より良い方法は常に存在している。

There is always a better way.  Thomas Edison

 

先日開催されましたサマーコンファレンスにおいて、九州地区協議会様が主催されましたフォーラム「アイツ、JCやめるってよ。」に光栄にもパネリストとして登壇させて頂きました。
テーマは、JCにおける生産性を向上するためには?
1,000名定員の会場に入りきれないほどの1,100名という方に集まって頂けたという結果が、事業の尖ったコンセプトが素晴らしかったというだけでなく、同じ危機感を抱いているメンバーが日本全国にいらっしゃるという証明であったと思います。

JCにおいて生産性の向上を阻むものは何なのでしょうか?

「アイツ、JCやめるってよ。」のテーマの背景にあるもの、その一つに、圧倒的な時間と労力の浪費があると思います。
いつしか私たちは役職を受けると同時に付随してくる「責任」という名の義務に、「こういうものだから」と自分を納得させて、時間と労力を組織のために大量に注いでいますが、誰しも初めはそこに大きなハードルを感じていたはずです。
(今まさに2020年度に向けて障壁を感じている方もいらっしゃるでしょう。)

会員数が減少し、平均在籍年数も短くなる中で、必要とされる莫大な時間と労力のために役を受ける人が減り、結果、役を受けた人への負担が増加し、さらに役から皆が逃げる、青年会議所は今、そんな悪循環にすでに陥っていると感じています。

今こそ悪循環から脱する手段を考えないと、会員減少は止まらず、この組織に未来はないと、強い危機感を抱いています。

いかにすればこの危機を脱することができるのでしょうか?

JCのあらゆる組織は「明るい豊かな社会」を創造するために活動をしています。
つまり地域にポジティブなインパクトを与えるために時間と労力を使っていることは間違いありません。
そして、地域が生き残れるかどうかという時代において、地域に生きる私たちが地域の未来のために活動することは、大変意味のあることです。
つまり課題は、より効率的に、よりインパクトの大きな運動をスピーディに生み出すにはどうすればいいか、ということです。

青年会議所という名の通り、会議を主体として運動を構築するこの組織において、会員が時間と労力を費やす大きなものの一つに、会議と、その会議のための資料作成という作業があります。
役員やスタッフを経験した誰もが、「議案書」に莫大な時間を費やしてこられたことでしょう。

私は、この運動構築に至るまでの過程にこそ、「当たり前」に思い込んでいる課題があると感じています。

青年会議所におけるすべての会議は基本的には「ロバート議事法」に基づいて運営されます。
アメリカ合衆国陸軍少佐のヘンリー・マーティン・ロバートが、アメリカ議会の議事規則を基に考案した議事進行規則であるこの議事法は、4つの権利(多数者、少数者、個人、不在者の権利)と、
4つの原則(一時一件、一時不再議、多数決、定足数)を守り、「公正」「平等」に行われる会議手法です。
この手法は、論理を積み上げることで精度を上げて決議をとるのに大変有効な会議手法でありますが、採択を前提としているこの会議は、アイデアを生み出し広げるための会議ではありません。
委員会(会議体)で生み出された計画に対し、上役が質問し、意見をつけ、最終全員の賛同を前提として決議をとる会議手法です。
この組織は0から1を生み出す会議や、1を3にしたり5にしたりする会議よりも「決議をとる」ための理事会や役員会という会議に比重を置きすぎていて、決議のために計画書を作るという、手段が目的化しているように思います。

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当然ながら、今までこの手法を長年採用されてきた明確な理由もあります。
まず、決議を通して責任が分散することで、ガバナンスが効きやすいこと。
会議で交わされる知的バトルにより、論理的思考力や伝える力というスキル向上につながること。
多くの人の意見を含めることで、多角的に検証され、計画の精度が高まること。
他にも多くのメリットがあると思います。

しかしあえてここでデメリットを挙げさせて頂きます。
決議に至るまで長い時間を要することで、スピード感が無い。
体裁や言葉の用法、論理構成という、議案書自体に対する議論に集約しがち。
事業を円滑に計画するため必要とされる以上の膨大な資料作成が求められる。
感性が人それぞれ違うので、デザインやコピーなど感性的要素は議論から答えが見いだせない。

ロバート議事法で組織を動かす決議をとることは大変有効であると考えます。
しかし、本来は、決議することにかけすぎている労力を減らし、イノベーションを生み出すことができる委員会やスタッフ会議にこそ、その労力をもっと使うべきではないでしょうか?
WEB会議等を取り入れ決議をとる場を効率化し、なるべく頭のコンパクトな組織で、より簡素で要領を得た計画書をツールとして、委員メンバーの感性が大きく生かされる組織運営を考えることが、今最も必要なことではないでしょうか。

スティーブジョブズは会議にはプレゼン資料どころかアジェンダも用いなかったことで有名です。
それは、資料をつくることで課題に取り組んだ気になってしまうことを嫌い、資料に頼らずに自らの考えを唯一の根拠として徹底的に議論を尽くすほうが、生み出される価値がより高くなると考えたからです。

Appleだけに限らず、世界的な先進企業において、イノベーションはそれぞれの独特な会議手法によって生みだされています。
参考https://lightworks-blog.com/way-of-meeting

これらの先進企業が取り入れている会議手法は様々ですが、共通点もあります。
それはどの企業も時間と労力をかけることよりも、価値をより早く効率的に生み出すことを徹底して突き詰めているということです。

わたしたちが今こそ考えるべき課題は、
どのような価値ある事業を行うか、ではなく
どのような組織運営によって価値を生み出すか、というところにあると思います。
リーダーの責任とは、イノベーションを生み出すことではなく
イノベーションが生み出せる仕組みを作ることにあるのです。

私たちは、今こそ会議の在り方も含めた組織の組み立てについて疑問を抱き、より良い方法がまだあるはずと、常に変化を追い求め続けなければなりません。

非効率に費やされる時間と労力が
修練という名の美徳であるという幻想をかなぐり捨て

会員の献身的な活動が
地域のポジティブな変化に直結していると感じることができる
誇れる組織を築いていくために。

京都ブロック協議会 会長 木戸庸介