そして共感を得た地域の青年がメンバーとして自然と増えていき、さらに新しいメンバーが成長し他者を巻き込んでいくといった好循環を続ける状態だと考える。また、理想的な組織の在り方は、明確なビジョンをメンバー全員が共有しながらも、多様性を認め互いに尊重しあい、誰もが意義を感じ輝く事の出来る組織である。JCの不変的なビジョンは、「若き能動的市民を支援する国際的なネットワークをもつ先導的機関になること」であり、課せられた使命は「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供すること」である。メンバーが多くの成長の機会に触れることで意識を変革し、多くの人を巻き込み、地域により良い変化をもたらしていくためには、JC運動の本質を深く理解しながらも、時代に即した柔軟で誰もが意義を感じ、何事にも参画できる開放的な組織へと変革していかなければならない。
まずは、原点回帰の意識改革としてJCの理念を学ぶ機会を創出し、メンバーが自らの地域の課題を見つけ、その課題解決のために努力をし、JC運動に関わる他者を巻き込み変革することが出来れば、我々の運動に興味を持った市民が増加し、まちの発展に寄与し続ける事に繋がっていく。そして、先入観や前例にとらわれることなく、JCにとって今の時代に即した組織とはどのような組織なのかを徹底的に研究し、人々が自然と集い、誰もが輝く組織の在り方や取り組みを学び、率先して取り入れていこう。その結果、メンバー一人ひとりの中でそれぞれのJCとしての価値が高まることによりJCという組織そのものの存在価値が高まり、地域により良い変化をもたらし続けることできると考える。
JCとしての不変たる理念を正しく理解し、在り方や思考を時代に即した形に変えていくことで、すべてのメンバーがJCという組織はもとより、地域社会において必要とされ、意義を感じ輝くことのできる組織へと変革していこう。
【即戦力となる人財育成】
アカデミー委員会は福島ブロック協議会において、唯一人財育成だけを目的とした委員会である。アカデミー委員会に求められている人財育成とはどのようなものなのか。
社会人・組織人としてのリーダーシップ研修は、世の中に溢れるほどある。またJAYCEEとしてのスキル向上であれば、日本JC公認プログラムが多数用意されており、研鑽を積まれたトレーナーのもと日々の全国各地で開催されている。そのような環境下
でも、我々じゃなければできない独自の特性を活かし、福島ブロック協議会アカデミー委員会でしか得られない価値を、アカデミー生に対し提供していかなければならない。
私の考える福島ブロック協議会アカデミー委員会の特性の一つ目は、2月から10月までの8ヶ月という中期的な時間軸で行う研修委員会であるということ。二つ目は入会から3年未満のメンバーが対象であるということ。そして、三つ目は、アカデミー生は皆、福島ブロック協議会内のLOMメンバーが対象であるということ。一見すれば至極当然のことを言っているだけであるが、今一度この三つの特性に向き合い、その特性を最大限活かした、福島ブロック協議会でしか得られない「多くの気づき」を与えられるプログラムを構築する必要がある。そしてアカデミー生を即戦力JAYCEEへと必ず導くことでLOMへの最大限の支援となることを確信している。
【未来を想像する×新しい福島の未来を創造する】
最先端の技術を使った仕事に従事したいなら、首都圏あるいは大都市へ行かなければならない。そのように考える時代は確かに存在していた。しかし、新型コロナウイルスとの共生を強いられるようになってからはどうだろうか。ニューノーマルな時代と呼ばれるようになった今、物理的な距離や時間軸に囚われることなく仕事ができるようになった。それらをもたらしたのは紛れもなく最先端の技術であり、我々人類が創造してきたものにほかならない。東日本大震災以降、福島県では浜通りを中心とした「福島イノベーションコースト構想」を推進し、新たな産業基盤を創出するプロジェクトが国家プロジェクトとして大々的におこなわれている。今後はさらなるスピードで、様々な技術が開発、実験がなされ、そして社会へと次々に投入されていくことになるだろう。
これから先の未来を想像してほしい。あらゆるモノ・コトがインターネットと繋がり、凄まじいスピードで変化していく時代に突入し、これから先はもっとスピードを上げて社会構造をも変化させる時代はもう目前に迫っている。では、これから嫌でも付き合っていかなければならない技術をどれだけ利活用しようとしているだろうか。きっと身の回りにあるスマートフォンなどはほとんどの人が使いこなせているだろう。しかし、本当に必要なことは、その技術をどのように活用し、産業利用としての可能性を導き出せるかではないだろうか。
これからの地方産業を考えたとき、必要不可欠である先進技術の活用方法を想像する機会を創出し、想像から創造へ変えていくことが、今後の重要な経済発展につながることになると私は考えている。これからの未来を見据えて、新しい福島の創造へ繋げていきたい。
【ブロック大会】
福島ブロック大会には「主管益」「地域益」「参加者益」「主催者益」の4つの益を求められるが、この4つの益を得るためにはどのように考え、事業を構築すれば良いのだろうか。私は大前提として、福島ブロック大会は地域益を最優先にしなければならないと考えている。地域益につながらないことをいくらやっても何も意味はない。地域から共感を得られない限り参加者益にも主管益にもつながらず、当然に主催者益も得ることはできない。福島ブロック大会は、主催者であるよそ者、若者、ばか者が関わるからこそ、地域に大きなインパクトを与え、独りよがりではない、社会から共感を得られる新たな地域価値をデザインし、地域の魅力向上につなげなければならない。ブロック大会は単なるイベントではない。地域の未来に向けた更なる活性化の足掛かりであり、福島ブロック協議会内19LOMに対し、自身の地域の活性化に、明るい社会の実現に繋がり、新しい福島の創造へ向けて、19LOMの全員で考える機会となるように挑戦する。
【他人事から自分事へ】
日本に住む誰もがリーダーを自分たちで決められる投票する権利持っている。
この権利は我々にとって当たり前の権利であるが、この権利を求めて闘っている若者も他国には大勢いることを忘れてはならない。
近年、福島県においては、投票率の低下が当たり前になっており、その中でも特に10代、20代の投票率は30%台と低い水準で推移し、若年層の政治参画への意識が低くなっていることが分かる結果がでている。
自分たちの未来はそれぞれの投票行動によって変えられる。そのことを学ぶために、政治への参画意識は子どものころからの教育、そして、親子が一緒に学ぶことが重要であると考える。
教育現場で政治を語ることはタブーとされ、大人の社会においても今までは政治の話はあまり語られることはなかったかもしれない。こうして、政治と距離を置いた結果、本来のリーダーを自ら選ぶといった政治参画意識は低下し、有権者が政治に無関心という事態を招いてしまった。
このままなにも手を打たなければ、日本に住む誰もが等しく持つ、投票する権利を放棄してしまい、政治離れが進んでいくことになるだろう。これからの未来を創っていくのは紛れもなく、これからを生きる子どもたちであるが、その前に私たちの世代が1票を投じる大切さ、1票の重みを再認識し、これからの未来を創る子ども達に託していかなければ、地域の発展は望めなくなってしまう。そんな悲しい未来を避けるためにも、政治への関心を高める運動を展開したい。
【今こそ災害に対する意識と知識を高める】
東日本大震災から早くも10年という月日が流れた。毎年のように起きる大規模な自然災害は、今や想定外ではなく想定内として考えていかなければならない時代へと変わってきた。福島ブロック協議会は福島県社会福祉協議会と2014年に災害時相互協力協定を締結し、災害発生時には速やかな被災地支援を行えるように相互協力の元、様々な取り組みを行ってきた。今後も頻発する災害に備えるためにも更なる連携を強化していかなければならない。
福島県でも災害に強いまちづくりや様々な災害対策、インフラ整備に力を入れているものの、最終的には、自分の命は自分で守るしかない。自らの命を守るためには県民一人ひとりが防災・減災への意識を高めておく必要がある。災害リスクを認識し、心構えをもって、自然災害発生時の減災と避難について正しい知識を持つことが自らの命を守る上で不可欠である。我々は最悪の事態を想定した、よりリアルな災害に対する意識を持つことができる場を創出し、減災のための行動を起こす人財を創り上げていかなければならない。そして、いざ災害が起きた時、私たちは積極的に被災地支援を行っていく。
学び知っただけでは行動は変わらないだろう。自分達に出来ることを考え、積極的に行動する。その経験がこれからの地域を守る人財を創り、福島を守る意識へ繋がっていくはずである。
【スポーツの持つ力】
大人でも心躍る祭典であった東京オリンピックがコロナの影響で2021年に開催された。子どもたちにとっては世界のアスリートのプレイを見ることで、スポーツに取り組むきっかけを作ることや、あんな人になりたいという憧れを抱き、夢や目標を掲げ、自己肯定感を育み、自己研鑽による成長の機会を与える等、子どもたちの人間形成において様々な良い結果をもたらした。そもそも子どもたちにとってのスポーツとは、心身の壮健な発達促進をはじめ、克己心やフェアプレーの精神を培うとともに、仲間や指導者との交流を通じてコミュニケーション能力を伸ばし、豊かな心と他人に対する思いやりの心を育む性質を持っている。これらのことは青少年の健全育成にはなくてはならない大切な要素である。
福島ブロック協議会では、数多くの子ども達が参加するJCカップU―11福島大会を毎年開催し、大会を通じて、他者を思いやる心や、チームワークの大切さを学び、サッカーができる感謝の心を持てるよう、青少年育成事業の一環として取り組んできた。
この大会を開催し、大会の趣旨であるグッドルーザーの精神を学ぶと共に、日本人としての矜持を学び、未来社会を生き抜く原動力となるように事業を展開していきたい。
【結びに】
これから先どのような時代が訪れようとも、時代のせいにしてはならない。そして、ひとに対して決して諦めてはならない。
私たちは自らが住む地域やひと、そして未来に向けてすべての可能性を信じ、より良くしようと真摯に人生と向き合いJC運動に励んでいる。
これからも、何かを与えてもらいながら生きるのではなく、何かを与えられる生き方をしよう。そして、青年という限られた時間を誇り高く、若者らしく生き生きと活動することで、私たち自身の存在価値を証明し、誰もが笑顔になれる故郷を創ろう。
全ては未来のために。