はじめに
東北地方の北東部に位置する岩手は、奥羽山脈と北上高地の間を雄大な北上川が流れ、世界有数の漁場である三陸の海にも恵まれた豊かな自然に抱かれ、それぞれの地域ごとに特色のある風土の下で多様性溢れる文化が育ってきた土地柄であります。2011年には未曾有の大災害である東日本大震災に見舞われながらも復興へ向けて着実に歩みを進めていた最中、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、地域経済は大きな打撃を受け、県民は行動様式の変容を余儀なくされました。
このような困難な状況に対し、私達青年会議所は、岩手の未来を切り拓くとの共感で結ばれ、それぞれの地域の持つ強みを活かした運動を展開することで、個々の力を遥かに超えた大きな力を発揮することができます。いつの時代であっても困難な状況の下で未来を切り拓いてきたのは利他の精神を持ち積極果敢に挑戦する青年達です。未来を担う子供達にこの岩手を受け継いでいく責任世代としての覚悟を持ち、それぞれの個性が燦々と輝く13LOMと共に、多様な価値観が共生する真に持続可能な岩手を実現する運動を推進してまいります。
地域に持続的なインパクトを与えるリーダーの育成
人生最後の学び舎と言われるJCは、地域に持続的なインパクトを与える多くのリーダーを輩出してきました。ブロック協議会のスケールメリットを生かし、 LOMを超えた仲間との出会いによって切磋琢磨し、卒業までのJCライフを全うできる基礎体力を養い、地域やLOMで活躍できる人材を育成することが必要です。近年多発する自然災害や感染症の世界的流行といった突発的で危機的な事態の発生等、先行きが不透明で将来の予測が困難な時代にあって、私達は「1+1=2」のような明確な答えのない問いに立ち向かわなければなりません。明確な答えのない問いに対処するためには、目の前の事象から解決すべき課題を見出だし、自ら主体的に考え、多様な立場の人々と協働的に議論し、皆が納得できる解 を生み出す資質や能力が求められます。不確実性の時代であるからこそ、青年会議所の理念や運動、組織に関する基礎的な知識の理解を深め、地域課題の背景を丁寧に分析し、明確な目的を設定した事業構築を行うといった、地に足を着けた青年会議所活動が重要になります。志を同じくする多くの仲間と共に、青年会議所での経験を仕事や家庭に活かし、地域や社会に貢献することのできる、地域に持続的なインパクトを与える人材育成を推進してまいります。
岩手ブロック協議会の使命
岩手ブロック協議会の使命は、13LOMそれぞれが必要としているLOM支援を行っていくことにあります。LOMから一番身近な日本青年会議所の組織であるブロック協議会は、各LOMからの出向者で構成されることから、出向者個人とLOMへ出向益をもたらさなければなりません。役員をはじめとする出向者が明確な目的意識を持って1年を過ごすことで、ブロック協議会での経験を出向者個人の成長に繋げ、個々の出向者の成長がLOMの運動へより良い変化を起こしていきます。ブロック協議会に出向することでLOMの人材が成長し、LOMの将来を担う人材を成長させるためにブロック協議会に出向させる好循環を生み出すことが、最大のLOM支援であり、ブロック協議会の使命を果たすことに繋がります。そして、日本青年会議所の推進する運動について、 LOMに対して的確に情報を共有し、運動の起点となるような有益な発信を行い、青年会議所のネットワークを活用したLOM支援をしていきます。また、カウンターパートである岩手県や岩手県教育委員会、広域で活動している諸団体との連携を図り、広域的な地域課題に取り組んでいきます。岩手ブロック協議会設立の原点に立ち返り、LOMに寄り添った協議会運営を行っていきます。
結びに
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
(宮沢賢治「農民芸術 概論要綱」より)
地域の中で互いに助け合い、人との繋がりを大切にする「結(ゆい)」の精神は、岩手の風土の中で養われた強みであります。青年会議所は、地域のために常に利他の精神で考えて行動を続け、人間力を養い育てることが出来る唯一無二の団体です。決して自分一人では成し遂げられないことも、信頼し合える仲間と一緒であれば、その過程にどんな困難が待ち構えていたとしても乗り越え成し遂げられることを、私は青年会議所の仲間から学びました。居心地の良い環境から自らの意志で一歩踏み出し、地域の課題と真剣に向き合う行動を起こすことで、仲間と共に成長を遂げることは青年会議所の最大の魅力であり、自らを成長させることは地域に対する貢献に繋がると確信しています。
地域の未来の担い手である私達がJAYCEEであることを誇りに思える魅力的な組織を構築し、岩手は一つの合言葉の下に共感で結ばれた13LOMと岩手ブロック協議会の展開する運動が地域をより良く変化させ、真に持続可能な岩手を創造していきましょう。