公益社団法人 日本青年会議所 九州地区協議会
2025年度 会長意見書
一般社団法人 玉名青年会議所
和田 光平
【はじめに】
「共通の理念、存在意義をもった私たちの挑戦」
JCでは、毎回セレモニーがあり、その中で唱和する綱領では、青年としての英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築きあげようと唱和します。では、この「社会」とはどう定義されているのでしょう。社会という言葉は実に広い意味を持った言葉であり、所属する組織、住み暮らす地域、国家、世界も社会であると言えます。
JCIの価値観を通して日本の青年会議所では、2020年に私たちが目指す「明るい豊かな社会」をJC宣言において「多様性と持続可能性がある地域」と定義し、以降今日まで共通の想いで私たちは運動を展開しています。
私はJCに入会するまで社会という言葉を意識したことも、深く考えたこともない人間でしたが、今では、多様性と持続可能性がある地域の姿とは何かを追い求めて、学び、描き、創ることに意識を向け、そのために働けるようになりました。それは、私が何のために生き、何を成すことができるのかと、人生に悩んだ時期に出会ったJCでの学びにより、自らの存在意義を明確にしたことで、自分を偽ることなく、真剣な思いでJC活動ができるようになったからです。
JCには出向制度があり、自らの意志によってその門をたたき、新たな仲間との関わり合い、より良くしたい地域の範囲、その範囲の中にある様々な課題に対し解決するための挑戦をすることができ、出向を通して得られた経験は、見据える未来像も、そこで得られる知識や経験も、より一層視座を高めることができます。
それもひとえに、九州内各LOMの皆様が、これまで九州地区協議会の活動にご理解とご協力をいただき、ともに歩んでいただいたこと、そして私たちに挑戦のステージを作ってこられた先輩方、その先輩方が様々な活動の中で結ばれたステークホルダーの皆様の並々ならぬご尽力の賜物であり、それぞれの変革の起点があったからこそ、より良い未来のために活動できる今があることに感謝と敬意の念が絶えません。
そして、成長の実感と、これまでの感謝と敬意の念は自分だけのものではなく、同志であり、仲間である多様な個性を持った九州内各LOM約2,700名のメンバーにも、自己成長の実感、感謝と敬意の念をJCに対するやりがいと捉えていただきたい、そのうえで九州の持続可能性のための課題解決に向けた目標達成に挑んでいただきたいと考えています。
私たちの挑戦とは、九州内の同じ志を持つ仲間たちと使命に挑み、JCの価値観、これまでJCで培ってきた知識、経験、それぞれが前向きに成長を遂げる姿勢をもって、多様性に溢れ持続可能な九州の未来のために、運動を創ることであり、皆様となら必ず成し遂げられると確信しています。
九州の未来を創るのはオレたちだ!
【九州の成長と課題】
九州は、日本経済の基盤となる指標が全国の約10%程度であり、「1割経済」と言われています。九州はアジアのゲートウェイとして、海外との交流が活発であり、特にアジアとの経済・文化交流が盛んです。2024年度の経済成長率は1.4%と予測されており、熊本県に誘致したTSMCなどの半導体関連企業を中心に設備投資が伸びています。また、九州経済産業局では、「九州シリコンアイランド構想」が発表され、九州の発展が大きく期待されています。一方で、人口減少、ひいては労働生産年齢人口の減少による人手不足が深刻であり、ロボットやAIの活用、外国人労働力の活用が求められています。
今後の日本経済全体にも共通することですが、未来の九州にとって、持続可能な社会を創るためには、生産性の向上、多様な人財が活躍できる環境づくりが必要不可欠です。社会課題をビジネスから解決することを真に理解し、私たちのビジネスにも大きな変革の波をとらえ、九州地区協議会として未来に向けて活動するために、社会だけでなく、環境も、働き方も、住みやすさも含め、豊かさと幸福な未来のビジョンを総合的に描く取り組みを展開していきます。
【社会課題はビジネスで解決できる】
戦後日本は、史上例を見ない程の経済発展を遂げました。この「ジャパニーズミラクル」とも称された日本の復興は、先人たちによる、投資、設備投資、労働生産性の向上がその要因であったと言われています。戦後から約20年で東京オリンピック、その6年後には大阪万博が開催されるなど、日本はわずか10数年でアメリカに次ぐ経済大国にまで成長しました。これについて、軍や財閥が解体されたことや、政治という点も大いに関係してくるかと考えられますが、間違いなく日本の再興はビジネスによって成されたことは事実であります。
この間人口も急激に増加し、日本のGDPも大きく発展しましたが、現在は成長が低迷し、世界3位であったGDPも現在ドイツに抜かれ4位になっています。このGDPには人口が大きく関わっており、今後日本はますます人口減少が加速するという見通しであり、九州においても例外ではありません。
人口減少は成長、発展を大きく後退させる要因ではありますが、人口を増やすということは一朝一夕でかなうものではありません。
そこで、私たちが挑戦しなければならないのが、ソーシャルビジネスにおいて生産性を向上させることであり、青年経済人である私たちJCだからこそ計画し、検討し、挑戦し、検証して次世代につなげていかなければならないと考えています。それは、プロセスを重んじるJCの中で時代の変化とともに、これまでも仕組みとして培ってきたことを各メンバーが社業において実践していかなければならないと考えています。
幸いにも九州には大きなチャンスが多く存在しています。そのチャンスを存分に活かすために、様々なソーシャルビジネスを学び、持続可能な地域を創るために、これから考えられる様々な課題を多様な個性とともに効率よくビジネスで解決するという視点で活動を行います。
【グローバル人財を育成することの重要性】
九州はアジアのゲートウェイとして、今後ますますアジア各国の交流が活発になることが想定されます。国内がインバウンドとして発展する要素は、治安の良さ、人の良さ、長い歴史による日本ならではの文化であると考えています。日本をグローバルな視点で見ると、ASEAN10内の国々へ進出を拡大してきました。九州においては、約20%の企業が海外への進出や海外企業との取引を行っている状況ですが、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックの影響によるサプライチェーンの課題や、ロシア・ウクライナ戦争による物流、資源不足の問題、現在では為替の影響を受けて、その企業進出が低迷していることも課題です。それだけではなく、日本人のパスポート取得率に目を向けると、日本人全体のパスポート取得率は約18%であり、統計的に、海外に自ら足を運ぶということには関心が低いという結果になっています。九州においても新型コロナウイルスによるパンデミック規制が緩和された2022年以降取得率は増加しているものの、日本全体の平均取得率より低い状態であることに変わりはありません。
これに対して、これからのグローバル時代において、日本人が積極的に国外に赴き、地域単位で密接な交流による連携を充実させるための挑戦が必要であると考えています。それは、グローバルの発展、ひいては九州の発展をしていくうえで、これまでにない可能性のある分野であるからです。そのためには、将来を見据えたグローバルな視点にたった九州内広域連携、言語による壁を取り払うための仕組みづくり、そして何より、インターネットの情報だけでなく、実際に現地に赴き異文化を知り、多様性を理解し、九州内各地域にインパクトを起こすことのできるグローバル人財の育成が重要です。
【住み続けられる九州を創る】
SDGsをはじめとし、九州地区協議会でも持続可能な社会の推進を続けてきました。「誰一人取り残さない」という基本原則のもと、いつ、どこで起きるかわからない災害に対して事前準備と心構えをもつことの重要性をこれからも継続的に発信し続けていく必要があります。九州は特に地球温暖化の影響による、線状降水帯などで大雨の被害が年々と増加しており、2023年度においても、九州各地で水害の被害を受けました。
JCは特に各地域の社会福祉協議会との連携を推進し、その進捗率は年々と増加し、各地域が全国から各県までのネットワークを構築できてきている状況ですが、このネットワークもただあるだけで機能するわけではありません。このネットワークを最大限機能させるためにも、より密接な連携を常時から構築し、有事の際に即座に対応できる状況を作ってこそのネットワークであると考えます。
そのためにも、引き続き災害プラットフォームの活用や九州地区と日本JC、各ブロック協議会の密接な連携だけでなく、様々なステークホルダーの皆様と役割を明確にした支援体制の構築と地域のレジリエンスについて継続的に協議し、九州内各地域にいつ、どこで起きるかわからない災害に備えることの重要性と、JCとして理屈ではなく、心で支えあう体制づくりに挑んでまいります。
【カーボンニュートラルに対する取り組みの実施】
また、今後持続可能性を追求していく要素としては、資源やエネルギーにも課題があると考えます。これは、農業や漁業といった一次産業から製造業、加工業といった二次産業、サービス業である三次産業すべてに課題があり、資源およびエネルギーに乏しい日本においては早急に新しいアイデアをもって課題解決に向けて挑戦していかなければならない課題であり、日本政府が2020年に掲げたカーボンニュートラル宣言にも対応した解決方法を試行錯誤していかなければなりません。
資源・エネルギーは私たちの未来に大きく影響されるからこそ、九州地区内でGX戦略を新たな取り組みとして挑んでまいります。
【JCの理念に、より一層共感するための取り組み】
JCの理念は、自らの存在意義にもなりえるものであると考えており、その価値感を九州内メンバー全員が志として同じ思いを抱いていただきたいと心から願っています。
日本JCではこれまで、理念共感グランドデザインを策定し、JCの理念浸透と、各メンバーが社会に対して存在意義をどのように見出すかというプログラムを展開してきました。その5か年戦略の節目となる年が、2025年度であり、目標値としてJCメンバーの理念浸透率を100%にする年と位置付けられています。九州地区協議会でもこの節目の年に、さらに加速度を増してJCの理念に共感していただくためのグループを作っていきたいと考えています。これにより、九州地区協議会として各ブロック協議会とともに、九州内各メンバーに対して、理念共感型の会員拡大、上質な情報共有、多様性のある組織作りの考え方をご提案し、九州地区協議会がメンバー一人ひとりにとって、社会における存在意義をさらに高めていただけるよう挑戦いたします。
【九州コンファレンス2025延岡大会の実施】
2025年度の九州コンファレンスは2023年度に宮崎ブロック内延岡JCが主管することが決定されており、現在延岡JCでは九州コンファレンス2025に向けて様々な準備を行っていただいております。
九州コンファレンスは九州地区協議会最大の発信の場として開催され、九州地区内約2,700名のメンバーが「九州はひとつ」の言葉とともに大会にご参加をいただく貴重な場であります。そのために、九州地区協議会の活動をご存じないであろうアカデミーメンバーの比率が平均40%台となった今だからこそ、年当初から県内77LOMの皆様に九州地区協議会並びに九州コンファレンスの沿革、メンバーどうしの団結力をお伝えし、開催における5つの益の中でも、JCメンバーだけでなく、一般の皆様を含めた参加者益についてより鮮明に打ち出しながら、延岡JCと連携してさらに九州がひとつとなる九州コンファレンス延岡大会になるよう挑んでまいります。
【第74回全国大会佐賀大会の支援】
2025年度は2024年度福岡大会に続き、九州地区内佐賀JCが主管をすることが決定されています。九州地区協議会も全力で佐賀大会を支援してまいります。日本JC、佐賀ブロック協議会、佐賀JCと相互協力の精神でより強固な連携を構築するとともに、これまでの全国大会開催地のその後の姿を追いかけ、佐賀に巻き起こるより良い未来の姿をイメージしながら九州地区協議会にご出向いただける全メンバーで大会を成功に向けあらゆる挑戦を行ってまいります。
【むすびに】
「九州地区内すべてのメンバーへ」
九州地区協議会は、LOMだけでなく、一人ひとりのメンバーの皆様にとって「挑戦」と結びつく協議会を目指していきたいと考えています。LOMによって目指すものは違うことは当然ですが、ありとあらゆる「より良くしたい」という目標にとって、皆様が九州地区協議会とは「誰かのために、より良くなるために、挑戦する存在」で在り続けるという九州地区協議会の在り方を示せればと思っております。
やりがいを生み出すテーマと実践、志を高める組織運営で、担いを全うした時の変化として、私に関わるすべての皆様が明るく豊かになることのできる九州地区協議会を作ることをお誓いし、結びとさせていただきます。
[035] (一社)福岡青年会議所
[042] (一社)飯塚青年会議所
[043] (一社)北九州青年会議所
[063] (一社)久留米青年会議所
[067] (一社)直方青年会議所
[086] (一社)大牟田青年会議所
[102] (一社)柳川青年会議所
[185] (一社)八女青年会議所
[224] (公社)田川青年会議所
[386] (一社)美夜古青年会議所
[422] (一社)朝倉青年会議所
[429] (一社)大川青年会議所
[454] (一社)筑後青年会議所
[497] (一社)ひびき青年会議所
[504] (一社)豊前青年会議所
[521] (一社)つくし青年会議所
[549] (一社)みい青年会議所
[580] (一社)山門青年会議所
[590] (公社)宗像青年会議所
[622] (一社)糸島青年会議所
[663] (一社)浮羽青年会議所
[787] (一社)糟屋青年会議所
[046] (一社)大分青年会議所
[047] (公社)中津青年会議所
[051] (一社)日田青年会議所
[199] (一社)臼杵青年会議所
[552] (公社)宇佐高田青年会議所
[598] (公社)別府青年会議所
[740] (一社)杵築青年会議所
[754] (一社)佐伯青年会議所
[099] (一社)佐賀青年会議所
[158] (一社)鹿島青年会議所
[183] (一社)鳥栖青年会議所
[228] (一社)唐津青年会議所
[318] (一社)伊万里青年会議所
[363] (一社)武雄青年会議所
[490] (一社)陶都有田青年会議所
[036] (一社)長崎青年会議所
[048] (一社)佐世保青年会議所
[071] (一社)島原青年会議所
[174] (公社)大村青年会議所
[297] (一社)福江青年会議所
[298] (一社)諌早青年会議所
[739] (一社)北松浦青年会議所
[066] (一社)熊本青年会議所
[126] (一社)玉名青年会議所
[154] (一社)ひとよし球磨青年会議所
[165] (一社)八代青年会議所
[239] (一社)天草本渡青年会議所
[472] (一社)山鹿青年会議所
[479] (一社)水俣青年会議所
[611] (一社)宇城青年会議所
[670] 阿蘇青年会議所
[743] 東熊本青年会議所
[749] (一社)菊池青年会議所
[026] (一社)宮崎青年会議所
[134] (一社)延岡青年会議所
[180] 日南青年会議所
[223] (一社)日向青年会議所
[265] (一社)都城青年会議所
[387] (一社)小林青年会議所
[541] (一社)西都青年会議所
[636] (一社)串間青年会議所
[709] えびの青年会議所
[057] (公社)鹿児島青年会議所
[236] (公社)奄美大島青年会議所
[242] (一社)鹿屋青年会議所
[496] (公社)川内青年会議所
[555] (公社)指宿青年会議所
[609] (一社)さつま出水青年会議所
[610] 串木野青年会議所
[637] (公社)枕崎青年会議所
[653] (公社)新大隅青年会議所
[679] (一社)阿久根青年会議所
[724] (公社)南さつま青年会議所
[751] (公社)霧島青年会議所
[783] 屋久島青年会議所
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