千葉ブロック協議会
会長意見書
千葉ブロック協議会
56代会長小出 雄太
はじめに
私たちの住み暮らす千葉県は日本の縮図とも言われ、首都圏の一角に位置する好条件と、数多くの宝とポテンシャルに溢れています。県内産業は化学工業品出荷額全国1位である京葉工業地域を擁する一方で、農業は全国第4位の産出額を誇り、水産業、商業においても全国上位に位置するなどバランスの取れた産業構造が形成されています。また、観光においても訪日外国人数が全国3位である観光大県として、千葉県のさらなる発展に不可欠な地域資源を数多く有しています。その一方で、千葉県の総人口は5年前に比べて1%増加しているものの、生産年齢人口と合計特殊出生率は緩やかな減少傾向にあることで少子高齢化は確実に進み、都市や集落の機能低下による地域経済の縮小が懸念されます。これからは、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的な社会を目指していくことが求められる時代です。私たちは、数多くある資源や個性をこれまで以上に輝かせると同時に、様々な地域課題と向き合い、持続可能な千葉の未来をつくっていかなくてはなりません。
現在も新型コロナウイルス感染症により国民生活や経済への影響が続いていることに加えて、ウクライナ危機や日米の金利差の拡大を背景とした急激な円安に伴う輸入物価の上昇や原材料の安定供給の滞りなど、私たちの生活や経済活動に大きな不安が生じています。しかし、先行きの見えづらい時代だからこそ、私たちはJAYCEEとして「何のために、誰のために活動するのか」というJC運動における本質を今一度認識し、次代の担い手としての覚悟をもって行動していくことが求められているのではないでしょうか。JC運動の目指すべき姿は「明るい豊かな社会の実現」です。その理想を実現するために、私たちが先頭に立って時代の流れに柔軟に対応しながら、まちにより良い変化をもたらし、愛と情熱に満ちた誰もが光り輝く千葉を創造してまいります。
誰もが光り輝く組織への進化と人材育成について
私の考える理想の組織は、明確なビジョンをメンバー全員が共有しながらも、多様性を認め互いに尊重しあい、誰もが意義を感じ輝くことのできる組織です。現在、県内メンバーの45%が在籍年数3年未満と多くの割合を占めており、すべてのメンバーでJCの理念共感拡大運動に取り組んでいかなくてはなりません。また、女性メンバーについては全体の10%と、政府の掲げる男女共同参画基本方針の各分野の目標値と比べても少なく、女性が活動しやすい組織とは言えない現状です。今後も各LOMがより良い事業を展開し続け、組織として発展していくためには、メンバーがJC運動の理念を理解しながらも、多様性を認め合い誰もが活躍できる組織であり続ける必要があります。
まずは、メンバーが在籍年数に関わらずJC運動の本質を理解するために、県内各LOMに理念の共感を生み、浸透させる事業を開催いたします。JCとは何かを他者に説明でき、自ら行動するメンバーが増えることで、JC運動に関わる他者を巻き込み変革し、まちの発展に寄与し続けることができます。そして、誰もが光り輝き活躍することができる組織となるために、ジェンダー平等や多様な価値観を互いに理解することの重要性を学ぶ事業を開催いたします。ジェンダーギャップを解消し、多様な考え方をもつメンバーに心理的安全性がつくられることで、メンバー一人ひとりの中で組織への信頼度が高まり、組織そのものの存在価値を高めてまいります。
理念は変えずに、あり方や考え方を時代に即した形に変えていくことで、すべてのメンバーがJCのみならず地域社会において必要とされ、意義を感じ輝くことのできる組織へと進化を遂げてまいります。
誰もが光り輝くための会員拡大について
青年に発展と成長の機会を提供することがJCの使命であることから、地域の青年にとってJCに入会することは意識変革を起こす最大の機会だと考えます。入会の動機はそれぞれ違いがあるものの、入会をきっかけに、運動に参画していくことで成長し自ずと世のため人のために行動ができるようになるからです。同じ理念のもと、ともに行動するメンバーが多いほど、目的達成に向けて着実に進むことができます。しかし、ここ5年の全国的な会員数は18%の減少、千葉ブロック協議会においては28%の減少となっております。また、20名未満の少人数LOMが県内の36%を占めております。年齢構成を見ても、何もしなければ会員数が減少していくことは明らかです。会員減少に歯止めをかけ、持続的に発展していくためには、JCの理念に共感する仲間を増やすことが必要です。
まずは、会員拡大を成功させるために、各LOMの現状や課題を調査し共有します。そして、それぞれの現状を踏まえた上で、各LOMの拡大ビジョンを明確化し意識を向上させる事業を開催することで、具体的なアクションプランを作成、共有し、実行に移してまいります。さらに全国の拡大成功事例の情報を収集分析し、各LOMに合った理念に共感する人材の拡大手法や、理念教育プログラム等の事例を共有し、退会を防いでまいります。また、毎月各LOMと拡大会議を開催し、具体的な成果や推進状況、拡大意識を共有することに加えて、各LOMへの持続的なフォローアップを徹底することで、拡大運動へのモチベーションを保ち続けてまいります。
すべてのLOMが会員拡大のビジョンを描き、それぞれの目標達成のために一丸となり拡大運動を進めることで、県内の会員数を純増させ、それを絶えず維持していくことができる礎を築き、次代に繋いでまいります。
誰もが光り輝くための連携推進について
昨今、千葉県が取り組むべき課題は複雑化、多様化しており、画一的な課題解決への取り組みには限界があることから、それぞれの地域が連携、協働して、自立的に解決していくという共助の精神の重要性が高まっています。それは、JCでも同じことが言えると考えます。JCI日本や関東地区協議会とのさらなる連携強化はもちろん、行政や他団体、民間企業など様々なパートナーと手を取り合い、地域課題の解決へ向けて協働して取り組んでいくことが重要です。
まずは、メンバーが意識を変革し成長していくためには、個人の知見と視野を広げていくことが重要であることから、千葉ブロック協議会への出向が最も身近で、有意義さを実感できる機会であると考えます。まずは、出向によって獲得できる数々のメリットを伝えることで、出向が個人の可能性を広げる成長の機会であることを理解できる事業を開催いたします。そして、全世界に広がるJCのスケールメリットをメンバーが実感できるよう、JCI日本や関東地区協議会、JCIの運動を積極的に推進することにより、連絡調整機関としての機能を確立いたします。
さらに、本年は統一地方選挙が行われます。昨年、政府がこども家庭庁の基本方針を閣議決定し、少子化対策や子育て家庭への包括的な支援は重要な課題の一つとなっています。しかしながら、子育て世代を含む若年層は投票率が34.8%と平均水準よりも10%以上低く、政治に対する意思表示は十分にはなされていません。私たちは、子育て世代が自らの子供たちの生きる未来を真剣に考え、本来自分事であり他人事でない政治に声を届ける取り組みを行ってまいります。また、千葉県と連携し「子供の可能性を広げる千葉の確立」を目指していくために、県内各地のあらゆる企業、自治体、個人によって子供を育てやすくする取り組みが実践され、誰もが子供を育てたくなる社会環境づくり、制度づくりが推進される社会に寄与する運動を展開してまいります。
強固な絆で結ばれたパートナーと協働して地域課題を一つずつ解決していくことで、千葉県のより良い発展に繋がると確信しております。
誰もが光り輝くブロック大会について
千葉県は首都圏にありながら、三方を海に囲まれているという特徴を持っています。そして、長い海岸線や美しい砂浜などの豊かな自然、海や大地の恵みがもたらす農林水産物、さらには歴史的、文化的な資源などを有し、本県の魅力として存在しています。また、我が国の玄関口である成田国際空港をはじめ、東京ディズニーリゾートや幕張メッセなど日本を代表する施設も数多くあり、年間1億8千万人以上が訪れる観光大県でもあります。その一方で、県民に対する世論調査にて、「千葉県の魅力が県内外に発信され多くの人が知っている」と感じている県民が37%であることから、これらの魅力が広く認識されている状況とは言えません。私たちは、千葉県が将来にわたって活力ある持続可能なまちとして存在し続けるために、行政、関係諸団体と強いパートナーシップのもと、こうした資源を生かした魅力をさらに磨き上げ、新たな価値を生み、まちに愛着を持ち続ける人を増やすことが必要です。
ブロック大会では、千葉ブロック協議会最大の運動の発信の場として位置づけ、「主管益」「地域益」「参加者益」「主催者益」「社会益」の5つの「益」を生み出し、千葉県に大きな一つの輪を創ってまいります。その根幹にあるのは地域益であり、地域に大きなインパクトを与え、誰もが地域の魅力を体感できる大会とします。そして、県内25LOM各地域の現状や資源を改めて認識し、数多くある魅力を結集し掛け合わせ、県民が自分のまちに誇りを持つことのできる新たな魅力や付加価値を創出いたします。さらに、県内外へ地域の魅力を幅広く伝え、その価値を理解していただくことで千葉県のファンづくりを進めてまいります。また、開催地エリアの経済効果と観光振興を生み出していくために、MICE誘致の可能性についても提言してまいります。
今の時代を生き、青年経済人としてまちに根差し続ける私たちだからこそできる地域ブランディングを提唱し、県内外に大きく発信することでまちの活性化に繋がると確信しております。
誰もが光り輝く組織運営と広報について
JCは多様な考え方や仕事を持つ青年経済人が集まり構成され、同じ理念のもとで運動を展開しております。メンバーが多様性を認め合い、持続可能な組織であり続けるためには、諸規則や会議の進め方、財政面からコンプライアンスに至るまで、ルールに沿って組織を運営していくことが必要です。
まずは、私たちの運動の効果を最大化していくために、JCの存在や運動が広く認知され共感を得ることが重要だと考えます。どれほど真剣に議論を重ねながら素晴らしい運動をしていても、それが分かりやすく適切に伝わらなければ、地域の人々の意識の変革を促すきっかけにはならないからです。私たちの運動があらゆる世代の人に伝わるために前例に捉われない様々な手法を活用し、ターゲットを定めた戦略的な広報活動を展開することで多くの人の共感を生み、組織としての存在価値を高めてまいります。
そして、連絡調整機関としての役割をしっかりと果たすために、JCI日本や関東地区協議会、県内各LOM、関係諸団体等と連携し、事業共有システムGianPocketの積極的な活用など、LOM支援を前提とした効果的な情報の共有を図ります。さらに、本年は全国大会が関東地区内であるJCI東京の主管で、関東地区大会においては県内JCI館山の主管で開催されます。その他にも京都会議、ASPACやサマーコンファレンス、世界会議など年間を通じてメンバーに積極的な参画を促し、あらゆる発展と成長の機会を最大限に活かしてまいります。
むすびに
「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」
私の大切にしている言葉です。今、世界で起きていることを誰かが前もって予測することができたでしょうか。5年先、10年先に起こることは誰にも予測できないのです。だからこそ私たちは現状と懸命に向き合い、未来をより良くしようと行動を起こさなければならないのだと思っております。
これまでも、どんな状況にあってもそれぞれの時代を創ってきたのは情熱ある青年の行動です。これからのまちの理想を描き、それを実現していくのは他の誰かではなく、私たち自身です。それぞれが責任を自覚し、自分たちに何ができるのか自問自答を繰り返し、覚悟を持って踏み出す勇気ある一歩の連続が、より良い未来を創ると信じています。地域と仲間を愛する気持ちと、行動する情熱があれば、出来ないことなどありません。生まれ育った愛する地域のために、同じ志を持った仲間とともに、愛と情熱に満ちた誰もが光り輝く千葉を創造してまいりましょう。