【はじめに】
生を享け、人は歩みを進めることで人生という道のりを歩む。人生は一本の線のようになっており、自
分の線の上を歩むと、誰かの線と交差し、その誰かと出会うのではないか。人生の線は直線ではなく、
曲線だったり、折れ線だったり、長さも人それぞれ。その線が他の誰かと交わるとき、人生の線は太
く、そして長くなっていく。
生きていくなかで、人はありとあらゆることを無意識にでも選択して生きています。その結果が現在の
自分自身です。ただ、あらゆる選択さえも自分自身のみで構成されているわけではなく、これまで出会
ったすべての人との関わりや、見聞きしたもの、感じたもので構成されているのではないか。人との出
会い方や、その後のつながりも自分自身が選択した結果ではあるものの、自分自身の道を、命を、その
ように運んでいる「運命」だと感じます。人は生きていくなかで何をなすべきなのだろうか。自らの人
生で何をしていくのか。「命を使う」と書いて「使命」という言葉は成り立っているように、自分の存
在意義を考える時、限りある人生の中で自らの命を使って行うべきことは何であるのかを、自分を鏡に
映すように、もう一人の自分と向き合い自問自答を重ねます。
【地域に希望を】
私には2人の子供がいます。子供たちの未来を見据えたとき、未来に向かい今を生きる青年である私た
ちには、何ができるのかを考え、子供たちが大きな夢を描き続ける社会を築くために、青年会議所だか
らこそできることを考えなければなりません。子は鎹と申しますが、青年会議所はその各地域にとって
の鎹であると私は考えます。鹿児島をいかに変えるのか。鹿児島の未来を明るくするためには各地で青
年団体との交流会や異業種交流会などの実施、さらに行政との対話を繰り返す中で、共感を、そして仲
間を増やし、たった一人では何も変えられないと諦めることなく、仲間を増やし地域に変革をもたらす
時です。豊かな食や文化、観光や歴史の資源を如何に活用していくのか。未来に向けて、国がやらない
のであれば、鹿児島から新たな価値を確立すればいい。鹿児島県がやらないのであれば、各地域からや
っていけばいい。各地域、各地青年会議所が推し進めたものが結集し、鹿児島の力となるべく推し進め
ていくことで鹿児島が持つ力を、全国に知らしめる時です。地域のために何をすべきなのか、何ができ
るのか、真剣に悩み、全力で考え、行動に移す団体が県内各地に存在する青年会議所だと信じていま
す。青年会議所は過去も現在も、そして未来も各地域で必要とされる存在であり続けなくてはなりませ
ん。各地域に明るい希望をもたらし、明るい豊かな各地域の実現に向け、あらゆる政策を立案、実行す
ることで地域を変え、多くの共感を得てまいります。
新型コロナウイルス感染症という未曽有の困難に直面し国難とも言える現状から、地域の未来に向かっ
て何か行動を起こそうとすると、マイナスの要素ばかりが目につき、足を踏み出すのが怖くなる時があ
ります。「できっこない」と行動を起こすことさえ躊躇うこともあります。しかし、私たちは自分たち
の、そして地域の子供たちにとって「ヒーロー」でありたいと思います。「できっこない」と諦めるの
ではなく、行動を起こしてこそ「成功」があるのです。前向きに挑戦した結果の失敗はすべて成功への
ステップになるのです。人生の歩みを進めていくと、痛くて辛くて泣きたいこともたくさんあります。
何もしたくない時があります。人生において、今という瞬間は過去の積み重ねです。人生の線の行方は
今、ここで変えていけるのです。困難な状況に直面した時、誰よりも早く立ち上がり走っていける「ヒ
ーロー」が一人ではなく、地域に増えれば、そして県全域に増えれば、未来はどんどん明るくなってい
きます。鹿児島の未来を変えられるのは、今ここに生きている私たち一人ひとりなのです。
【郷土強靭化】
昨今の日本列島は、いつどこで大震災、あるいは火山の噴火が起こるか分からない状態となっていま
す。世界におけるマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生しているといわれ、台風や豪雨
による土砂災害、火山の噴火などの自然災害は枚挙に暇がありません。私たちが住み暮らす鹿児島にお
いては、活火山でもある桜島をはじめとする多くの火山を有し、さらには、地理的条件から台風による
災害や大雨による災害がこれまでも多く発生をしています。いつどこで起きるか分からない災害に対
し、県民一人ひとりが防災・減災に対する知識を高め、どこかで災害が発生した際に、行動に移さなけ
ればなりません。そんな困難な状況だからこそ地域のために青年会議所は存在しているのです。既存の
災害ネットワークの強化を図り、今後も行政・関係各所団体の皆様とともに、青年会議所のネットワー
クを活用し、有事災害が発生した際の盤石な災害ネットワークの体制を築いてまいります。
【情報発信】
青年会議所は、明るい豊かな社会の実現のために、地域住民を奮い立たせ、社会にインパクトを与え続
けていく組織であるべきです。先輩諸兄姉は数々の素晴らしい事業を作り上げてこられましたが、果た
して、現在の青年会議所の存在や事業内容は県民の皆様に十分に認知していただけているでしょうか。
いくら想いを込め、汗をかきながら活動を行っても、それが地域の皆様に伝わらなければ、その活動は
ムーブメントとして発展していかないのです。自己満足にしかなりません。伝えているつもりでも伝わ
っていなければ、何もしていないのと同義です。如何に相手に「伝えるか」ではなく「伝わっている
か」に着眼点を置き、2023年度は情報発信をさらに推し進め具体的に実践してまいります。青年
会議所のネットワークは、鹿児島県内はもちろんのこと、九州地区、日本全国、さらには世界へと広
がっています。鹿児島県内各地青年会議所の運動を発信し、より広く周知してまいります。
【郷土に必要とされる組織として】
青年会議所は、経済や地域の活性化や社会奉仕を主たる目的として発足した団体ではありません。成人
であっても、なおその資質と品性を磨くことができる20~30代という年代に互いに高め合い、しっ
かりと生き抜く力を得ることができる修練の場として、自身の人生観や価値観にさえ影響しうる貴重な
出会いと発見の場として青年会議所は存在しています。これまでも、そしてこれからも、その存在意義は
不変であると信じています。既存の社会様式が通じなくなった今日を生き抜くには「強さ」だけではな
く、同様に柔軟性に富んだ「しなやかさ」もまとう人財が必要になると確信しています。この地域を明る
い豊かな社会へ導くためには、仲間を増やすことは不可欠ですが、同時に大切なことは、会員の成長と会
員を青年会議所に預けてくださる関係者の皆さんからの期待に応えんとする覚悟を持つことです。誰の
ためでもない、仲間と自分自身の成長のためにも、青年会議所の価値を高める努力を怠ってはなりませ
ん。数は目に見える分かりやすさと、力を兼ね備えています。我々が地域のために行う事業も、同じ志を
持つ仲間が増えれば、地域に与える影響力も強くなります。一人ひとりのメンバーが自信と誇りを持っ
て青年会議所活動を行い、県民の皆様にその姿を見ていただくと共に、我々の経験を人に伝えることで、
自ずと人は集うと確信します。私たちが生きているのは今=現在であり、過去と未来をつなぐのは今を
生きている私たち以外にはできないのです。鹿児島ブロック協議会は地域の未来に向けて進む県内各地
青年会議所がより効果的な運動、活動を展開できるよう組織運営に尽力してまいります。
【結びに】
私は「自らを鏡に映して自らの行動をよく鑑みろ」と教わって人生を歩んできました。主観的ではなく
客観的に自らの行動を鑑み、もう一人の自分と向き合うことで人生の選択を決断します。私は一瞬の出
会いも含め、私が出会った人々との事象で私自身が構築されていると考えています。全ての方との出会
いが私にひとつひとつの選択をさせているのです。それは生きている全ての人にあてはまっていると感
じます。私たちの選択が地域を変え、未来を変えていくのです。私が国際アカデミーに参加した際、
2016 年JCI 会頭のパスカル・ディケ先輩が「Do, or do not. There is no try.」というスター・ウォ
ーズの名言を教えてくださいました。「やる」か「やらない」か。試すのではなく、私たちが選ぶのは
「only do」なのです。やり続けなくてはなりません。新しいことをやろうとすれば必ず反対する人
がいますが、その人たちだけのことを気にしていては前に進めません。時には全体最適を考えて批判
を覚悟で決断します。私たちが社会のために行動を始めるときに地域の未来は変えられます。一人の
人間が変えられるのは、わずか1mmかもしれません。しかし、私たちは一人ではありません。仲間
とともに地域を、未来を変えていきましょう。人と出会うことで、私自身の人生は彩を豊かにし、そし
て地域に向けて何か行動を起こす際には、一人ではなく仲間とともに動くことで地域に彩を与えられる
と確信しています。私たちが変革の起点として人生の時間軸の中で二度と来ない今こそ、自らの使命を
全うすべく地域の未来のために勇気をもって行動し地域の明るい未来のために熱くなる時です。